English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-23-004
シンポジウム参加と野生ボノボの予備的調査
報告者:徳山 奈帆子
期間:2011/8/6 - 2011/9/27
報告者は、群れで生活する動物において、攻撃交渉後に見られる行動“post- conflictbehavior”に関心がある。飼育下のボノボにおいて、攻撃交渉後の仲直り行動や、第三者との親和的交渉が増加する慰め行動があることが知られている。しかし、放飼場内で常に個体間の距離が近い飼育下のボノボと、離合集散の群れ形態を持ち、自由に攻撃者から離れることができる野生下のボノボは、攻撃交渉後に見られる行動も異なることが予想される。また、野生下において、ボノボの攻撃交渉はチンパンジーと比べ生起頻度が非常に低く、攻撃交渉が起こる文脈も異なると言われているが、それを示した研究はほとんどない。 報告者は来年度の長期調査で、ボノボの攻撃交渉全般についての研究を行いたいと考えている。長期調査に向け、実際に野生のボノボを観察し、収集するデータや方法について検討することが必要であり、今回の短期間の渡航を行った。
コンゴ民主共和国赤道州マバリにある生態森林研究所にて行われたシンポジウムにおいて、ニホンザルの攻撃交渉についての発表を行った。 ルオー保護区内にあるワンバ村には、8月15日から9月20日まで滞在し、周辺の森林にてボノボの直接観察を25日間行った。 ワンバではE1群、P群の2群の終日追跡が毎日行われている。報告者は主に、2010年から終日追跡を始めたP群の観察を行い、パーティを追跡しながら行動を観察するとともに、個体識別や糞サンプルの収集を行った。ボリンゴと呼ばれる人の頭ほどの大きさがある果実を数頭で分け合って食べる様子や、様々な性年齢の組み合わせでの遊び、メス同士のホカホカ、未成熟個体同士の交尾、サブグループの出会いなど、短い期間ながら様々な行動を観察することができた。 攻撃交渉の頻度は低く、はっきりと個体を確認出来た攻撃交渉は6回だった。メスからオスへの攻撃が2回観察されたのに対し、オスからメスへの攻撃が1度も観察されなかったのが興味深い。また、これらの攻撃交渉において、「仲直り行動」と思われるような行動は観察されなかった。
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