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English report

AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-23-020-1

環境要因がテングザルの社会構造の進化に与える影響

報告者:松田 一希

期間:2011/5/10 - 2011/7/10

 テングザルは,川沿いの様々な植生に適応している霊長類種であり,環境要因が霊長類の生態・社会の進化にどのように影響するのかを解き明かすのに適した種である.本研究の目的は、テングザルの持つ特異な社会構造である「重層社会」に着目し、進化のメカニズムを解明することにある。野生テングザルは、ボルネオ島にしか生息していないという点、また、申請者が渡航した地域には、川辺林とマングローブ林という2つの異なる植生にテングザルが生息しており、本研究を遂行するのに適している点から、派遣先での研究が必要であった。

 申請者は,2011年5月から7月にかけて、マレーシアへ渡航して研究活動を行った.共同研究を行っている,サバ大学と野生生物局を訪問して,今後の研究についての打ち合わせを行った後に,スカウ村で野外調査を行った.継続的でデータ収集を行っている、川辺林における植物フェノロジーの調査と、テングザル個体群のセンサスを行った.また、長期研究のための基盤整備のために、現地のアシスタントの雇用と、そのトレーニングにも力を注いだ。地面がぬかるみ、テングザルの追跡調査が困難であるマングローブ林において、GPSテレメトリーを使っての研究を検討中であり、そのための打ち合わせを、野生生物局で再三行った。また、サバ大学の卒論生を調査地に受け入れるための打ち合わせをサバ大学にて行った。マレーシアでの研究活動とは別に、シンガポール動物園で開催されたワークショップ「STUDYING AND MONITORING PRIMATE BEHAVIOR: A WORKSHOP FOR ASIAN CONSERVATION PROFESSIONALS」に招待され、講義を行った。シンガポール動物園には、テングザルのまとまった個体群が飼育されており、今後の共同研究についても現地スタッフと議論することができた。


テングザルのオトナ・オス


ワークショップでの講演の様子

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