English report
AS-HOPE 事業報告
事業番号:AS-22-010
アフリカ産オナガザルの採食生態に関する研究
報告者:辻 大和
期間:2010/06/27 - 2010/07/08
本研究では、ウガンダ共和国・カリンズ森林に生息するブルーモンキー (Cercopithecus mitis,以下ブルー)とロエストモンキー (C.lhoesti,以下ロエスト)を対象に、食物資源の供給状態と採食生態の関連性を明らかにする。2009年度に実施した予備調査により、申請者は先述した2種のオナガザルが系統的に近縁であるにも関わらず、その生活様式(ブルーが樹上生活者であるがロエストは地上生活者)や社会構造(ブルーの群れサイズは大きく個体間競合が激しい)に大きな違いがあることを明らかにした。この違いは食物資源のタイプとその供給状態の違いに起因すると考えられる。つまり、ブルーの主要食物である果実類が局所的に集中分布し、かつ時間的に大きく変動するのに対してロエストの主要食物である昆虫類は均一に分布しかつ時間的な供給量の変動のレベルが小さい資源と考えられ、それが両者の社会生態に大きな違いをもたらしたと推測される。本年度はこの点を検証したい。食物環境と霊長類の社会生態との関連性は古くから多くの霊長類研究者が関心を持ってきたテーマだが、従来の研究は地域間の比較が主であり、同所的に生息する複数種の比較例は乏しかった。その意味で本研究は社会生態学的な知見を深めると期待される。
2010年6月27日よりウガンダでの調査を開始したが、到着当初から体調がすぐれず、一週間休養し、かつ現地の病院に通院しても回復しないため、やむを得ず帰国することとなった。当初の予定よりも2週間早く、7/8に帰国した。
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