English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-22-G012
リーフモンキーの苦味受容能の解明
報告者:鈴木 南美
期間:2011/03/11 - 2011/03/18
野生動物にとって味覚感覚は、食物の性質を感知する重要な役割をもつ。特に、苦味感覚は生理活性物質や毒性物質を検出するため、苦味受容体遺伝子は個体の採食品目や代謝能に応じて進化的に柔軟な変化を示す可能性がある。本調査では、葉食という他の霊長類種とは大きく異なる採食特徴をもつリーフモンキーを対象に苦味受容体遺伝子の解析を行う。現地で、遺伝子試料を含むフンサンプルを採取し、帰国後、遺伝子解析を行い、個体のもつ苦味受容体遺伝子の解析を行う。今後、ラングールにおける苦味受容体遺伝子解析結果を他の食性を持つ霊長類種と比較し、葉食という採食特徴をもつラングールにおける採食品目と苦味受容体レパートリーとの関係性を明らかにする。報告者は上記のような目的をもち、本研究を遂行しているため、リーフモンキーが生息している派遣先での研究を必要とした。
中国広西省チワン族自治区崇左市ではWhite-headed langur
(Trachypithecus leucocephalus)が生息しており、北京大学のPan Wenshi教授らのグループが崇左生物多様性研究所を設立して保護区とし、この種の保全活動を行っている。2010年11月に一度目の調査を行い、その際に研究計画の打ち合わせや個体の遺伝子試料や採食植物試料の収集を行った。本調査ではまず、北京大学生命科学学院にて相互の研究内容を発表するセミナーを行い、情報交換をした。その後、崇左生物多様性研究所へ移動し、前回の調査時の成果の報告、今後の調査の研究計画の打ち合わせを行った。そして、採食行動の観察を行い、集団の移動に追尾して、フン試料を採取した。また、現地のガイドに案内してもらい、ラングールが採食している植物および植物部位、採食しない植物を記録、採集した。 その後、中国科学院計算生物学研究所のPhilipp Khaitovichグループとセミナーを行い、様々な研究における情報交換を行った。さらに、本研究の研究計画を発表しアドバイスをいただくことができた。
white-headed langur
leaves eaten by white-headed langur
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