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京都大学 霊長類研究所 年報 vol. 48
京都大学霊長類研究所年報のページvol. 48

京都大学霊長類研究所 年報

vol. 48 2017年度の活動


人類進化モデル研究センター

霊長類研究所では、12種約1200頭の研究用サル類を飼育している。人類進化モデル研究センターは所内の各種研究の支援やナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRPニホンザル)へのサルの供給のために、施設整備、各種母群の維持、飼育・繁殖、健康管理をおこなうとともに、これらのサルについての種々の研究を推進している。各々の専門性を活かし、飼育管理業務だけではなく、施設管理、データベースの構築・維持、検査業務等、多方面にわたって所内の活動を支援している。

平成12年度より開始した、熊本サンクチュアリおよび日本モンキーセンターの獣医師との合同カンファレンスは、さらに京都大学ウイルス・再生医科学研究所の獣医師を加え、二月に1度の割合で実施した。また、平成16年度からは日本モンキーセンター獣医師との連携を深め、一月に一度程度の割合で、手術のサポートを行った。

ニホンザルNBRPに関しては別途記載があるので、その項目を参照されたい。

人事に関しては、以下の通りである。2018年3月に准教授の川本芳が退職した。未踏科学研究ユニット<ヒトと自然の連鎖生命科学研究ユニット>の特別招へい講師としてNazish BOSTANが3月より8月まで(受入教員は明里)、特別招へい教授としてMukesh Kumar CHALISEが4月より2018年3月まで(受入教員は川本)滞在した。2017年4月より技能補佐員の町田聡子、6月より技能補佐員の土屋佳代子・赤羽由美子、7月より特定研究員の鷲崎彩夏、8月より技術補佐員のTAN Wei Keat、10月より技能補佐員のゴドジャリ静、2018年2月より教務補佐員の金宗潤、3月より技能補佐員の坂下佐貴子・柴田夕華・駒田爽を雇用した。また、4月に技能補佐員の尾鷲享子、6月に研究員の鷲崎彩夏、技能補佐員の西場正子、7月に技能補佐員の後藤久美子、11月に研究支援推進員の塩澤裕子、2018年3月に教務補佐員の阿部政光、技術補佐員のTAN Wei Keat、技能補佐員の川本咲江・勝谷えり子・西岡享子・赤羽由美子が退職した。


<研究概要>

霊長類モデルを用いたHIV感染症根治のための基盤研究(1):HIV潜伏感染に関する解析

関洋平、村田めぐみ、鷲崎彩夏、Nazish Bostan、Wei Keat Tan、寒川裕之、辻薫、多胡哲也、明里宏文

今日、HIV-1感染症は適切な抗HIV療法(ART)により、AIDSに至ることなく日常生活を送ることが可能な慢性疾患となった。しかし、HIV感染者は治療の長期化に伴う様々な非感染性合併症の発症リスクが高いことに加え、精神的・社会的リスクも非常に大きい。現状では、最新のARTでもHIVを体内から除去することは不可能であり、ART中断によりHIVリバウンドが生じるため終生のART治療が必要となり、保健医療における経済的負担も非常に大きい。従って、根治を目指した新たな取り組みが求められる。私達は、独自に開発した新規HIV感染霊長類モデルの活用というユニークな切り口により、HIV感染症の根治治療法創出に向けた基盤を確立すべく前臨床試験を中心とした基礎・応用研究を推進している。これまでに、サルへの感染性を獲得した改変HIV-1を用いて長期潜伏HIV-1感染霊長類モデルを確立することに初めて成功した。このモデルでは、カニクイザルへのウイルス接種後ヒトと同レベルの感染初期ウイルスロードを呈した後、細胞性・液性獲得免疫の協調的応答により長期にわたり血漿中ウイルスRNAが検出限界以下に制御される。この際、生検リンパ節細胞のソーティング解析によりリンパ節胚中心の濾胞性ヘルパーT細胞にHIVが局在していること、また人為的免疫抑制によりウイルス再活性化が生じることを見いだしている。すなわち、長期潜伏感染霊長類モデルを用いることで、HIV感染者を対象とした介入試験では困難なリンパ節の連続生検によるリザーバーサイズの詳細な動態評価が可能となった。


霊長類モデルを用いたHIV感染症根治のための基盤研究(2):shock and kill療法に関する解析

鷲崎彩夏、関洋平、村田めぐみ、Wei Keat Tan、寒川裕之、辻薫、多胡哲也、明里宏文

HIV-1潜伏感染霊長類モデルによるshock and kill療法の前臨床試験を念頭に、カニクイザル末梢血リンパ球におけるLatency reversing agent (LRA)の細胞活性化能及び細胞毒性を検討した。10MA-1は入江教授(本学農学研究科)らが開発したLRAの1種であり、BET阻害薬であるJQ1を併用することにより潜伏感染HIVの活性化において顕著な相乗効果を示した。10MA-1単独、JQ1との併用ともに、顕著な細胞毒性は認められなかった。以上の結果より、10MA-1とJQ1の併用により安全性の高いLRAとして有用であることが示唆された。今後はHIV-1潜伏感染ザルの末梢血リンパ球細胞及びリンパ節細胞を用いて、上記LRAによるリザーバー細胞からのHIV-1誘導効果、及び炎症応答について検討を行う。最終的には、HIV-1潜伏感染カニクイザルへの投薬によるリザーバーサイズの縮減効果を評価したい。


新規B型肝炎ワクチンに関する開発研究

鷲崎彩夏、村田めぐみ、関洋平、辻薫、明里宏文

現行のHBVワクチンである遺伝子型A株由来のヘプタバックスと遺伝子型C株由来のビームゲンは、どちらもほぼ同様に中和抗体誘導が可能と考えられている。しかし、何らかの個人差により抗体誘導が不十分もしくは不応答となる場合や、経過に伴い抗体価が低下した場合には、ワクチン株と異なる遺伝子型のHBV株の暴露により感染が成立しうる。さらにワクチン接種では感染阻止が難しい中和エピトープに変異を持つHBV株(ワクチンエスケープ変異)の存在も問題となっている。そこで本研究では、より中和効果の高い抗体を誘導可能なHBVワクチンの開発を目標としている。すなわち、preS1-HBs領域を含む酵母由来の組換え蛋白質ワクチン、および培養細胞で作製した不活化 HBV粒子ワクチンを用い、霊長類モデルでその安全性と有効性について評価を行い改良ワクチンとしての可能性を検証する。今年度は、既存のワクチン抗原と比較してより多くの中和エピトープを含むpreS1-HBs組換え蛋白質ワクチンをアカゲザルに接種した。その安全性および免疫誘導能について、ビームゲン接種群を対照群としてフォローアップ調査を行っている。


STLV−1自然感染ニホンザルに関するCohort研究

村田めぐみ、鷲崎彩夏、関洋平、Wei Keat Tan、寒川裕之、辻薫、明里宏文

本邦ではHTLV-1キャリアは約100万人とされ、その陽性率は約1%となっている。他方、日本固有の野生霊長類であるニホンザルは、HTLV-1に非常に近縁なレトロウイルスであるSTLV-1に非常に高い割合で感染していることが報告されている。この原因として、一部のサル個体がSTLV-1で個体内でのウイルス量が顕著に高いといった可能性が挙げられるが、詳細は不明である。本研究では霊長類研究所の放飼場で飼育されているニホンザル300頭について、STLV-1特異抗体およびプロウイルスDNA陽性細胞の定量的解析を行うとともに、経年的な変動や母子感染、水平感染の可能性について検討を行った。その結果、STLV-1抗体陽性率は約66%であり、高頻度のSTLV-1感染が確認された。抗体陽性の個体のほとんど(95.7%)が末梢血リンパ球のプロウイルスDNAが陽性であった。その抗体価やプロウイルスDNA陽性細胞率およびその頻度分布は、HTLV-1キャリアにおける場合とほぼ同程度を示しており、個体内でのSTLV-1ウイルス量が特に高いとは考えられなかった。次に、母子関係とSTLV-1感染を検討したところ、母子感染率は約20%であり、HTLV-1母子感染率(母乳の長期授乳で15-20%)とほぼ同程度であった。他方、水平感染の可能性について検討したところ、4年間での陽転率は85.7%でありヒトでのHTLV-1水平感染頻度と比べ顕著に高いものであった。以上の結果より、STLV-1高感染率の原因はウイルスそのものの特性というよりはむしろニホンザルの社会生態に基づく個体間感染機会の多さによるものと推測された。


サル類のストレス定量および動物福祉のための基礎研究

鈴木樹理、兼子明久、石上暁代、山中淳史

飼育環境でのストレス反応を定量することとその軽減策の検討のために、非侵襲性の慢性ストレスモニタリングの試料として体毛に着目し、マカク類体毛中コーチゾルの測定法確立及び基礎データの収集を行っている。


ニホンザルの集団遺伝学的研究

川本芳、川本咲江、森光由樹(兵庫県立大学自然・環境科学研究所)

ニホンザルの保全管理単位の抽出に関する基礎研究を継続した。前年度に九州, 四国の調査が進んだので今年度は本州を中心に地域個体群の「歴史性」と「遺伝的連続性」に関する分析を進めた。


海外のマカカ属サルの集団遺伝学的研究

川本芳、田中洋之、濱田穣(進化形態分野)、MA Haffman(社会進化分野)、T Norbu(ブータン森林省)、M Chalise(Tribhuvan大学)

2017年4月~6月にネパールからM Chalise氏を招聘しネパールヒマラヤにおけるアッサムモンキーとアカゲザルの系統地理研究を行った。この成果の一部を論文公表した。また、2018年1月にはブータンから共同利用研究員のT Norbu氏を招き, ブータンのマカクに関する遺伝子分析を行った。同2月にはネパールのカトマンズで開催された国際シンポジウムに参加し, 主として外来種問題に関する研究成果を口頭発表した。


ボノボの保全遺伝学的研究

川本芳、牧野瀬恵美子、古市剛史(社会進化分野)、竹元博幸(社会進化分野)、坂巻哲也(社会進化分野)、橋本千絵(生態保全分野)、石塚真太郎(社会進化分野)

コンゴ民主共和国のSalonga地域から得た試料を追加分析した結果を以前の結果に加え, ボノボ個体群の成立過程を検討した論文を公表した。また, ボノボの群内群間の血縁構造に関する分析結果をまとめて口頭発表し、論文を投稿した。


家畜化現象と家畜系統史の研究

川本芳、稲村哲也(放送大学)、山本紀夫(国立民族学博物館)

アンデスおよびヒマラヤの高地での家畜利用および特異な家畜化につき総説を書き出版準備中である。また, 旧大陸におけるラクダ科動物の交雑利用を調査するため, カザフスタンのヒトコブラクダとフタコブラクダの基礎研究を開始した。


ニホンザルの保全遺伝学的研究

川本芳、川本咲江、郷康広(自然科学研究機構)、栫裕永(競走馬理化研)

前年度から進めてきた千葉県房総半島の外来種交雑につき,学会等で調査結果を発表し,成果の一部を論文として公表した。富津市高宕山自然動物園で発生した交雑を精査した結果,天然記念物指定地域を含む房総半島の広域に外来種の影響が及ぶことが危惧された。


マカクザルコロニーの集団遺伝学的研究

田中洋之、川本 芳、川本咲江、森本真弓

本研究は、霊長類研究所で維持されるマカクザル繁殖コロニーの嵐山群、高浜群、若桜群、インド群、中国群を対象に、遺伝的多様性のモニタリングを行っている。H29年度は、調査対象としている群れの採材は行わなかったが、NBRのニホンザルの0才児について父子判定を行った。マカクザル繁殖コロニーの初期の世代の血液試料のDNA化を行った。


キタブタオザルの系統地理学的研究および東南アジア産霊長類の保全遺伝学的研究

田中洋之、川本 芳、濱田 穣(進化形態分野)

ミャンマー産キタブタオザルのmtDNAの塩基配列決定を行い、キタブタオザルの系統地理学的研究を継続した。Aye Mi San氏(ミャンマー)との共同利用研究では、アカゲザルの集団管理のための基礎データとすべく、ミャンマー各地のアカゲザルのmtDNAの塩基配列決定を行い、マイクロサテライトDNA分析の予備実験を行った。また、ベトナムのCenter for Ressue and Conservation of Organisms (CRCO)に保護されたキタブタオザルの出自を調べるために、mtDNAの塩基配列の分析を行った。

スローロリスの保全遺伝学的研究を進めた。共同利用研究で来日した(2017年10月3~8日)Hao Luong Van氏(ベトナム)とともに、昨年度ベンガルスローロリス及びピグミースローロリスを対象に開発したmtDNAマーカーを用いて、CRCOに保護されたスローロリス12頭のmtDNA分析を行った。


サル類の痛みに関する多面的研究

宮部貴子、兼子明久、愛洲星太郎、橋本直子、釜中慶朗、牟田佳那子(東京大学)、西村亮平(東京大学)、太田裕貴(東京慈恵会医科大学)、岡野ジェイムス洋尚(東京慈恵会医科大学)、Danie Mills(University of Lincoln)

ニホンザルおよびマーモセットが外傷を負ったとき、および他の研究目的で開腹手術等の痛みを伴う処置が必要な時に、痛みがあると想定される状況、および痛みがないと想定される状況でビデオ撮影をおこなった。ビデオから静止画を抽出し、表情解析をおこなっている。さらに、ビデオから行動解析をおこなっている。


サル類及びチンパンジーの麻酔に関する臨床研究

宮部貴子、兼子明久、山中淳史、石上暁代、宮本陽子、鈴木樹理、岡本宗裕、友永雅己(思考言語)、松沢哲郎(高等研究院)、増井健一(昭和大学)

サル類やチンパンジー等の麻酔の質を向上させるために、麻酔に関する臨床研究をおこなっている。他の研究や、検診、治療等の目的で麻酔をする際に、麻酔時間や呼吸循環動態に関するデータを収集している。チンパンジーの健診の際に、静脈麻酔薬プロポフォールを使用し、投与後の血中濃度を経時的に測定した。その結果、チンパンジーにおけるプロポフォール投与後の血中濃度の変化は、ヒトの薬物動態モデルで予測が可能であることが示唆された。現在、ヒト用の目的制御投与ポンプを用いて、チンパンジーの麻酔維持を試みている。



サル類の自然発症疾患に関する研究

宮部貴子、兼子明久、石上暁代、山中淳史、宮本陽子、鈴木樹理、平田暁大(岐阜大学)

サル類およびチンパンジーの自然発症疾患について研究している。ニホンザルにおける肝細胞癌の頭蓋内転移や、チンパンジーにおけるクモ膜下出血等について、臨床症状、臨床経過、各種臨床検査の結果(血液検査、CT、MRI、超音波など)、および病理検査の結果を詳細に検討した。


人類進化モデル研究センター勉強会 (Discussion Forum of CHEMR)

2015年度からはじめた勉強会を継続している。今年度の話題提供者とタイトルは以下の通りである。

第1回2017年4月24日 川本芳

房総半島のニホンザル交雑はどこまで進んでいるか:2016年度高宕山交雑調査からわかった新局面

第2回2017年5月29日 Mukesh Chalise Kumar(ネパール トリブバン大学)

Wildlife Farming Initiation in Nepal

第3回2017年6月19日 高須正規(岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科)

集団獣医療に基づく生物のモニタリング

第4回2017年7月3日 Sree Kanthaswamy (New College of Interdisciplinary Arts and Sciences, ASU & California National Primate Research Center(CNPRC)))

ABO Blood Group Phenotype Frequency Estimation Using Molecular Phenotyping in Rhesus and Cynomolgus Macaques

第5回2017年9月11日 兼子明久

屋久島における麻酔捕獲調査(研究協力報告)

第6回2017年10月16日 森有紀子(中北薬品株式会社企画経営本部マナーインストラクター部)

アサーティブコミュニケーション

第7回2017年11月20日 兼子明久

タンザニアでの生息地研修から見えたこと

第8回2017年12月11日 明里宏文

サルT細胞白血病ウイルスに自然感染しているニホンザル:感染疫学, 分子ウイルス学から動物モデルへの応用

第9回2018年2月5日 宮部貴子, 森本真弓, 兼子明久

「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」についての説明

第10回2018年2月26日 鈴木樹理, 前田典彦, 兼子明久, 愛洲星太郎, 川本芳

所内に侵入した野生ニホンザルならびにカラス対策の試みについて


技術支援(所外)

兼子明久,石上暁代:診療補助,獣医学的技術支援@日本モンキーセンター

兼子明久,石上暁代:マーモセット検疫事前検査@広島大学

石上暁代:マーモセットの飼育・健康管理指導@名古屋大学

石上暁代:マーモセット脳画像研究の補助@国立循環器病研究センター


<研究業績>

原著論文

#Khanal L, Chalise MK, He K, Acharya BK, Kawamoto Y, Jiang X (2018) Mitochondrial DNA analyses and ecological niche modeling reveal post-LGM expansion of the Assam macaque (Macaca assamensis) in the foothills of Nepal Himalaya. American Journal of Primatology, 80: e22748.

川本芳, 川本咲江, 濱田穣, 山川央, 直井洋司, 萩原光, 白鳥大祐, 白井啓, 杉浦義文, 郷康広, 辰本将司, 栫裕永, 羽山伸一, 丸橋珠樹 (2017) 千葉県房総半島の高宕山自然動物園でのアカゲザル交雑と天然記念物指定地域への交雑拡大の懸念. 霊長類研究, 33: 69-77.

#Hayama S, Tsuchiya M, Ochiai K, Nakiri S, Nakanishi S, Ishii N, Takuya K, Tanaka A, Konno F, Kawamoto Y, Omi T (2017) Small head size and delayed body weight growth in wild Japanese monkey fetuses after the Fukushima Daiichi nuclear disaster. Scientific Reports, 7: 3528.

Takemoto H, Kawamoto Y, Higuchi S, Makinose E, Hart JA, Hart TB, Sakamaki T, Tokuyama N, Reinartz GE, Guislain P, Dupain J, Cobden AK, Mulavwa MN, Yangozene K, Darroze S, Devos C, Furuichi T. (2017) The mitochondrial ancestor of bonobos and the origin of their major haplogroups. PLoS ONE, 12: e0174851.

Kawakami F, Tomonaga M, Suzuki J (2017) The first smile: spontaneous smiles in newborn Japanese macaques (Macaca fuscata). Primates, 58: 93-101.

橋本直子(2017) 飼育ニホンザルにおける contrafreeloading に もとづいた採食エンリッチメントの検討, 生理学技術研究会報告第39号・生物学技術研究会報告, 28, 36-38.

Itami T, Aida H, Asakawa M, Fujii Y, Iizuka T, Imai A, et al. Association between preoperative characteristics and risk of anaesthesia-related death in dogs in small-animal referral hospitals in Japan. Veterinary Anaesthesia and Analgesia. 2017;44:461–472.

Tsutaya T, Fujimori Y, Hayashi M, Yoneda M, Miyabe‐Nishiwaki T. Carbon and nitrogen stable isotopic offsets between diet and hair/feces in captive chimpanzees. Rapid Communications in Mass Spectrometry. 2017;31:59–67.

Sakai T, Mikami A, Suzuki J, Miyabe-Nishiwaki T, Matsui M, Tomonaga M, et al. Developmental trajectory of the corpus callosum from infancy to the juvenile stage: Comparative MRI between chimpanzees and humans. PLOS ONE. 2017;12:e0179624.

Miyabe‐Nishiwaki T, Hirata A, Kaneko A, Ishigami A, Miyamoto Y, Yamanaka A, et al. Hepatocellular carcinoma with intracranial metastasis in a Japanese macaque (Macaca fuscata). Journal of Medical Primatology. 2017;46:93–100.

Mhinovic, Eleveld D, Miyabe-Nishiwaki T, Struys M, Absalom A. Pharmacokinetics and pharmacodynamics of propofol: changes in patients with frontal brain tumours. British journal of anaesthesia. 2017;118:901–909.

Iizuka T, Masui K, Miyabe-Nishiwaki T, Kanazawa H, Nishimura R. Propofol-fentanyl interaction in Beagles - Apnea, response to mechanical ventilation, endotracheal tube, and tetanic stimulation. Research in veterinary science. 2017;115:34–42.

Konoike N, Miwa M, Ishigami A, and Nakamura K (2017) Hypoxemia after single-shot anesthesia in common marmosets. Journal of Medical Primatology, 46, 70-74.

Yokokawa H, Higashino A, Suzuki S, Moriyama M, Nakamura N, Suzuki T, Suzuki R, Ishii K, Kobiyama K, Ishii K, Wakita T, Akari H*, Kato T (2018) Induction of humoural and cellular immunity by immunisation with HCV particle vaccine in a non-human primate model. Gut 67, 372-379.

Nakashima M, Tsuzuki S, Awazu H, Hamano A, Okada A, Ode H, Maejima M, Hachiya A, Yokomaku Y, Watanabe N, Akari H, Iwatani Y (2017) Mapping Region of Human Restriction Factor APOBEC3H Critical for Interaction with HIV-1 Vif. Journal of Molecular Biology 429, 1262-1276.

Furuta R, Yasunaga J, Miura M, Sugata K, Saito A, Akari H, Ueno T, Takenouchi N, Fujisawa J, Koh KR, Higuchi Y, Mahgoub M, Shimizu M, Matsuda F, Melamed A, Bangham CR, Masao Matsuoka M (2017) Human T-cell leukemia virus type 1 infects multiple lineage hematopoietic cells in vivo. PLoS pathogens 13, e1006722.


書評・総説

川本芳 (2017) 『哺乳類の生物地理学』 増田隆一 著, 霊長類研究, 33(2): 105.

加藤孝宣、明里宏文(2017)C型肝炎ウイルスワクチンとアジュバント. 次世代アジュバント開発のためのメカニズム解明と安全性評価、第4章、第10節


学会発表

石上暁代、兼子明久、前田典彦、森本真弓、橋本直子、愛洲星太郎、山中淳史、夏目尊好、鈴木樹理 (2017) 集団飼育マカクの寄生虫駆除への取り組み.第26回サル疾病ワークショップ. (2017/7/1, 相模原市)

兼子明久、石上暁代、山中淳史、宮部貴子、鈴木樹理 (2017) 京都大学霊長類研究所における50年間のマカク死因調査と今後の展望. 第26回サル疾病ワークショップ. (2017/7/1, 相模原市)

兼子明久、山中淳史、石上暁代、前田典彦、宮部貴子、林美里、友永雅己、鈴木樹理 (2017) 京都大学霊長類研究所におけるチンパンジーの健康診断. SAGA20. (2017/11,犬山市)

橋本直子、西岡享子 (2017) 群飼育マカク群における空間エンリッチメントのモニタリング.第51回日本実験動物技術者協会総会.(2017/10/12,山形市)

愛洲星太郎、森本真弓、前田典彦、兼子明久、橋本直子、石上暁代、山中淳史、夏目尊好、宮本陽子(2017)個体情報管理システムのweb化および無線LAN環境の構築.第51回日本実験動物技術者協会総会(2017/10/12,山形市)

石上暁代(2017)基盤技術チュートリアル「体調不良個体の処置」. 第7回日本マーモセット研究会(2018/1/16, 京都)

Kawamoto Y, Kawamoto S, Hamada Y, Go Y, Tatsumoto S, Kakoi H, Naoi Y, Hagihara K, Shiratori D, Shirai K, Sugiura Y (2017) To what extent can we identify hybridization of macaques by means of morphology and genetics? – Lessons from the study of a rhesuss and Japanese macaque hybrid population in the Bousou Peninsula, Japan. Satellite International Symposium on Asian Primates, Nepal – 2018. (2018/02, Kathmandu)

和歌山タイワンザルワーキンググループ(発表者:川本芳)和歌山で野生化したタイワンザルの群れの根絶. 第62回プリマーテス研究会. (2018/01, 犬山市)

川本芳, 川本咲江, 濱田穣, 山川央, 直井洋司, 萩原光, 白鳥大祐, 白井啓, 杉浦義文, 郷康広, 辰本将司, 栫裕永, 羽山伸一, 丸橋珠樹 (2017) 外来種交雑の遺伝的モニタリング:マルチプレックスSNP分析法の開発と房総半島でのアカゲザル交雑評価への応用. 日本哺乳類学会 2017年度大会. (2017/9, 富山市)

白井啓, 川本芳 (2017) 和歌山タイワンザル問題と千葉アカゲザル問題の現状と展望. 日本哺乳類学会2017年度大会自由集会 (2017/9, 富山市)

#山本有沙, 吉村久志, 山本昌美, 加藤卓也, 名切幸枝, 石井奈穂美, 落合和彦, 近江俊徳, 羽山伸一, 中西せつ子, 今野文治, 川本芳 (2017) 福島第一原発被災後の福島市の野生ニホンザルにおける末梢血球数および骨髄造血組織の減少について. 第33回日本霊長類学会大会. (2017/7, 福島市)

#土屋萌, 落合和彦, 鈴木浩悦, 神谷新司, 加藤卓也, 名切幸枝, 石井奈穂美, 近江俊徳, 羽山伸一, 中西せつ子, 今野文治, 川本芳(2017) 福島第一原発災害後の福島市に生息する野生ニホンザルの胎仔と幼獣の成長遅滞について. 第33回日本霊長類学会大会. (2017/7, 福島市)

#鈴木諒平, 吉村久志, 山本昌美, 加藤卓也, 名切幸枝, 石井奈穂美, 落合和彦, 近江俊徳, 羽山伸一, 中西せつ子, 今野文治, 川本芳 (2017) 福島第一原子力発電所事故後の福島県福島市のニホンザル(Macaca fuscata)における甲状腺の組織形態学的変化について. 第33回日本霊長類学会大会. (2017/7, 福島市)

石塚真太郎, 川本芳, 坂巻哲也, 徳山奈帆子, 戸田和弥, 岡村弘樹, 古市剛史 (2017) ワンバのボノボにおけるオスの繁殖成功, および隣接複数集団の血縁構造. 第33回日本霊長類学会大会. (2017/7, 福島市)

川本芳, 川本咲江, 濱田穣, 山川央, 直井洋司, 萩原光, 白鳥大祐, 白井啓, 杉浦義文, 郷康広, 辰本将司, 栫裕永, 羽山伸一, 丸橋珠樹 (2017) 千葉県高宕山自然動物園の外来種交雑. 第33回日本霊長類学会大会. (2017/7, 福島市)

川本芳 (2017) 房総半島のニホンザル交雑はどこまで進んでいるか: 2016年度高宕山交雑調査からわかった新局面. 第9回遺伝子の窓から研究会. (2017/5, 日光市)

#Aye Mi San, Hiroyuki Tanaka & Yuzuru Hamada (2017) Anthropogenic activities on non-human primates in Mon State, Myanmar. The 7th Asian Vertebrate International Symposium (University of Yangon, December 5-9, 2017).

#Tanaka H, Luong VH, San AM, Kawamoto Y, Hamada Y (2017) Development of a mitochondrial marker for conservation genetics of slow loris. 第33回日本霊長類学会大会. (2017/7/16, 福島市)

平舘裕希、水上拓郎、関洋平、村田めぐみ、鷲崎彩夏、手塚健太、鈴木樹理、兼子明久、佐々木永太、野島清子、石上暁代、安永純一朗、蔵田潔、松岡雅雄、明里宏文、浜口功(2017)閉経期雌ニホンザルの生殖器官におけるSTLV-1感染動態の解析.第4回日本HTLV-1学会学術集会.2017年8月19日、大阪

水上拓郎、野島清子、松本千恵子、蕎麦田理英子、村田めぐみ、平舘裕希、鷲崎彩夏、関洋平、森本真弓、夏目尊好、松岡佐保子、大隈和、内丸薫、佐竹正博、明里宏文、浜口功(2017)臨床応用を目指した抗HTLV-1免疫グロブリン製剤の開発とニホンザルSTLV-1母子感染動態の解析.第4回日本HTLV-1学会学術集会.2017年8月19日、大阪

Shigeyoshi Harada, Yuta Hikichi, Yohei Seki, Akatsuki Saito, Takeshi Yoshida, Hirotake Ode, Yasumasa Iwatani, Yasuhiro Yasutomi, Tomoyuki Miura, Tetsuro Matano, Hirofumi Akari, Kazuhisa Yoshimura (2017) Bi-functional entry inhibitors sensitize macaque-tropic human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1mt) to antibodies generated in HIV-1mt-infected macaques. 35th Annual Symposium on Nonhuman Primate Models for AIDS. August 22-25, 2017, Madison

Ayaka Washizaki, Megumi Murata, Yohei Seki, Yin Pui Tang, Kazuhiro Irie, Hirofumi Akari (2017) A novel PKC activator, 10-methyl-aplog-1 efficiently induces latently infected HIV-1 in combination with BET inhibitor JQ1. 35th Annual Symposium on Nonhuman Primate Models for AIDS. August 22-25, 2017, Madiso

Mizukami T, Nojima K, Sobata R, Murata M, Kuribayashi W, Matsumoto C, Sato Y, Washizaki A, Sasaki E, Seki Y, Furuhata K, Morimoto M, Hiradate Y, Matsuoka S, Natsume T, Ohkuma K, Uchimaru K, Akari H, Satake M, Hamaguchi I (2017) Development of HTLV-1 hyperimmune globulins against HTLV-1 infection. 第79回日本血液学会学術集会.2017年10月20日、東京

Murata M, Washizaki A, Seki Y, Yasunaga J, Matsuoka M, Akari H (2017) The transmission route of STLV-1 in Japanese macaques (Macaca fuscata). 65th Annual Meeting of the Japanese Society for Virology. October 24-26, 2017, Osaka

Saiful IS, Yohei Seki Y, Miyazato P, Yang BTJ, Akari H, Satou Y (2017) Absolute Quantitation of Integrated HIV-1 DNA In Vivo by using Droplet Digital PCR. 65th Annual Meeting of the Japanese Society for Virology. October 24-26, 2017, Osaka

Washizaki A, Murata M, Seki Y, Tang YP, Kangawa H, Irie K, Akari H (2017) A novel PKC activator 10-methyl-aplog-1 is a promising HIV-1 latency-reversing agent. 65th Annual Meeting of the Japanese Society for Virology. October 24-26, 2017, Osaka

Sano M, Kuwata T, Matsuoka S, Akari H, Miura T, Matano T (2017) Neutralizing antibody induction and changes in viral env sequences in the chronic phase of SIVsmH635FC infection. 65th Annual Meeting of the Japanese Society for Virology. October 24-26, 2017, Osaka

Akari H (2017) Selective evolution of an anti-retroviral host factor TRIM5 in macaque monkeys. 2nd Kyoto International Symposium on Virus-Host Coevolution/Human-Nature Interplacement Life Science. November 13, 2017, Kyoto

Seki Y, Saito A, Satou Y, Harada S, Yoshimura K, Ode H, Iwatani Y, Ishii H, Saiful IM, Yoshida T, Murata M, Washizaki A, Yasutomi Y, Matano T, Miura T, Akari H (2017) Characterization of Long-term Latency of HIV-1mt Infection in Cynomolgus Macaques. The 31th Annual Meeting of the Japanese Society for AIDS Research. November 24-26, 2017, Tokyo

Washizaki A, Murata M, Seki Y, Tang YP, Kangawa H, Irie K, Akari H (2017) A novel PKC activator 10-methyl-aplog-1 is a promising HIV-1 latency-reversing agent. The 31th Annual Meeting of the Japanese Society for AIDS Research. November 24-26, 2017, Tokyo

Kuwata T, Sano M, Matsuoka S, Matano T, Seki Y, Akari H, Miura T, Matsushita S (2017) Mechanism of neutralizing antibody induction in SIV-infected macaques. The 31th Annual Meeting of the Japanese Society for AIDS Research. November 24-26, 2017, Tokyo

Saiful IS, Miyazato P, Yohei Seki Y, Yang BTJ, Iwase S, Akari H, Satou Y (2017) Quantitative and qualitative evaluation of HIV-1 proviral DNA by digital droplet PCR and high-throughput sequencing. The 31th Annual Meeting of the Japanese Society for AIDS Research. November 24-26, 2017, Tokyo

岡本公彰、宮之原真由、今井奨、野村義、齋藤渉、桃井保子、兼子明久、宮部貴子、友永雅己、花田信弘 (2017)チンパンジーの口腔微生物叢の解析. SAGA20. (2017/11,犬山市)

齋藤渉、兼子明久、宮部貴子、友永雅己、桃井保子(2017)京都大学霊長類研究所のチンパンジー1個体に生じた外傷歯に対する歯科処置と術後6年の経過. SAGA20. (2017/11,犬山市)

桃井保子、齋藤渉、兼子明久、宮部貴子、友永雅己(2017)京都大学霊長類研究所のチンパンジー11個体の口腔健康状態について. SAGA20. (2017/11,犬山市)

牟田佳那子、宮部貴子、太田裕貴、岡野ジェイムス洋尚、Lauren Finka, Daniel Mills, 西村亮平(2017)Development of an assessment method of acute pain in common marmosets. 第7回日本マーモセット研究会(2018/1/16, 京都)


講演

川本芳 (2018) ニホンザルをめぐる外来種問題.第33回生物多様性カフェ. (2018/1, 名古屋市)

Kawamoto Y (2017) Conservation Genetics of the Japanese Macaque: Toward the Conservation and Management of the Local Population. The 7th International Seminar on Biodiversity and Evolution: Genetic and Hormonal Analyses on Wild Animals. (2017/10, Kyoto)

川本芳 (2017) ブータンに見る人と動物の関係. 日本モンキーセンター京大日曜サロン. (2017/7 犬山市)

宮部貴子(2017)動物福祉 サルやチンパンジーの幸せを考える 全国教育女性連盟愛知支部総会(2017/5 名古屋市)


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