English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-22-G004
高次脳の進化的背景に関する調査と、EMBO Conferenceでの情報収集
報告者:星野 創
期間:2010/09/23 - 2010/10/02
報告者は神経系と行動の関係性についての研究を行っている。霊長類の脳機能解析には、より単純な動物の神経系をモデルとした進化的な知見が極めて重要である。これらの見識を深めるために、ヒドラ、ネマトステラを扱っているHeidelberg UnivのThomas Holstein博士の研究室、ゴカイやナメクジウオを扱っているEMBL Heidelberg(European Molecular Biology Laboratory)のDetlev Arendt博士の研究室を訪れた。これらの動物の直接的な観察及び活発な議論を行うことは、今後報告者が研究を推進する上で、大きな意義がある。ひき続いてEMBO Conference(European Molecular Biology Organization)に参加することで、脳機能、脳進化に関する最前線の研究内容についての情報を得て、自身の研究に活かすことを目的として渡航を申請した。
進化の道筋に沿った高次脳の研究を進める目的で、Heidelberg UnivのDr. Thomas Holstein研究室を訪れ、Nematostella、Hydraの顕微鏡観察、飼育環境等の視察を行った。高次脳の研究には、進化的な知見が大変重要である。Nematostellaは口の周りに神経細胞が集まってnerve ringを形成している。生存に重要な摂食行動を制御するために稠密な神経ネットワークが形成され、高次脳の進化的背景となっているのではないかと考えられている。霊長類がもつ高次脳の機能解明を目指すにあたり、多様な刺激に対する情報の統合という観点で、Nematostellaのように集中神経系を持たない動物と、私が主に用いているDugesiaのような初期の集中神経系をもつ動物との比較による行動解析研究の必要性を感じた。続いて訪れたEMBL HeidelbergのDr. Detlev Arendt研究室では、Platynereisなどの動物を用い研究を行っている。発達した集中神経系をもつPlatynereisの性行動は非常に印象的で、脳の機能解析における今後の新たな方向性を見いだすことができた。その後EMBO Conferenceへ参加し、ZebrafishやXenopusといった動物の脳研究に関する最新のトピックスに数多く触れることができ、非常に有意義な渡航であった。
Hydra
Nematostella
European Molecular Biology Laboratory
Platynereis dumerilii
European Molecular Biology Organization Conference
AS-HOPE Project<>
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