English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-22-005
テングザルの血縁関係測定に基づく社会構造の解明
報告者:村井 勅裕
期間:2010/04/22 - 2010/05/18
テングザルの社会構造は、霊長類のなかでも非常に珍しい重層構造を持っている。この重層社会がどのように形成されているのか、また、どうして存在しているのかを研究しているが、直接観察だけでは十分に説明できないことが多く残っている。そこで、本計画では、動物園に導入された比較的大規模なテングザル群を対象とし、DNAによる血縁関係測定を用い、このサルに特徴的な社会構造を解明することを目的としている。
今回の調査において、DNAサンプルを得るためにテングザルの糞の回収を行った。糞は全部で84個回収することができたが、糞の個体識別が完全ではないので、より、正確なDNAサンプルを得るために動物園側とテングザルの捕獲・採血・採毛の許可について話し合いを行った。その結果、いい返事をもらうことができた。今後、正式な許可申請を行い、血液と毛のサンプルを収集し、今回の糞サンプルと共に解析を進めていく予定である。この他に、直接観察を行い、乳児を抱えたままの交尾やホモセクシャルマウントなどの多くの興味深い性行動を観察することができた。今までの性行動のデータと合わせて分析を行っていく予定である。さらに、雄の交代がおこっていたことを確認することができた。観察から、テングザルの雄の交代による子殺しはないと思われるが、DNAサンプルから、このことが遺伝的にも確かめられると考えている。
proboscis monkeys
feces of proboscis monkeys
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