English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-23-MA13
マレーシア・サバ州の自然保護区における野生動物研究研修
報告者:黒鳥 英俊
期間:2011/6/24 - 2011/7/1
ボルネオ島の北東部に位置するマレーシア・サバ州には、非常に多様な自然環境が存在し、様々な野生動物が生息している。特に、サバ州法によって設立されたサバ財団が管理運営する、ダナムバレー、マリアウベイスン、インバックキャニオンの3つの自然保護区には、ボルネオでも数少ない貴重な自然環境と野生動物が残されており、保全のための研究が求められている。この渡航計画は、サバ財団の要請を受けて、特に研究が遅れているマリアウベイスン自然保護区とインバックキャニオン自然保護区での野生動物研究を推進するために、両保護区で野生動物研究に関するフィールド研修を行い、現在、研究を進めているオランウータンの生態研究に大いに役立つ。また、京都大学霊長類研究所とサバ財団およびサバ州野生生物局との研究協力協定締結式、およびその記念ワークショップに参加する。
今回調査に入ったマリアウベイスン自然保護区はマレーシア・サバ州の中央南部に位置し、近くにあるインバック自然保護区の南側にある。この保護区は直径30kmほどの盆地で形成され、周囲の外輪斜面(最高高度1667m)は急こう配な個所も多くみられる。この地区は泥炭湿地林からなる貧栄養地帯ではあるがそこには混交フタバガキ林の二次林が広がっている。保護区内にはいくつかの滝を形成しているマラウイ川が流れておりその先のキナバタンガン川へと向かっている。
観察結果より植物では果実性のものが想像以上に少ない印象を受けた。今回観察できた植物は板根を伴う高木はそれほど多くなく、トレッキングコースはキャナピー部分の開口部が多く地表にも多く太陽が射しこめていた。その他、地表には多くの種類の白アリの巣や昆虫類を観察できた。動物も果実に左右されるオランウータンやマカクなどの霊長類の種類も近くのダナンバレー保護区に比べそれほど多くは観察できなかった。鳥類はサイチョウ類と猛禽類を中心に多く観察できた。また観察できなかったが土壌や樹木や痕跡などからこの地区にいる大型哺乳類が立ち寄ったことが確認できた。(マレーグマ・センザンコウ・バビルーサ・サンバー・ゾウなど)また夜間での調査マレーシベットやバビルーサや爬虫類や昆虫類が観察できた。 また調査地をかえ、テングザル生息地のクリアスリバーに向かい川沿いの生息状況も観察する。
AS-HOPE Project<>
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