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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > vol. 48 京都大学霊長類研究所 年報vol. 48 2017年度の活動4. 共同利用研究会
「先端技術の導入による霊長類脳科学の進展と新たな概念の創出」 日時:2018年2月23日(金)13:15 ~ 2月24日(土)16:25 場所:公益財団法人 日本モンキーセンター ・ ビジターセンター内ホール 研究会世話人:高田昌彦
平成29年度から開始された共同利用・共同研究プロジェクトの計画研究「先端技術の導入による霊長類脳科学の進展と新たな概念の創出」では、光遺伝学・化学遺伝学の応用やウイルスベクターを利用した神経路選択的遺伝子操作技術の開発など、さまざまな先端技術の導入による霊長類脳科学の進展と新たな概念の創出を目指している。今回の研究会では、第1回目として以下のプログラムに従って、高次脳機能や精神・神経疾患に関する多様な研究を意欲的に展開している研究所内外の研究者(特に中堅・若手研究者)を中心に最新の研究成果の紹介として頂き、それぞれの革新的で想像的な研究テーマについて活発な情報交換、意見交換を行うことが出来た。
<プログラム> 2月23日(金) 13:15~13:20高田 昌彦開会挨拶 13:20~13:45雨森 賢一(京都大学 白眉センター) 13:45~14:10石田 裕昭(東京都医学総合研究所) 14:10~14:35磯田 昌岐(自然科学研究機構 生理学研究所) 14:35~15:00礒村 宜和(玉川大学 脳科学研究所) 15:00~15:25藤山 文乃(同志社大学 脳科学研究科) 15:25~15:45ブレイク 15:45~16:10植木 孝俊(名古屋市立大学大学院 医学研究科) 16:10~16:35宇賀 貴紀(山梨大学大学院 医学工学総合研究部) 16:35~17:00小山内 実(東北大学大学院 医学系研究科) 17:00~17:25松坂 義哉(東北医科薬科大学 医学部) 17:25~17:50小林 和人(福島県立医科大学 医学部生体機能研究部門) 17:50~情報交換会
2月24日(土) 9:30~ 9:55関 和彦 (国立精神・神経医療研究センター神経研究所) 9:55~10:20宋 文杰 (熊本大学大学院 生命科学研究部) 10:20~10:45田中 真樹(北海道大学大学院 医学研究科) 10:45~11:10筒井 健一郎 (東北大学大学院 生命科学研究科) 11:10~11:35南部 篤 (自然科学研究機構 生理学研究所) 11:35~12:00西村 幸男(東京都医学総合研究所) 12:00~14:15***昼食 ・モンキーセンター園内見学*** 14:15~14:40橋本 亮太(大阪大学大学院 医学系研究科) 中澤 敬信(大阪大学大学院 歯学研究科) 14:40~15:05平林 敏行(放射線医学総合研究所) 15:05~15:30松本 正幸(筑波大学医学医療系生命医科学域) 15:30~15:55南本 敬史(放射線医学総合研究所) 15:55~16:20郷 康広 (自然科学研究機構 新分野創成センター) 16:20~16:25高田 昌彦閉会挨拶
(文責:高田 昌彦)
「東日本大震災被災地,6年後のニホンザル管理を考える」 日時:2017年7月15日(土) 場所:コラッセふくしま(参加人数:89人) 企画責任者:半谷吾郎(京都大学霊長類研究所),川本芳(京都大学霊長類研究所),大井徹(石川県立大学)
2011年3月11日に発生した東日本大震災は,東北地方の人と自然に未曽有の被害をもたらした.日本霊長類学会では,東日本大震災発生の翌年に関連3学会(日本野生動物医学会・「野生生物と社会」学会・日本哺乳類学会)とともに公開シンポジウム「どうなる野生動物!東日本大震災の影響を考える」を開催するとともに,毎年の大会自由集会や,2015年の国際野生動物管理学術会議でのシンポジウムにおいて,福島県など東北のニホンザルやその生息地の被ばく影響,住民の帰還予定地における猿害問題など,霊長類研究者が取り組むべき課題について議論し,提言を行ってきた.また,被災地の研究活動や霊長類の保全活動に財政的支援を行った. 今年で,大震災発生後6年が経過したことになるが,多くの人々の記憶からは,震災の教訓や未だ続いている震災の影響のことが薄れつつある.本集会では,4つの講演と関連学会の代表からのコメントにより,1)現在のニホンザルの生息状況と被ばく影響について霊長類研究者に周知するとともに,2)取り組むべき課題を再整理し,今後の研究と活動の方向性を提案した.総合討論の結果、1)情報発信を継続する、2)地域で研究、活動をしている組織への支援を継続する、3)ニホンザルを長期的なモニタリングの対象とするよう関係機関に働きかける、4)以上の活動を強化するために関連学会との連携をするといった学会方針が提案された。 なお,本集会は日本霊長類学会第33回大会の中の自由集会として開催し、日本霊長類学会保全・福祉委員会が主催した.
<プログラム> 趣旨説明 大井徹(石川県立大学) 「被災地のニホンザルの生息実態と被害管理」大槻晃太(福島ニホンザルの会) 「森林生態系への放射線影響」山田文雄(森林総研) 「福島市のニホンザルにおける放射性セシウムの蓄積状況」羽山伸一(日本獣医生命科学大) 「福島県のニホンザルにおける放射性セシウムの蓄積状況」福本学(東北大学/東京医科大学) コメント 大沼学(日本野生動物医学会) 奥田圭(「野生生物と社会」学会) 山田文雄(日本哺乳類学会) 福本学(日本放射線影響学会) 総合討論 (文責:半谷吾郎・大井徹)
「霊長類のゲノムと細胞研究」 日時:2018年3月23日(金)・24日(土) 場所:京都大学霊長類研究所 大会議室(参加人数:60人) 共催: 京都大学教育研究振興財団、京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院
1973年に霊長類研究所に生化学研究部門が設置されて以降の45年間に分子・細胞生物学の進歩はめざましく、霊長類の研究にも多くの革新的な手法がもたらされた。その中でも、蛍光を使って染色体や細胞を可視化する技術や遺伝子配列を解析する技術が発展し、今日ではこうした技術により得られたゲノム配列を用いた研究も盛んになっている。本研究会では、これらの研究の総括を行い、今後の展開に向けた情報交換等を行った。今回は国外からの招待講演6件、国内からの9件の発表があり、世界各地の研究者が、討論を通じて相互の連携を強化することができた。
<プログラム> 3月23日 13:00~13:35 Roscoe Stanyon (University of Florence) Evolution of primate centromeres 13:35~14:00 Hery Wijayanto (Universitas Gadjah Mada) Research Collaboration in Wildlife Animals with Indonesian University (Challenge and Strategy to Success) 14:20~14:55 Anthony Tosi (Kent State University) Sex Chromosome Introgression in Cercopithecine Monkeys 14:55~15:30 Philip T. LoVerde (University of Texas) Cytogenetics of Schistosoma: A tale of development and accomplishment 16:00~17:00 Hirohisa Hirai (Kyoto University) In a town blooming flowers of fringe tree: chromosome evolution interwoven with heterochromatin 3月24日 10:00~10:30 Heui-Soo Kim (Pusan National University) Chromosomal Location and Molecular Features of HERV Elements in Primates 10:30~11:00 Hideyuki Tanabe (Sokendai) Spatial organization of chromosome territories and RCRO in primates 11:00~11:30 Toshihiko Shiroishi (National Institute of Genetics) Origin of laboratory mouse strains 13:00~13:20 Dyah Perwitasari-Farajallah (Bogor Agricultural University) Primate Research Center: an overview & research collaboration. 13:20~13:45 Hiroo Imai (Kyoto University) Taste receptors and feeding behaviors as a target of molecular biology of primates 13:45~14:05 Nami Hashido (Kyoto University) Genetic and functional diversity of bitter taste receptors in the Old World Monkeys 14:05~14:25 Takashi Hayakawa (Kyoto University) Repertoire evolution of the bitter taste receptor genes in plant-eating mammals 14:45~15:10 Yasuhiro Go (National Institute of Physiology) Cognitive genomics in primates 15:10~15:35 Masanori Imamura (Kyoto University) Evolutionary Developmental Biology with Primate Stem Cells 16:00~16:30 Hirohisa Hirai (Kyoto University) Y chromosome evolution by hiding behind autosome in night monkey (文責:今井啓雄)
「頭骨と歯の形態学:最近の展開」 日時:2018 年3月17~18日 場所:京都大学霊長類研究所大会議室(参加人数:25人)
霊長類を中心とした動物の頭骨・下顎・歯牙の形態やその機能に関する最新の研究手法と成果に関して情報交換を行った。頭骨や歯などの外部・内部形態をX線CTやレーザー式3次元スキャナーを用いて取得して解析した研究や、共焦点レーザーを用いて取得した歯の微少咬耗痕の解析結果など、多方面からの研究成果の発表があった。研究内容に関してはかなり詳しい質問があり、貴重な情報交換の場となった。
<プログラム> 3月17日(土) 13:15-13:30 趣旨説明 13:30-14:00 伊藤毅「CTデータにもとづく自動形態評価手法の開発」 14:00-14:30 浅見真生「幾何学的形態解析によるマカク属遊離歯化石の種同定」 14:30-14:45 コーヒーブレイク 14:45-15:15 佐々木智彦「化石人類における犬歯サイズの雌雄差推定:新手法の検討とその適用例」 15:15-15:45 河野礼子「CTデータを利用した歯の形態分析のさまざまな応用」 15:45-16:00 コーヒーブレイク 16:00-16:30 久保麦野「共焦点レーザー顕微鏡を用いた歯のマイクロウェア三次元形状解析」 16:30-17:00 山田英祐「遺跡出土動物臼歯の巨視的・微視的形態分析に基づく琉球列島家畜文化史の探究」 17:00-17:30 総合討論 18:00-20:00 懇親会(霊長類研究所食堂、参加費3000円)
3月18日(日) 9:30-10:00 河部壮一郎「鳥類における脳形状とサイズとの関係」 10:00-10:30 矢野 航「パス解析を用いた霊長類3種頭蓋顔面変異の階層的構造解析」 10:30-10:45 コーヒーブレイク 10:45-11:15 西岡佑一郎「反芻類は歯でどこまで分類できるのか~可児産の中新世シカ化石~」 11:15-12:00 総合討論 (文責:高井正成)
「第4回 ヒトを含めた霊長類比較解剖学-体幹の基本構成と特殊化を探る-」 開催日:平成29年12月16日 場所:京都大学霊長類研究所・大会議室(参加人数:約20人) 世話人:時田幸之輔(埼玉医科大学) 平崎鋭矢
ヒトを含めた霊長類比較解剖学として, 今年度は, 体幹の形態学的特徴を考えた。脊椎動物は頭部という特殊に分化した部分, 舌下神経からはじまる脊髄神経領域すなわち頚から尾の先までの体幹, そこに新しく突出した四肢から構成されている。これらのうち, 頚から尾のまでの体幹は,分節的構造の繰り返しにより作られている。 まず, 体幹の原型に照らしてその構造を考察することは霊長類の体の基本構成を理解する上で重要であると考えられる。一方, 頭部という特殊に分化した部分との移行部である頚部, 心臓・肺などをおさめ上肢帯筋が表面に広がる胸部,下肢との移行領域である腰部, 体幹(骨盤)の底をなす会陰部, 尾部など領域ごとに分節的構成が修飾されている。さらに体幹と四肢との移行領域は霊長類各種の多様な運動様式との関連も示唆され, 霊長類固有の構造も予想される。また,ヒトは直立二足姿勢という固有の姿勢をとる。よって, 特に腰背部にはヒト固有の形態も予想される。本研究会は, 体幹を構成する, 骨, 筋, 脈管, 脊髄神経についての肉眼解剖学的な調査を紹介していただくとともに, ヒトを含めた霊長類背部の基本構成と特殊化について, 理解を深めることを目的とした。研究会は, 下記のプログラムに示されるように多様な研究成果が報告され, 活発な議論がかわされた。
<プログラム> 12/16(土) 12:30~12:55開場・受付 12:55~13:00趣旨説明 時田幸之輔(埼玉医科大学)
Ⅰ 座長 平崎鋭矢(京都大学) 13:00~13:30若森 参(京都大学) 霊長類の尾椎形態と動きの関係 13:30~14:00東島沙弥佳(大阪市立大学) ヒト胚発生過程における尾部退縮過程の解明
Ⅱ座長荒川高光(神戸大学) 14:10~14:40栗原 望(宇都宮大学) スローロリスに見られた体軸骨格形成不全の一例 14:40~15:10郡司芽久(国立科学博物館) キリンにおける体軸骨格形成異常個体の報告
Ⅲ座長小島龍平(埼玉医科大学) 15:20~15:50布施祐子(天草リハビリテーション病院) ヒトの背部の構造~特に横突棘筋群と 支配神経に着目して 15:50~16:20緑川沙織(埼玉医科大学) 腹(前)鋸筋の比較解剖学
Ⅳ座長時田幸之輔(埼玉医科大学) 16:30~17:00荒川高光(神戸大学) 中斜角筋の一部筋束が第4肋骨付近まで停止を伸ばす例 17:00~17:30小泉政啓(東京有明医療大学) 「肩甲挙筋,菱形筋,前鋸筋」は頚部の外肋間筋 である -哺乳類の頚胸部体幹筋を比較解剖学的に整理する-
(文責:時田幸之輔、平崎鋭矢)
「第47回ホミニゼーション研究会 言語の生物学と進化」 日時:2017年12月19日(火)~20日(水) 場所:霊長類研究所大会議室(参加人数:49人) 共催:文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「共創的コミュニケーションのための言語進化学」
言語の起源と進化は、人類進化の一大イベントである。言語が、人類の今ある文化や文明の進化、発展の基盤となっていることに議論の余地はない。しかし、直立二足歩行や精緻なマニピュレーションなど他のヒト特異的な特徴に比して、言語の進化プロセスの理解はほとんど進んでいない。他の形質と異なり、言語は化石にならない。これが最大の障壁である。それゆえ、ヒトの言語関連形質を、ヒト以外の現生動物にみられる相同形質と比較し、個々の形質の系統進化プロセスを復元する比較研究が積み重ねられてきた。ヒトにもっとも近縁なサル類は、その比較対象として外せない。本研究会では、進化、認知、社会の3つ側面に焦点を当てて、現時点で描き出せる言語の生物学的基盤の霊長類的起源について議論した。プレナリー講演2件、発表9件があり、コメンテーター3名による総括と問題提起があった。討論を通じて相互の連携や新たな研究を展望することができた。
<プログラム> 12月19日(火) 13:00-13:05 趣旨説明 香田啓貴(京都大学霊長類研究所)
1. 言語の進化史を推定する(座長 香田啓貴) 13:05-13:45 橋本敬(北陸先端科学技術大学院大学知識科学系) 階層性と意図共有の創発構成論:ホミニゼーション研究との連携へ向けて 13:45-14:25 井原泰雄(東京大学大学院理学系研究科) 言語進化の生態学的側面 14:25-14:40 休憩
2. 言語を支える下位能力I(座長 西村剛) 14:40-15:00 香田啓貴(京都大学霊長類研究所) 発話能力の進化史の推定 15:00-15:20 伊藤浩介(新潟大学脳研究所統合脳機能研究センター) 頭皮上脳波記録で探る聴覚皮質機能の進化 15:20-15:40 服部裕子(京都大学霊長類研究所) 霊長類におけるリズム同調の進化と言語の起源 15:40-15:55 休憩
3. 言語を支える下位能力II(座長 足立幾磨) 15:55-16:15 足立幾麿(京都大学霊長類研究所) 感覚間一致の比較認知科学 16:15-16:35 橋彌和秀(九州大学大学院人間環境学研究院) コミュニケーションにおける意図の階層性と言語 16:35-17:05 コメントと討論 コメンテーター: 澤幸祐(専修大学人間科学部)
18:00-20:00 懇親会(於:霊長類研究所多目的ホール)
12月20日(水) 4. 霊長類のコミュニケーションから見た言語(座長 中村美知夫) 9:30-9:40 西村剛(京都大学霊長類研究所) はじめに:霊長類のコミュニケーションからみえるもの 9:40-10:10 勝野吏子(東京大学大学院総合文化研究科) ニホンザルの近距離社会場面でのコミュニケーション 10:10-10:40 市野進一郎(京都大学アフリカ地域研究資料センター) キツネザル類の社会行動とコミュニケーション 10:40-11:20 中村美知夫(京都大学大学院理学研究科) チンパンジーの「日常」から言語について考える 11:20 - 11:50 コメントと討論 コメンテーター: 坪川桂子(京都大学大学院理学研究科),小田亮(名古屋工業大学)
(文責:西村剛)
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