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English report

AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-22-037

国民総幸福をうたう国ブータンの社会システム、教育システムをみる

報告者:藤澤 道子

期間:2010/11/19 - 2010/12/01

ブータンは、国民総幸福量を重視するというユニークな政策をかかげている。国民の価値観は仏教的思想に基づき、我が国と類似した面も多い。現在、高齢化や環境の問題を抱える我が国にとって、ユニークなブータンの政策を学ぶことで得ることが大きいと考えられたため。

ブータンを訪問してもっとも印象に残ったことは、人と人との間の距離が短いということだ。この国は、仏教的価値観を基に国造りをおこなっており、国民総幸福量を重要視し、そのためには発展も必要ではあるが急がないという政策をとっている。我が国も一昔前までは、人と人との間の距離は短かく、質素・思いやりといった仏教と儒教を基にした価値観が根付いていたが、現在は大きく変化している。
人と人との距離が近いということは、たとえば困っている人がいればそれを目の当たりにするため、助け合いの関係ができやすいと考えられる。しかし、距離が開くと、目の当たりにせず他人事になってしまい、自分の利益の追求に専念することになってしまうのではないか。
ブータンの幸福を大切にするという国を挙げての姿勢は、周辺国の発展による弊害(公害、環境破壊など)をつぶさに見た結果の選択でもある。しかし、このような姿勢を、外国の便利な生活、華やかな娯楽性を情報として得られるようになった国民全員が心から理解することは、困難かもしれない。聞き取りをおこなった教育現場の意識は非常に高かった。しかし、今後溢れる情報に流されずに国の維持をしていくことができるのか、今後この国はどのような方向に向かうのか、大きな挑戦といえる。発展一辺倒で利益を追求し、成長してきた我が国にとって、人と人とのつながりを大切にし、発展は緩やかでも心の豊かさを大切にするというブータン王国の方針は、高齢化問題の観点からも環境保全の観点からも学ぶべきことが多い。


Elementary school of Phobjikha.

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