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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2009年度 > I 巻頭言

京都大学霊長類研究所 年報 

Vol.40 2009年度の活動

I 巻頭言

所長 松沢哲郎

2009年度(平成21年度)の京都大学霊長類研究所の年報をお届けします.年報は,当該年度の教育と研究ならびに社会貢献の活動を網羅したもので,自己点検報告書としての位置づけをしています.なお既刊の年報については,研究所のホームページで公開しています.

本年度は,05年度(平成17年度)に国立大学法人化されて6年目,すなわち第1期の中期計画・中期目標の最終年度にあたります.霊長類研究所は,1967年6月1日の創立以来,「全国共同利用研究所」でした.その全国共同利用という制度も,本年度末をもって終了しました.

平成22年度から,霊長類研究所は,新たな制度としての「共同利用・共同研究拠点」になりました.従来とは異なる名称ですが,霊長類学に関わる全国の研究者に開かれた施設です.

霊長類研究所は,1965年の日本学術会議の勧告によって設立されました.当時の会長は朝永振一郎,副会長は桑原武夫,時の総理大臣は池田勇人です.偶然のめぐり合わせでしょうが,いずれも京都大学の卒業生です.勧告の主文は1行半です.「霊長類研究の重要性に鑑み,その基礎的な研究をおこなう総合的な研究所(霊長類研究所,仮称)を速やかに設立されたい」.この創立時の理念そのままに,人間を含めた霊長類の研究を,今後も幅広く推進していきます.

霊長類研究所は,2007年に創立40周年を祝いました.同年に,現キャンパスの東1kmに,リサーチリソースステーション(RRS)を開設しました.里山の景観を活かして,サル類を豊かな自然の中で育てる試みです.08年度当初には,霊長類研究所が母体となって,「野生動物研究センター(WRC)」という別の部局が京大に誕生しました.霊長類研究の蓄積に立脚して,絶滅の危機に瀕した大型の動物,つまりゾウやオオカミやイルカなどを研究するセンターです.日本の霊長類学を確立したお一人であり,本研究所の運営委員も永きにわたって勤められた伊谷純一郎先生のご令息の伊谷原一さんが,WRCの初代のセンター長です.姉妹研究施設としての協力体制を築いています.

本年09年度当初には,霊長類研究所の2つめの附属研究施設として「国際共同先端研究センター(CICASP)」を立ち上げました.国際的な共同研究を推進し,先端的な萌芽研究の育成を目指したセンターです.外国人教員2名,フレッド・ベルコビッチ教授,デイビッド・ヒル教授が2010年度に赴任し,さらなる国際化を推進します.つまり国際霊長類研究所としての未来像です.

寄附講座も3つめが立ち上がりました.2006年にベネッセ・コーポレーションの「比較認知発達研究」,07年に三和化学の「福祉長寿研究」(のちにWRC発足と同時に移管),そして2010年度当初に林原グループの「ボノボ研究」という研究部門が発足しました.こうした民間からの支援も得ながら,霊長類の基礎研究を続けてまいります.

大学院教育という面では,京都大学理学研究科生物科学専攻のメンバーです.WRCの発足と同時に,「霊長類学・野生動物系」という系を名のっています.2011年度入学からは,国際霊長類学・野生動物コースとして,定員5名だけ別枠で,CICASPが中核となって,英語による入試をおこない,英語による教育をおこない,英語による博士学位の取得を目指しています.

大型研究としては,21COEプログラムの後継のグローバルCOEで「生物多様性」の一翼を担っています.また,日本学術振興会の支援で「HOPE」(人間の進化の霊長類的起源)と呼ぶ事業を2004年2月11日の日独提携の発足以来推進しています.現在のHOPEは日独米英伊仏の先進6か国の連携で,霊長類学および進化人類学の国際的な共同研究を推進するものです.日本学術振興会の若手研究者インターナショナル・トレーニングプログラム(ITP)に2009-2013年度の5年間採択されました.したがって,従来の先端研究拠点HOPE事業と区別するために,ITP-HOPEと呼んでいます.こうした研究と教育の詳細については,ぜひホームページをご覧ください.

また,一般の方々への公開講座(犬山と東京で開催)や,学生向けのオープンキャンパス,さらには犬山市民などを対象にした施設の一般公開日を設けています.こうした催しにもぜひふるってご参加ください.

霊長類研究所の全教員が執筆して,40周年記念誌として,『霊長類進化の科学』(京大学術出版会)を2007年に出版しました.さらに一般向けの姉妹書として,2009年秋に,『新しい霊長類学』(講談社)を上梓しました.一般の方々から寄せられた100問に対して,研究所の教員が100答するというユニークな形式です.「人間とは何か」,「われわれはどこから来たのか」,「われわれはどこへ行くのか」そうした人間の本性に対するひとつの答えがそこにあると思います.霊長類研究所は,これからも人間を含めた霊長類の基礎的な研究を総合的に推進していきます.

なお,末尾になりましたが,教職員の異動についてお知らせします.今年も多くの異動がありました.とりわけ,長年にわたって研究所の研究・教育・運営に携わってこられた,松林清明・景山節・中村伸の3先生が定年退職を迎えられました.事務部を統括する小倉一夫事務長も転出されました.いずれもたいへんご尽力いただきました.とりわけ景山先生には4年間にわたって副所長としての役を担っていただきました.紙幅の関係ですべての皆様方のお名前を挙げ切れませんが,研究所の活動を支えてくださった人々の日々のご苦労に,深く感謝したいと思います.

逆に,多くの教職員が新たに赴任しました.教員だけでみると,勤続年数の中央値は9年です.この数年間で,霊長類研究所は大きな転換点を迎えていることを実感します.良き伝統を受け継ぎ,さらなる創意工夫を加えて,国内外の期待に応えるような研究所になるよう,いっそう努力したいと思います.皆様のご支援をお願いするとともに,ご意見やご助言を賜れば幸いです.

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会