English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-23-007
霊長類の顔面形状発達に関する三次元骨構造の形態比較分析
報告者:矢野 航
期間:2011/8/19 - 2011/10/31
サル類の突顎性は、上・下顎骨のような顔面表面形状の前方発達だけではなく、頭蓋内部の骨構造の発達との三次元的総合として形成されると考えられるが、頭蓋内部の骨構造は観察・計測の困難さと分析方法が未整備だったため、これまで分析が行われてこなかった。霊長類における頭蓋顔面形態発達過程を明らかにするため3ヵ所の派遣先において霊長類頭蓋のCTデータの収集とそれに基づく内部骨構造の定量化と骨構造の三次元形状の発達変化の顔面表面形状形成への貢献を計算する先端的な数理形態解析手法(GM法)の開発のための共同研究を行った。GM法は1990年代に派遣先1のウィーン大学で開発・発達した当分野における標準的解析手法である。現在GM法の応用解析の開発は、派遣先1,2,3の対応研究者によって行われており、本研究に必要な応用解析の手法には彼らとの共同研究が必要であった。
チューリッヒ大学(スイス)で研究打ち合わせを行った後、ウィーン大学(オーストリア)とマックスプランク研究所進化人類研究部門(ドイツ)において、数値計算ソフトMathematicaを用いた数理形態評価法を、Philipp
Mitteroecker助教、Philipp Gunz研究員と共同で開発した。その後ヨーク大学(イギリス)に移り、当地で数理形態学の泰斗であるPaul
O'Higgins教授に開発した方法の妥当性の評価検討と、貴重な霊長類CTデータの供与をしていただいた。また当地で行われた数理形態学手法のワークショップにも参加し、理解を深めることができた。今回、開発された手法および得られたCTデータは、今後のより広範な成長研究への応用が可能であり、ヒトを含めた霊長類の頭蓋顔面形状の進化過程を成長期のCTデータから明らかにしようとする、我々の研究の発展に大いに貢献するものと思われる。
Zurich University
Philipp Mitteroecker助教と。Vienna Universityにて
Philipp Gunz研究員、JJ Hublin教授、Fred Spoor教授をはじめ、MaxPlanck研究所で行われたESHE2011の参加メンバーと。
Paul O'Higgins教授をはじめワークショップの参加メンバーと。York Universityにて
AS-HOPE Project<>
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