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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2012年度・目次 > 巻頭言

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.42 2011年度の活動

Ⅰ. 巻頭言


 近年でもっとも心が解放された事項は、研究所にとって最大の課題であったニホンザルの病気の原因解明ができたことです。二年前のことでした。私は当時霊長類の飼育・繁殖・健康管理を担う人類進化モデル研究センター長および疾病対策委員長を仰せつかっていたので、鮮明な記憶として残っています。2001年以来10年間研究所が苦悩し続けた案件でした。出血をともなう致死性の疾患で治療法もない重篤な病気でした。原因の糸口すら見えずもがき苦しみました。10年目にして何らかの感染症であるという絞り込みができ、所外の研究機関に共同研究を依頼し、それぞれの機関の得意な研究項目を進めた結果、サルレトロウイルスの感染による「ニホンザル血小板減少症」と判明しました。決め手はRNAやDNAを用いる分子遺伝子検査法でした。10年前はこの方法が確立していなかったのです。所員の懸命の努力が功を奏したことはいうまでもありませんが、所外との共同研究が大きな決め手になりました。まさに快挙でした。

 この病気はニホンザルにとって新興感染症だったので、既存のデータがほとんど役に立ちませんでした。共同研究・連携研究が解決への道を開きました。所内・所外の叡智の結集が原因病原体の発見、防御対策、治療薬の選定など多くのことを一挙に進めることができました。

霊長類研究所は1967年(昭和42年)に全国共同利用研究所として設立されました。2010年(平成22年)には制度をあらため、共同利用・共同研究拠点に承認され霊長類総合研究拠点として霊長類研究を推進しています。研究内容がますます複雑になってきたことや霊長類利用の重要性が高まっている現在では、共同利用・共同研究はますます重要性を増すことでしょう。

 ここにお届けする年報は研究所で実施した研究成果や事業遂行の過去一年間のまとめです。所外に広く配布することで、評価の対象になるでしょうし、所内においては記録や反省材料ともなります。本小冊子には所内の教員・研究者や大学院生や職員の研究成果ならびに実施内容が記録されるだけでなく、共同利用・共同研究の実施報告と成果も全員のものが記載されています。昨年度から共同利用・共同研究の国際化に力をいれてきました。昨年度(平成23年度)は4件の海外研究機関の計画研究が実施されました。今年度(平成24年度)は9件と増加しています。国際的な共同利用・共同研究を推進することで、先人たちが積み上げた成果と、これから新たに形成する研究拠点を基盤にして、アジアのハブとしての国際的霊長類総合研究拠点を目指します。また、今後の各種事業においても学内外の連携が重要です。狭隘化した施設のみならず個別の研究体制も複合化しなければ道が開けないからです。個人研究の重要性は自明のことではありますが、組織としての発展を目指すには他研究機関との連携事業も視野に入れておく必要があります。今後とも研究所に対するご意見、ご示唆をお寄せいただきますようよろしくお願い申し上げます。

所長 平井啓久

 

このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会