English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-23-029
ボルネオ島の熱帯雨林に生息するヤマアラシ類の行動と生態
報告者:松川 あおい
期間:2011/6/20 - 2011/12/4
ボルネオ島の固有種であるボルネオヤマアラシ(
Hystrix crassispinis)は、マレーヤマアラシ (Hystrix
brachyuran) 、ネズミヤマアラシ (Trichys fasciculate)と同所的に生息している。このように、3種のヤマアラシ科動物が同所的に生息しているのは、ヤマアラシ科動物前種の広い分布域のなかで、限られた熱帯雨林のみである。しかし、熱帯雨林におけるヤマアラシ科動物に関する研究はこれまでほとんど行われてこなかった。 本研究は、ヤマアラシ科動物の基礎的な生態、特に利用食物や利用環境を明らかにし、熱帯雨林における役割を考察することを目的とする。そのため、3種の生息が明らかになっているタビン野生生物保護区で調査を行った。
申請者は、ボルネオ島マレーシア領タビン野生生物保護区において、2011年6月から12月にかけて、ヤマアラシ科動物の調査を行った。 ヤマアラシ科動物の巣穴の分布を調べるために、28000m×15mの範囲で巣穴センサスを行った。発見した巣穴には自動撮影カメラを10日間設置し、ヤマアラシ科動物の利用の有無を確認した。また、巣穴の周辺の植生調査と、調査地内14000m×10mの範囲で胸高直径の計測を行った。このセンサスによって、二次林のエリアに比べて原生林のエリアにヤマアラシ科動物の巣穴が多く分布していることが分かった。 巣穴センサスと並行して、ラジオテレメトリー調査を行うため、12台のボックストラップを使い、捕獲を行った。その結果、ボルネオヤマアラシ1個体を3回捕獲した。捕獲個体は生後7ヵ月ほどのメスで、発信器を首に着けてリリースした。リリース時に、追跡し直接観察も行った。直接観察では、ボルネオヤマアラシがララン(Neolamarckia cadamba)の果実を採食している様子を観察できた。
ボルネオヤマアラシ
(Hystrix crassispinis)
ララン (Neolamarckia
cadamba)の果実を食べるボルネオヤマアラシ
AS-HOPE Project<>
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