京都大学霊長類研究所 年報
Vol.40 2009年度の活動
X 共同利用研究
共同利用研究会
「第10回ニホンザル研究セミナー」
日時:2009年5月9日12時58分~
場所:京都大学霊長類研究所大会議室
研究会世話人:半谷吾郎,辻大和(京大・霊長類研究所)
ニホンザル研究セミナーは,これまで過去6年に渡って,共同利用研究会や自主的な集会として実施してきた.この研究会では,ニホンザルを対象としたフィールドの研究者が,交流し討論できる場を作ることを目的としている.第10回目となる今回も若手研究者の方に修士課程や博士課程での研究成果を中心に発表をお願いし,中堅・ベテラン研究者が,それに対してコメントするというスタイルで行われた.また,ポスター発表を公募し,修士・博士論文の途中経過などについて発表してもらう機会を設けた。約40名の方に参加いただき,活発な議論をすることができた.
5月9日(土)
12:58~13:00 挨拶
半谷吾郎(京都大学霊長類研究所)
座長:鈴木滋(龍谷大学国際文化学部)
13:00~14:00 小川恵子
(岐阜大学大学院連合獣医学研究科微生物学研究室)
下北半島のニホンザル(Macaca fuscata)の薬剤耐性大腸菌保有状況
コメンテータ:藤田志歩(山口大学農学部)
14:00~15:00 Alisa Chalmers
(京都大学大学院理学研究科人類進化論研究室)
Life histories and hormones: variations by habitat in three
populations of Macaca fuscata (生活史特性とホルモン:ニホンザルの3個体群間の比較)
コメンテータ:高畑由起夫(関西学院大学総合政策学部)
15:00~15:15 休憩
座長:辻大和(京都大学霊長類研究所)
15:15~16:15 Rizaldi(京都大学霊長類研究所)
Dominance relations among young Japanese macaques in captive
group
16:15~17:15 風張喜子(北海道大学大学院環境科学院)
ニホンザルの食物パッチ利用における採食成功に及ぼす群れ個体の影響
17:15~18:00 ポスター発表
18:00~20:15 懇親会
5月10日(日)
座長:井上英治(京都大学大学院理学研究科人類進化論研究室)
09:30~10:30 寺川眞理
(広島大学大学院国際協力研究科/京都大学大学院理学研究科人類進化論研究室)
ニホンザル個体群の絶滅はヤマモモの散布機能を低下させるか?―サルの生息する屋久島と絶滅した種子島での事例から
コメンテータ:半谷吾郎(京都大学霊長類研究所)
10:30~11:30 澤田晶子 (京都大学霊長類研究所)
ニホンザルの消化率と消化管通過時間:食物の質,量,体重の影響
コメンテータ:中川尚史(京都大学大学院理学研究科人類進化論研究室)
11:30~12:00 辻 大和(京都大学霊長類研究所)
ニホンザルの採食生態の時間的変異と群内変異
12:00~13:00 休憩
13:00~14:00
今後の研究会のあり方についての相談
ポスター発表
P-1 大谷 洋介(京都大学霊長類研究所)
ニホンザル雄個体の生活史: 屋久島におけるヒトリザル密度の推定
P-2 望月 翔太(新潟大学大学院自然科学研究科)
季節ごとのALOSデータを用いたニホンザルの行動圏と生息地の把握
P-3 辻 大和(京都大学霊長類研究所)
種子の物理的特性が排泄時間に及ぼす影響:飼育下ニホンザルを対象として
P-4 大西 賢治,中道 正之(大阪大学大学院人間科学研究科)
ニホンザルの子ザルが発するWhistles/Screamsに対する母ザルの反応
P-5 本郷 峻(京都大学大学院理学研究科 動物学教室人類進化論研究室)
餌付け群ニホンザルにおける移動中の停止・見回し行動
P-6 菅谷 和沙(神戸学院大学大学院 人間文化学研究科)
野生ニホンザルが毛づくろい相手に向けて出す声の母子間比較
P-7 山田 彩(京都大学霊長類研究所)
農作物被害を起こすニホンザルの隣接林利用
P-8
上野 将敬(大阪大学大学院人間科学研究科)・山田 一憲(京都大学野生動物研究センター)・中道正之(大阪大学大学院人間科学研究科)
飼育ニホンザル集団における攻撃交渉前の攻撃個体と被攻撃個体及び第3者個体との毛づくろい交渉と身体接触
(文責:半谷吾郎)
「ニホンザルを考える」
日時:2009 年6 月6 日(土)~6 月7
日(日)
場所:犬山国際観光センターフロイデ2階多目的研修室
研究会世話人:川本芳,濱田穣,國松豊,毛利俊雄,渡邊邦夫,古市剛史,半谷吾郎,辻大和,田中洋之,杉浦秀樹(京都大・野生動物研究センター)
計画研究「マカクの種内・種間分化およびその保全と利用」(2007-2009年度)の3年目に当たり,成果のとりまとめを目的に研究会を開催した.計画初年度には国際シンポジウムを兼ねた「マカクの進化と多様性に関する研究:現状と課題」と題した共同利用研究会を開いた経緯がある.本研究では,2007年度に9件(11名),2008年度に10件(15名),2009年度に13件(17名)の課題が採択され実施された.今回の研究会では,近年のニホンザルをめぐる諸問題を考えるため,分布,民俗生物学,外来種問題,個体群管理,保護管理の5つのセッションを設け,11人の方に話題提供をお願いした.
<プログラム>
6月6日(土)
13:30-13:40 開会あいさつ
セッション1.ニホンザルの分布 座長
濱田穣(京都大・霊長類研究所)
13:40-14:20
早石周平(琉球大・大学教育センター)
屋久島のサル-島嶼個体群という視点から
14:25-15:05 赤座久明(富山県・自然保護課)
中部山岳地域におけるニホンザル個体群
セッション2.ニホンザルの民俗生物学
座長 中村民彦(NPO 法人
ニホンザル・フィールドステーション)
15:25-16:05 三戸幸久(ニホンザル史調査会)
厩猿‐日本人はニホンザルをどう見,どうつきあってきたか‐
16:10-16:50 藤井尚教(尚絅大)
九州におけるニホンザルの左手と"河童の手"について
6月7日(日)
セッション3:外来種 座長
鳥居春己(奈良教育大・自然環境教育センター)
9:30-10:10
佐伯真美(野生動物保護管理事務所)
伊豆大島のタイワンザルの生息状況および捕獲状況について
10:15-10:55 白井
啓(野生動物保護管理事務所)
ニホンザルと外来種の交雑問題の現状と課題
11:00-11:40
川本芳・齊藤梓・川合静(京都大・霊長類研究所)
外来種の遺伝的モニタリング
セッション4:ニホンザルの個体群管理
座長 川本芳(京都大・霊長類研究所)
13:00-13:40 森光由樹(兵庫県大・自然・環境研/森林動物研究センター)
兵庫県の管理体制と現況
13:45-14:25 山田 彩(京都大・霊長類研究所)
ニホンザル農作物加害群の遊動パターン
セッション5:ニホンザルの保護管理
座長 渡邊邦夫(京都大・霊長類研究所)
14:40-15:20 松岡史朗*(NPO 法人
ニホンザル・フィールドステーション)
下北半島のニホンザル
『過去・現在・未来』
*松岡史朗氏が緊急入院したため三戸幸久氏が代読発表を行った
15:25-16:05
常田邦彦((財)自然環境研究センター)
ニホンザル保護管理の課題と特定計画のガイドライン
16:10-17:30 総合討論 指定討論者
大井徹(森林総合研究所)
早石氏と赤座氏はそれぞれ屋久島と中部山岳地帯の長期研究から特に個体群の成立や分布特性について遺伝標識を利用した研究成果を紹介した.屋久島では性特異的遺伝子の分析により分布の消長過程,オス個体の分散に関する知見が得られ,生態研究や保全に有益な情報となっている.中部山岳地帯では河川流域ごとに特徴的なタイプのミトコンドリア遺伝子が分布することが明らかになり,山脈が群れ拡大の障壁になることが明らかになった.三戸氏と藤井氏は,民間信仰の厩猿についてそれぞれ東北地方,九州地方を中心に進めている研究を紹介した.信仰の歴史的背景,地域による違い,機能の解釈を説明したあと,厩猿は日本人とニホンザルの関係を考えるうえで貴重な民俗生物資料で,その信仰が消える前に残存状況や伝承の調査が必要だと主張した.続いて外来種(タイワンザル,アカゲザル)の現状を佐伯氏,白井氏,川本らが紹介した.外来生物法施行のあと,生物多様性への外来種の影響の認識は広まったものの,ニホンザルとの交雑や生態系への影響では深刻な状況が続くことが報告された.個体群管理のセッションでは,森光氏と山田氏が管理技術の理論と実践を紹介した.森光氏は,個体群の孤立が強く被害が深刻な兵庫県で行っている発信機や遺伝子によるモニタリング,絶滅リスクの予測による被害管理を説明した.山田氏は被害管理・生息地管理を効果的に進めるため,群れの土地利用や遊動パターンを把握することが重要であることを実例で示した.最後のセッションでは,松岡氏(三戸氏が代読)が下北における人とサルの関係の歴史を説明し,今後の分布予測,共存のあり方についてコメントした.常田氏は特定鳥獣保護管理計画技術マニュアルの改訂の概要を説明し,ニホンザルでは個体数調整を加えた個体群管理の施策の必要性を強調した.
研究所では以前にニホンザル現況研究会という共同利用研究会が開催されていた.そこでは,ニホンザルをめぐる折々の問題が討論され,意見交換や人物交流が盛んに行われていた.2006年の現況研究会以降,しばらくこうした集会は開催されず,ニホンザルをめぐる諸問題の変化や現状を知るのに今回の研究会は意義あるものであった.折しも,特定鳥獣保護管理計画の改訂の時期と重なり,施策をめぐり参加者間で激論も交わされた.また,管理のあり方では,海外の事例に学ぶべきとの指摘もあった.世代交代が進む中,ニホンザルと研究者の関係も変化している.多くの研究者が,問題を共有し討論する場として,今回のような研究会は今後も重ねてゆく意義が深いと思う.
野猿公園管理や実験利用など,重要な話題や問題があるが,今回は話題に加えられなかった.これらの問題については,改めて機会をつくり議論したい.
最後に,本研究に参加された中村民彦氏は2010年2月1日に急逝された.ご冥福を祈りたい.
(文責:川本 芳)
「Bウイルス ミニシンポジウム-2009」
2009年10月2日(金)午後~3日(土)午前
京都大学霊長類研究所 大会議室
研究会世話人:中村 伸,向井鐐三郎,藤本浩二
後援 プライメイト・アゴラ
Bウイルスに関してはマカクサルを扱う大学・試験研究機関に加え動物園・野猿公苑においても関心が強く,最新の研究成果の紹介や情報交換が必要である.2001年に「Bウイルス研究会」を開催したが,今回の研究会「Bウイルス
ミニシンポジウム-2009」は,それ以降の関連研究(ウイルスDNA,感染特性,潜伏機序,実用的検査法および感染防止など)について新たな知見の紹介と討論を通じて,Bウイルス研究の現状理解と今後の展望を図る事を目的とした.
下記のプログラムの様に,第一日目は関連研究分野では国際的に御高名な山内先生,荒瀬先生に加え,BV研究の第一人者のR.Eberle先生も海外から招へいして,それぞれ講演頂いた.二日目は国内Bウイル研究者によるワークショップ的研究発表で,up
to dateな研究成果を紹介して頂いた.参加者数は両日とも40名を越え,大学・研究機関に加え法人・事業体などからも多くの参加者が有り,研究会の目的の一つである「学・官・産関係者での情報交換や交流の場」としても寄与できた.
<プログラム>
10月2日(金)13:30~17:15
開会の挨拶
座長:向井鐐三郎(横浜薬科大学)
1.13:40~ Bウイルスの歴史的背景を振り返る
:山内一也(東大名誉教授)
2.14:50~ Genetic Mutants of B Virus: Richard Eberle (オクラホマ大・獣医健康科学)
座長:中村伸(京大霊長類研)
16:00~
ペア型レセプターを介した単純ヘルペスウィルス感染機構
:荒瀬尚(大阪大学・免疫学フロンテイア研究センター)
3.17:30~19:00 懇親会
10月3日(土)9:30~12:15
座長:山本博(富山大学生命科学先端研究センター)
4.9:30~ SA8代替抗原を用いたBウイルス抗体検査
:高野淳一朗(予防衛生協会)
5. 10:00~ Bウイルス特異的ELISAの確立とその
応用 : 光永総子(京大霊長類研)
座長:万年和明(大分大学総合科学研究支援センター)
6. 11:00~ プロテインアレーによるBウイルスお
よびサル関連ウイルスの抗体
:加藤美代子(予防衛生協会)
7. 11:40~ Bウイルス研究の今後の課題
: 中村伸(京大霊長類研)
閉会の挨拶
(文責:中村伸)
「第5回比較社会認知シンポジウム(5th
International Inuyama Comparative Social Cognition Symposium)」
2009年12月19日(金)12月20日(土)
京都大学霊長類研究所大会議室
参加人数:約60人
世話人(学内):友永雅己・林美里・足立幾磨・松井智子・板倉昭二(文学研究科)・田中正之(野生動物研究センター)・明和政子(教育学研究科)
学外協力者:開一夫(東京大)・杉浦元亮(東北大)・佐藤徳(富山大)
<Program>
Saturday, December 19
Hyun-joo Song (Yonsei University)
"Psychological reasoning in infancy"
Yusuke Moriguchi (Joetsu University of Education)
"Young children's social learning from a robot"
J. Kiley Hamlin (Department of Psychology, Yale
University)"The enemy of my enemy is my friend: Infants
interpret social behaviors in context"
Takaaki Kaneko (Kyoto University)
"Relative contributions of kinematical information and
goal representation for perception of self-agency in humans
and chimpanzees"
Shinya Yamamoto (University of Tokyo)
"Chimpanzees' flexible helping upon request"
Jennifer J. Pokorny (Yerkes National Primate Research
Center)
"Social cognition in capuchin monkeys: Individual
recognition from faces"
Pier Francesco Ferrari (University of Parma.)
"Mirroring other minds. New insights from neuroscience
to understand monkey cognitive development"
Harumi Kobayashi (Tokyo Denki University)
"Language acquisition from a social cognitive
perspective: How children learn word meanings with
non-linguistic cues"
Sunday, December 20
Hiromi Kusumoto (Kyushu University)
"Communicative behavior reflecting the perception of
others' cognitive environment in infancy"
Nozomi Naoi (JST; Kyoto University)
"Assessing cortical response to infant-directed speech
in high-risk neonates"
Yuriko Oshima-Takane (McGill University)
"Early word learning in young children"
Naoko Tokimoto (RIKEN BSI)
"Object manipulation by a social rodent, degu (Octodon
degus)"
Yo Morimoto (Kyoto University)
"Do capuchin monkeys (Cebus apella) understand
emotional meanings in conspecifics expression?"
Naotaka Fujii (RIKEN BSI)
"Body scheme and social rule"
Fumihiro Kano (Kyoto University)
"The comparative eye-tracking study in chimpanzees and
humans"
Shun Itagaki (University of Tokyo)
"Human error processing interacts with social
information: Evidence from ERP studies"
Koji Kuraoka (Kyoto University)
"Autonomic reaction and neuronal response to facial
expression and vocalization"
Christoph D. Dahl (Max Planck Institute for Biological
Cybernetics)
"The behavioral hallmarks of face processing in man and
monkey"
これまで4
回にわたって,社会的認知の比較研究とその関連領域に関する共同利用研究会を開催してきた.はじめの3
回は個別の大きなテーマを設定しての研究会だったが,昨年度はより多くの方々による幅広い研究成果を発表していただき,議論を行うという形式をとった.関連する領域とはいえ手法も対象も異なる研究者が一堂に会して議論と交流を深める本研究会は着実に学界にも認識される存在として成長しつつある.そこで.今回も第5
回という形で特に限定的なトピックを設定することなく,比較社会認知研究および関連する多様な研究領域から幅広く講演者を募り研究会を開催した.なお,今回はgCOE「心が活きる教育のための国際的拠点」などのサポートもあり,海外からも5
名の研究者が参加し,第1
回以来の英語発表による国際シンポジウムとした.18名の口頭発表者と22名のポスター発表者がそれぞれに興味深い発表を展開した.全体の参加者は約60名で2/3の参加者が何らかの形で自身の研究を発表した.このように,国際的な研究者と議論し自身の成果を発表する場として,今後とも様々なプロジェクトと連携をはかりつつ本シンポジウムを継続していきたい.
(文責:友永雅己)
生物多様性国際会議「霊長類のゲノム多様性研究」2009年度(第39回)ホミニゼーション研究会「霊長類ゲノム-ヒト進化の軌跡」
主催:京都大学霊長類研究所国際共同先端研究センター・共同利用研究プログラム 共催:京都大学グローバル30,グローバルCOEプログラム,日本学術振興会先端学術研究人材養成事業 連携協力:生物多様性条約第10
回締約国会議支援実行委員会
後援:犬山市
日時:2010年3月4日(木)~6日(土)
場所:犬山国際観光センター
フロイデ 多目的研修室
参加人数:約100人
世話人:平井啓久,景山節,今井啓雄,宮地重弘(以上,霊長研),郷康広(グローバルCOE)
<プログラム>
March 4th (Thu)
Hirohisa Hirai (Primate Research Institute, Kyoto Univ.)
"Opening Remarks"
Session 1: Frontiers in Primate Research (chair: Hiroo
Imai)
Akishi Onishi (Osaka Biological Institute)"The
molecular basis of cone photoreceptor subtype
specification"
Hideki Kandori (Nagoya Institute of
Technology)"Structural Study of Color Visual
Pigments"
Hideki Innan (The Graduate University for Advanced
Studies)"Evolutionary roles of gene conversion between
duplicates"
Tohru Sugawara (Primate Research Institute, Kyoto
Univ.)"Polymorphism in chimpanzee taste receptors"
Michio Yasunami (Nagasaki University) "Intra- and
inter-species diversification in the genome related to
resistance against infectious agents among macaque
species"
Toshiyuki Hayakawa (Research Institute for Microbial
Diseases, Osaka Univ.)"Evolution of sialic acid biology
in primates"
Kenji Ichiyanagi (National Institute of
Genetics)"Epigenetic difference between human and
chimpanzee and its impact on the transcriptional
regulation"
March 5th (Fri)
Session 2:Genome Structure (Chair: Akihiko Koga)
Yoko Satta (The Graduate University for Advanced Studies)
"Gene expression differences between humans and
chimpanzees: expression suppression and pseudogenes"
Susan Ptak (Max Planck Institute for Evolutionary
Anthropology, Germany)"Incomplete lineage sorting among
chimpanzees and between chimpanzees and bonobos"
Hiroki Oota (University of Tokyo) "Alcohol metabolism
related genes evolution"
Wolfgang Enard
(Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology,
Germany)
"Mice, chimpanzees and the molecular basis of
speech"
Session 3:Post Genome Projects (Chair: Yasuhiro Go)
Naoki Osada (National Institute of Genetics)
"Transcriptome studies of Macaca fascicularis"
Takuya Imamura (Global COE program, Kyoto Univ.)
"Identification of species-specific promoter-associated
noncoding RNAs in monkey and mouse brains"
Yasuhiro Go (Global COE program, Kyoto Univ.)
"High-throughput analysis of chimpanzee transcriptome"
Philipp Khaitovich (Chinese Academy of Sciences, China & Max
Planck Institute for Evolutionary Anthropology, Germany)
"The role of neoteny in human evolution: from genes to
the phenotype"
Session 4:Primate Genome Project (chair: Takashi
Kageyama)
Takashi Kageyama (Primate Research Institute, Kyoto Univ.)
"Introduction"
Kiyokazu Agata (Kyoto Univ.)
"Genome science opens a new way to biodiversity and
evolutionary research"
Asao Fujiyama (National Institute of Informatics &
National Institute of Genetics)
"Personal Genomes of Human and Chimpanzee"
Svante Paabo (Max Planck Institute of Evolutionary
Anthropology, Germany)
"Ancient DNA"
March 6th (Sat)
Session 5:Functional evolution of Sensory Receptors
(chair: Hirohisa Hirai)
Hiroo Imai (Primate Research Institute, Kyoto
Univ.)"Sensory receptors as a model system of
post-genome primatology"
Shoji Kawamura(The University of Tokyo)
"Polymorphic color vision in primates: evolutionary
considerations"
Atsushi Matsui (Primate Research Institute, Kyoto
Univ..)"Genomic diversity of primate olfactory
receptors"
Hiroaki Matsunami (Duke Univ.)
"Functional changes among primate odorant
receptors"
Concluding Remark
Takashi Kageyama (Primate Research Institute, Kyoto Univ.)
2010年は,生物多様性の締約国会議COP10が名古屋で開催される.今回の国際会議の一つの目的は,ドイツのマックスプランク進化人類学研究所との共同で国際連携を強化するものであった.そのため,ITP-HOPEで来日中のSvante
Paabo所長 に加えて3名のチームリーダーも招へいし,FDも含めた情報交換を行った.ネアンデルタール人やボノボのゲノムについての最新の成果を対象に意見交換できたことに加え,共同研究等の打ち合わせも行うことができた.
また,もう一つの目的は共同利用計画研究「霊長類のゲノム多様性研究」終了年度にあたり,研究成果の確認のためであった.主に初日に講演していただいた計画班員に加えて,関連領域の各分野の最前線で活躍する研究者を招き,当該分野におけるゲノム利用について報告してもらうと共に,霊長類ゲノム研究の現状と今後の展開について議論した.これらの議論を公開することにより,データベースや資試料を含めたゲノムがどのように霊長類研究に貢献できるのか,今後の展開を誘起する目的があったが,若手・中堅研究者を中心とした議論は各セッションで白熱し,当初の目的は達成できた.
ホミニゼーション研究会としては,ゲノムを基盤としてヒトの起源や特徴を浮き彫りにできるような研究体制の確立に挑戦し,国内外・所内外の研究者が最新の方法論を交換して,未解明の諸問題に共同研究を通じて取り組む機会とすることを目指した.上記のように様々な視点からヒトの起源や霊長類の進化について,ゲノムベースの交流ができたことは大きな成果であった.少数ではあったが公開講演の部分では一般市民の参加があったことに加え,懇親会には犬山市長も参加して,研究者以外にも霊長類研究所とゲノム研究の現状を伝える機会になったと思われる.特に,学部生を含む学生が全国から20名ほど参加し,英語での質疑にも参加したことは今後の霊長類ゲノム研究の将来を期待させるものであった.
(文責:今井啓雄)
↑このページの先頭に戻る
|