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English report

AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-23-011

野生チンパンジーの文化的行動の発達過程と集団間比較

報告者:西江 仁徳

期間:2012/2/13 - 2012/3/29

 本研究の目的は、野生チンパンジーの文化的行動の多様性とその獲得過程について、詳細な行動観察から明らかにすることにある。派遣先であるタンザニア・マハレ山塊国立公園は、1960年代から野生チンパンジーの調査研究が継続されているため、基礎データの蓄積が十分にあり、またチンパンジーも観察者によく慣れており、野生チンパンジーの詳細な行動観察にはもっとも適したフィールドであるといえる。申請者はこれまで当該派遣先での調査をおこなってきており、継続的に行動発達の縦断的データを収集する必要があるため、タンザニア・マハレへの派遣を申請し、野外調査を実施した。

 申請者は、2012年2月~3月にかけて、タンザニア・マハレ山塊国立公園に生息する野生チンパンジーM集団を対象に野外調査をおこなった。本研究では、道具を使用した昆虫食行動である「オオアリ釣り」行動、出会いの場面でよくみられる「挨拶」行動、求愛誇示ディスプレイとされる「リーフクリッピング」行動について、行動の生起場面における社会的相互行為を詳細に観察・記録することを目的として、アドリブサンプリングと終日個体追跡を併用して観察をおこなった。観察は主にオトナオスとその周辺個体とのやりとりを対象としておこなったが、これまで申請者がおこなってきたチンパンジー母子間相互行為の様相と共通する特徴が、オトナオスと発情メスとのやりとりでも同様に観察された。こうしたチンパンジーの社会性を形成する相互行為の質的な側面を、今後の分析から具体的に描き出していくことが必要である。


遊ぶアカンボウとワカモノオス


元アルファオスを毛づくろいする現アルファオス

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