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日本学術振興会
最先端研究開発戦略的強化費補助金
(頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム)
頭脳循環プログラム
「人間らしさの霊長類的起源をさぐる戦略的国際共同研究」
2013.05.10
頭脳循環プログラム「人間らしさの霊長類的起源をさぐる戦略的国際共同研究」
平成24年度成果報告: 宮部貴子
2013.05.10
頭脳循環プログラム「人間らしさの霊長類的起源をさぐる戦略的国際共同研究」
平成24年度成果報告: 香田啓貴
2013.05.10
頭脳循環プログラム「人間らしさの霊長類的起源をさぐる戦略的国際共同研究」
平成24年度成果報告: 市野進一郎
2012.06.08
頭脳循環プログラム「人間らしさの霊長類的起源をさぐる戦略的国際共同研究」
成果近況報告: 香田啓貴
2012.06.04
頭脳循環プログラム「人間らしさの霊長類的起源をさぐる戦略的国際共同研究」
成果近況報告: 市野進一郎
2012.06.01
頭脳循環プログラム「人間らしさの霊長類的起源をさぐる戦略的国際共同研究」
成果近況報告: 宮部貴子
事業の目的・概要
脳、コミュニケーション、社会のメカニズムの解明は、現在人間社会で生じている歪みの機構や今後の問題解決の緒を与えるものであり、ライフ・イノベーションの基礎研究としても非常に重要である。長期派遣プログラムによって、従前の短期派遣では得られなかった、より強固な絆と科学的連携を構築することができる。将来性ある若手研究者の積極的な登用によって、より国際的に開かれた組織として、人間を含めた霊長類のこころ・からだ・くらし・ゲノムなど多様な視点からの基礎研究を、国際的な総合研究として推進したい。
今回は、既に展開している国際共同研究ネットワークにオランダを加え、事業の拡充、強化、深化させ頭脳循環プログラムを円滑に推進することを目的とする。「人間らしさ」を究明する端緒として下記の3件の研究項目を掲げた。
(1)意識のメカニズム:ヒトとサル類の麻酔作用機序を科学的に比較解析し、意識の消失機序の視点から高次の精神活動のメカニズムを究明する端緒とす
る。
(2)ヒトの音声言語の起源:霊長類のコミュニケーションの進化とヒトの音声言語の起源に関する研究を比較認知科学の観点から推察し、ヒトの音声言語機構の解明を前提として、霊長類のコミュニケーションの多様性とその進化機構を明らかにする。
(3)母系社会の発生機序:霊長類の原点ともいえる原猿類の社会を、野外観察によるデモグラフィ資料と分子集団遺伝学的資料を統合して解析し、ヒトやその他の霊長類との比較を通して、母系社会の発生機序を明らかにする。
これらの研究項目は脳ー言語-社会という必然的に相互に関係を有するものであり、今後の学際的研究の発展を視野にいれている。
国際共同研究課題の計画概要
本事業がカバーする学術分野は霊長類学であり、ライフ・イノベーションと連携する「人間とは何か」の進化的起源ならびに生物多様性の研究である。霊長類は人間を含めて少なく見積もっても約220種いる。約6500万年前に霊長目の創始者が出現し、現世のヒトやその他の霊長類種に進化してきた。その進化的累積がヒトを造り上げた。それゆえ、現代社会の直面する多様な課題の解決には、霊長類学の研究から、そもそも「人間らしさ」「人間はどこから来たのか」という本質的な問いに対する答えの探究が必要不可欠である。人間の本性「人間らしさ」の進化的起源をさぐる研究が今まさに要請されている。
「人間らしさ」のメカニズムはヒトが創出されたとき一挙に生まれたものではなく、長い進化的時間をかけてできあがったものである。ヒトは、霊長目の誕生後現在まで脈々と霊長類としての特性を受け継いできた結果の産物である。すなわち「人間らしさ」の進化も6500万年前から始まった。したがって、霊長類を広い視野をもって研究することが、「人間とはなにか」を究明する最も的確で早道である。「人間らしさ」を醸成する機構としては多くのことがあげられるが、社会、コミュニケーション、神経・精神行動はその内の代表的なものといえる。今回の事業では、これらの研究項目をより深く究明することにより、より深化した「新しい霊長類学」の発展の推進をめざす。つまり、意識という本質的な脳機能を可逆的に消失させることのできる「麻酔」のメカニズムの追究、遺伝子ならびに発声制御をつかさどる外部形態メカニズムを統合した音声コミュニケーションの機構、社会構造を維持する分子機構の解明から、人間のこころ、からだ、くらし、ゲノムの進化的起源を明確にする。
これらの3項目はそれぞれの研究領域において今後最先端を走る内容であり、今後の霊長類研究の中枢を担うもので、将来的に国内外の共同研究プロジェクトのネットワークの強化に対して中核的主要研究の位置をしめるものと思われる。これらの研究項目は「人間らしさ」を究明する有効な糸口となると考えられ、国際共同研究を充実させることが要請されることから、今回のプログラムはその基盤形成を第一目標とする。