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English report

AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-22-011

マカク属における頭骨形態の地理的変異とその進化的要因の解明に向けたデータ収集

報告者:伊藤 毅

期間:2010/09/30 - 2010/10/17

マカク属は、ヒト以外の霊長類の中で最も多様な気候環境に適応し、アジアの広い地域に拡散している。本研究は、マカク属における頭骨形態の地理的変異を定量的に示し、その進化的要因について気候環境適応の観点から明らかにすることを目的とする。そのために、野生由来の頭骨標本を対象に形態計測データを取得する必要があった。派遣先機関は東南アジア由来の現生種標本を保有し、そのデータは熱帯から亜熱帯における頭骨形態の地理的変異を探る上で重要であると考えた。また、気候変動に伴う頭骨形態の時代変遷を明らかにするために、東南アジアにおける霊長類化石の産出状況を調査する必要があると考えた。

ラッフルズ自然史博物館、ハノイ国立大学動物学博物館、ベトナム国立自然博物館、ベトナム考古学研究所に赴き、東南アジア産マカク属5種(アカゲザル、カニクイザル、ブタオザル、アッサムモンキー、ベニガオザル)約100標本から計測データを取得した。接触型三次元計測器を用いて頭骨から標識点を取得するとともに、デジタルノギスを用いて歯牙形態を計測した。ベトナム考古学研究所では、更新世又は完新世と思われる堆積物から産出した哺乳類化石を観察し、マカク属、コロブス類、オラウータンを含む霊長類化石、十数標本を確認した。化石に関して今回は予備的な観察に留まったが、将来的な共同研究について好意的な回答を得た。帰国後は、幾何学的形態測定や多変量解析に加えてGISを用いた分析を行う予定である。


Collection room in Vietnam National Museum of Nature


Collections in Raffles Museum of Biodiversity Research

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