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AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-22-016

南米に生息する野生小型ハクジラ類の音声行動に関する研究

報告者:吉田 弥生

期間:2010/06/04 - 2010/06/20

アマゾン川流域には淡水性の小型ハクジラが2種(アマゾンカワイルカとコビトイルカ)生息している。ハクジラ亜目の音声研究は水中という環境により観察が困難であるため、行動学的な研究は非常に遅れているのが現状である。その中でも本2種においては、イルカ類の中でもめずらしい淡水性のイルカであり、その行動や生態は未だなぞに満ちた生物である。残念ながら、飼育をすることは困難であり、直接水中の行動を見ることはできないため、これらの動物の基礎的な知見を得るためにも、生息地であるアマゾン川に直接行く必要があった。
派遣先である研究機関の教授は長年アマゾン川に生息する哺乳類の研究をされており、共同研究者として現地の情報を持つ非常に優れた研究者である。これらの理由により、国立アマゾン研究所(INPA)への派遣を必要と致しました。

 アマゾン川に生息するイルカ類(アマゾンカワイルカ、コビトイルカ)の音声行動の調査を行うため、国立アマゾン研究所(INPA)で共同研究者であるベラ・ダシルバ博士と研究打ち合わせを行い、その後マナウスから西に60kmほど離れた流域にある調査地の視察・予備録音を行った。調査地では川幅約10m・長さ約500mの範囲で一日平均6頭程を目視にて確認した。録音は2日間で計4時間、アマゾンカワイルカのホイッスルおよびパルスを録音することに成功した。特に、ボートなどが往来する前後にホイッスル(コミュニケーション音)が多く録音されていたことは、非常に興味深い。また、2回ほどコビトイルカの姿も確認していることから、コビトイルカの音声も録音されている可能性はあるが、それに関しては確認中である。周波数および音圧などのデータから本観察の為のパラメータを決定する。今回の調査地においては、目視観察もある程度可能であったことから、本調査においても十分に観察ができることが示唆された。またチリ科学研究センター(CECS)においては、調査予定地の視察は天候不順の為に船を出すことが出来ず断念したが、共同研究者のロドリーゴ・フーケ博士、フランシスコ・ヴィディ博士とともに今後の進め方等について有意義な打ち合わせを行うことができた。


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