English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-22-009
インド・パキスタンの霊長類を含む哺乳類化石の形態データ収集と研究成果の発表
報告者:西岡 佑一郎
期間:2010/09/28 - 2010/10/15
ミャンマー中部の新生代堆積物からは多くの哺乳類化石が産出している。特に、近年霊長類研究所が調査しているグウェビン村周辺のイラワジ層(後期鮮新世~前期更新世の堆積物)からは、狭鼻猿類のコロブス類(Semnopithecus sp.
ハヌマンラングール)の化石が発見された。しかし、グウェビンの化石相は霊長類も含めまだ解析が進んでおらず、まずは分類学的研究、比較形態学的研究が必要とされた。アメリカ自然史博物館にはイラワジ相とも関連深いインド・パキスタンのシワリク相の標本が保管されており,比較データを得るためにもシワリク産の化石標本を観察する必要があった.
9/30~10/7にかけて,アメリカ自然史博物館(ニューヨーク)にてシワリク産偶蹄類標本の基礎データを収集した.今回の調査期間で研究対象としたのは主にウシ科,シカ科,キリン科の標本で,まずは各標本の収蔵場所と標本数を確認した.標本の観察は,産出地データのメモ→簡易スケッチと特徴の記載→計測→写真撮影の手順で行った.また,各種につき歯列の保存状態の良い標本を2~4点選出し,モールド(型)の作成を行った.モールド作成の際は予め対応者と連絡を取り合い,博物館の技術補佐員の指導のもと標本作成室にて作業を行った. 10/9からはピッツバーグにて開催された国際古脊椎動物学会に参加した.初日は「北米の第四紀洞窟産地を巡る野外巡検」に参加した.ペンシルバニア州には第四紀哺乳類化石の研究が盛んに行われてきた有名な洞窟産地が数多く分布しており,巡検ではクンバーランド洞窟,J. Guildy Hallと周辺のドリーネ地帯,ホリデイズバーグの石灰岩裂かを見学した.また,各地点では現地の研究者が調査の歴史や産出している哺乳類化石について解説し,お互いの研究内容についても意見交換を行うことができた. 10/10~10/13にかけては学会発表を聞くとともに,10/13にポスターセッションにて自分の研究成果を発表した.聴講者の中にはシワリクの化石(特に齧歯類)の研究でも有名なL. J. Flynn博士とも議論でき,大変良い機会を得ることができた.
アメリカ自然史博物館の偶蹄類標本庫と観察デスク
国際古脊椎動物学会の野外巡検(クンバーランド洞窟)
学会にてポスター発表
AS-HOPE Project<>
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