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京都大学 霊長類研究所 年報 vol. 48
京都大学霊長類研究所年報のページvol. 48

京都大学霊長類研究所 年報

vol. 48 2017年度の活動

  1. 概要

平成29年度の共同利用研究の研究課題は、以下3つのカテゴリーで実施されている。

A 計画研究

B 一般個人研究

C 随時募集研究

共同利用研究は、昭和57年度に「計画研究」と「自由研究」の2つの研究課題で実施され、昭和62年度からは「資料提供」(平成14年度から「施設利用」と名称を変更、さらに平成20年度から「随時募集研究」と名称を変更)を、平成6年度からは「所外供給」(平成14年度から「所外貸与」と名称を変更し、平成15年度で終了)が実施された。さらに平成23年度からは「自由研究」を「一般個人研究」と「一般グループ研究」(「一般グループ研究」は平成28年度で終了)に区分して実施されている。それぞれの研究課題の概略は以下の通りである。

「計画研究」は、本研究所推進者の企画に基づいて共同利用研究者を公募するもので、個々の「計画研究」は2~3年の期間内に終了し、成果をまとめ、公表を行う。

「一般個人研究」は、「計画研究」に該当しないプロジェクトで、応募者の自由な着想と計画に基づき、所内対応者の協力を得て共同研究を実施する。

「随時募集研究」は資料(体液、臓器、筋肉、毛皮、歯牙・骨格、排泄物等。生理実験・行動実験・行動観察も含む)を提供して行われる共同研究である。

なお、平成22年度から、霊長類研究所は従来の全国共同利用の附置研究所から「共同利用・共同研究拠点」となり、これに伴い、共同利用・共同研究も拠点事業として進められることとなった。

平成29年度の計画研究課題、および共同利用研究への応募・採択状況は以下のとおりである。


(1) 計画研究課題

  1. 頭骨及び歯の形態に関する多面的研究

実施予定年度:平成27~29年度

課題推進者:高井正成、西村剛、江木直子、平崎鋭矢、伊藤毅

霊長類を中心とした動物の頭骨・顎・歯牙の形態やその機能に関して、外表形の幾何形態学的解析やCTを用いた内部構造解析、運動学的解析、数値シミュレーション分析などといった様々な手法を用いた研究を推進する。


  1. 霊長類のこころ・からだ・くらしにおける発達と加齢に関する総合的研究

実施予定年度:平成27~29年度

課題推進者:友永雅己、宮部貴子、林美里、足立幾磨

チンパンジー、テナガザルなどの類人猿やニホンザルなどの真猿類を主たる対象として、胎生期から老年期までの各年齢段階におけるこころ・からだ・くらしの変化とその相互作用について総合的に研究を進める。比較認知科学、行動学、形態学、生理学・獣医学など多様な研究手法のもと、実験室や放飼場などでの認知実験や社会行動の観察、身体機能の発達的変化、加齢にともなう健康管理など、多様なトピックを統合的に推進する。


  1. 先端技術の導入による霊長類脳科学の進展と新たな概念の創出

実施予定年度:平成29~31年度

課題推進者:高田昌彦、中村克樹、大石高生、宮地重弘、井上謙一

光遺伝学・化学遺伝学の応用やウイルスベクターを利用した神経路選択的遺子操作技術の開発など、さまざまな先端技術の導入による霊長類脳科学の進展と新たな概念の創出を目指した、革新的で創造的な研究テーマを取り上げる。


  1. アジアに生息する霊長類の起源、現在と将来:サルの暮らし、遺伝と形態に関する国際共同研究

実施予定年度:平成29~31年度

課題推進者:マイケル・ハフマン、田中洋之、辻大和、濱田穣、岡本宗裕、湯本貴和

アジアに広く分布するマカク類、ラングール類などを対象に、保全、進化、行動生態など多面的な観点からの基礎および応用的研究を推進する。本課題では、原則的に海外研究者を含む研究課題を採択し、レンジカントリーにおける霊長類学の推進とその実態比較から、野生霊長類の基礎研究を保全管理に結び付けることを目的とする。


(2) 共同利用研究への応募並びに採択状況

平成29年度は計126件(延べ318名)の応募があり、共同利用実行委員会(友永雅己、古賀章彦、明里宏文、大石高生、辻大和、西村剛)において採択原案を作成し、共同利用専門委員会(平成29年2月28日)の審議・決定を経て、拠点運営協議会(平成29年3月16日)で承認された。その結果、116件(306名)が採択された。

各課題についての応募・採択状況は以下のとおりである。

課題応募 採択

計画研究28件(85名)26件(83名)

一般個人研究74件(181名)67件(172名)

随時募集研究24件(52名)23件(51名)

研究会6件(6名)6件(6名)

合計132件(324名)122件(312名)


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