English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-22-038
野生ボルネオ・オランウータンの繁殖に関する研究
報告者:久世 濃子
期間:2011/01/23 - 2011/02/04
申請者は、2種3亜種に分類されているオランウータンの中でも、最も出産間隔が短い可能性が指摘されている亜種、Pongo pygmaeus morioの野生個体を対象として、初産年齢、出産間隔、乳児死亡率などの繁殖パラメーターを明らかにすると共に、これらのパラメータに影響を与える要因を特定することを目的に研究を行っている。申請者が2005年より継続して調査を行っているダナムバレー自然保護区では、2010年に出産して育児中の雌が1頭、第一子を出産したものの乳児が死亡した若雌が1頭、妊娠中の雌が2頭いるので、これらの雌の追跡調査と出産及び子の生存状況に関するデータを収集するために渡航した。またマレーシア政府からの調査許可が2011年2月までだったの、その更新事務の為にも渡航する必要があった。
1月24日にサバ州経済企画局にて調査許可更新の為の研究報告会を行い、無事調査許可の更新が認められた。1月25日~2月2日まで調査地であるダナムバレー森林保護区に滞在し、現地調査助手とともに6日間、オランウータンを探索したが、雨季の為に発見が困難であり、3日間のみオランウータンの追跡を行うことができた。また激しい雨の為、観察を途中で中断せざる得ない日もあった。2010年に出産した雌2頭については、2頭ともそれぞれの乳児が健康に育っていることが確認できたが、11月に妊娠が確認されていた雌2頭については、発見することができなかった。2010年に出産し直後に子どもが消失した雌については、健康だがまだ妊娠していないことを確認し、新たに大人雌1頭の妊娠が確認された。以上により短期間の調査であったが雌の繁殖状況を確認するという調査の目的をほぼ達成することができた。
(上から)母親、2010年に生まれた赤ん坊、上のコドモ(兄)
新たに妊娠が確認されたオトナ雌
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