English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-24-024
ホッキョククジラの嗅球に関する組織化学的研究
報告者:岸田 拓士
期間:2012/12/2 - 2012/12/24
派遣者の行っている研究ではヒゲクジラの新鮮な脳をサンプルとして使用する必要があるが、このサンプルの入手は日本国内では極めて困難であり、派遣者が研究利用許可を得ている米国アラスカ州の先住民捕鯨で捕獲されたホッキョククジラの脳を使う必要がある。ホッキョククジラはワシントン条約の付属書Iに記載されており、サンプルを日本に輸送することができない。このため日本国内では合法的に実験を行うことができないので、米国内の研究室に滞在して実験を行う必要があった。
北東オハイオ医科大学解剖学教室テーヴィセン研究室に12月3日から16日まで滞在した。現地では、アラスカ州の先住民捕鯨で捕獲されたホッキョククジラの脳の一部(嗅球)をパラフィンに包埋して切片を作成し、複数の抗体でDAB染色による免疫染色を行った。得られた結果はチオニンで対比染色を行い、封入剤を用いて永久プレパラートとした。こうして得られたプレパラートの高解像度の顕微鏡写真を撮影し、その画像データを霊長類研究所に持ち帰った。さらには、本研究の共同研究者であるヨハネス・テーヴィセン教授と、今回取得したデータに関する議論を行った。デューク大学分子遺伝学教室松波研究室に12月16日から22日まで滞在した。現地では松波准教授およびアディピエトロ研究員から嗅覚受容体遺伝子のリガンドアッセイの方法を学び、この技術を用いた今後の共同研究に関する議論を行った。
北東オハイオ医科大学テーヴィセン研究室にて。
中央に写っている標本は始新世に生きた鯨類の祖先・レミングトノケトゥス。
松波研究室から見たデューク大学キャンパス
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