English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-23-015-1
野生ボルネオオランウータンの採食行動に関する研究
報告者:金森 朝子
期間:2011/6/7 - 2011/7/1
ダナムバレー森林保護区において、野生オランウータンの調査を2004年より開始して7年が経過した。これまでの調査で、一斉結実年後には果実生産量が大幅に減少することがわかってきた。平成22年度には7-9月に一斉結実が起こり、果実生産の増加とともにオランウータンの密度の増加も見られた。今回の目的は、果実期(もしくは一斉結実期)が始まる6月後半に落下果実センサスを行い、果実生産量の増減を調べることである。また、同時にネスト(巣)センサスを行い、果実生産量に伴うオランウータンの生息密度を調べることである。
2011年6月7日、マレーシアに渡航し、首都クアラルンプールの連邦政府経済企画局にて今年度の調査許可書の交付を受けた。次に、サバ州都コタキナバルにて調査査証の更新を行なった。その後、野生生物局、サバ大学、ヤヤサンサバ財団にて、これまでの研究成果の報告と今後の打ち合わせを行なった。 6月16日より、ダナムバレー森林保護区にあるKuala Sungai Danum Research Station(以下KSDRS)にて、落下果実センサスとネストセンサスを行った。収集した落下果実、ネスト数は、共に一斉結実期を含む通常の果実期より少ないことがわかった。今後は一斉結実のあった他年度(2005年、2007年)とも比較し、詳細な分析を進める予定である。また、滞在期間中、継続してモニタリングしているFlanged maleのAbuが、左手の人差し指に怪我をしている様子を観察した。指の怪我が噛み傷らしいことや顔の額部分にも引っかき傷があることから、オス同士の怪我ではないかと推測している。 6月22日-6月28日は、マレーシア・サバ州の自然保護区における野生動物研究研修に参加し、インバック保護区とマリアウベイスン保護区を訪れた。その後、コタキナバルで行われたシンポジウムに参加し、7月1日に帰国した。
オランウータンの新しい巣
オランウータンの古い巣
果樹
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