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English report

AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-23-037

ブータンにおける自然観・環境教育の調査ならびに研究打合せ

報告者:山本真也

期間:2011/11/22 - 2011/12/9

ブータンは、国民総生産の代わりに国民総幸福を指標とすることを提唱している国である。近年までつづいた鎖国政策の影響もあり、独自の文化を比較的保持してきた。一方で、大国インドと中国に挟まれた小国として、アイデンティティーを保つことの難しさも想像に難くない。このような国の人々がどのような自然観を育んできたのかを調査するため、ブータンに渡航して現地調査をおこなう必要があった。自然観が形成される上で、教育の影響は大きい。ブータンでは、国語・英語・算数に並んで環境教育が教育の柱であるという。近年の欧米主導の環境教育では、自然を理解し、保護・管理し、持続ある発展のために利用するという考え方が主流である。しかしブータンでは、チベット宗教と科学を融合させたユニークなアプローチがとられている。実際にどのような環境教育がおこなわれているのかを調べるのが本研究の目的のひとつである。九州ほどの国土に高度100mから7500mまで存在するという多様な環境の影響も興味深い。自然観形成における教育・自然環境・宗教の影響を検討し、自然観の文化比較研究も視野にいれた調査をおこなった。

ブータン王国において、9泊10日トレッキングフィールドワークを含む、自然環境・生活環境・環境教育にかんする現地調査を実施した。活動内容は以下の3つにまとめられる。?1958年・1985年と環境を比較するための写真記録:渡航前に、故中尾佐助先生による1958年渡航時の写真資料・京大山岳部による1985年マサガン遠征時の写真資料を入手した。自然環境・生活環境の変化を調べるため、撮影現場を訪れ、出来る限り同じアングルでの写真撮影をおこなった。?1958年・1985年と生活を比較するための物価データ収集:鎖国解除・インフラ整備にともなって生活環境は大きく変化したと考えられる。1985年時点で道路の通っていたプナカ・1985年には未整備だったが現在は車で入れるガサ・現在でも車が入っていないラヤ(近々道路整備予定)の3町村で物価調査をおこなった。?環境教育など、実際の教育内容をみるための資料収集:王立自然保護協会にて、年次報告書・環境対策マニュアル・冊子「仏教と環境」などを入手した。年次報告書については、入手しうる限りバックナンバーも収集した。活動内容・広報内容とその変遷を調べる予定である。


王立自然保護協会での面談


1985年隊と同ルートをたどりマサガン峰へ、9泊10日トレッキング

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