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English report

AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-22-003

オランウータンとゴリラのアイトラッキング

報告者:狩野 文浩

期間:2010/09/27 - 2010/12/26

アイトラッキング(眼球運動追従)の手法は、ヒトやマカクで古くから行われているが、類人猿では先例がない。ヒトやマカクの先行研究から、目の動きは認知機能や神経活動を反映するもの(つまり目は心の窓)として重要視されており、比較認知研究における類人猿種の重要性を考えると、類人猿種におけるアイトラッキングは発展の可能性が大きい。我々は、先行研究においてチンパンジーでアイトラッキングに成功した(Kano & Tomonaga, 2009, 2010)。研究を発展させ類人猿の眼球運動についてより知見を深めるため、より多くの類人猿種で同様の研究を行う必要があった。そこで、多くのオランウータン、ゴリラ、ボノボを研究しているマックスプランク研究所において共同研究を企画した。

今回の研究では、ドイツ、マックスランク研究所において、10個体のオランウータン、5個体のゴリラにおいて、眼球運動の記録に試み、すべての個体において成功した。類人猿におけるアイトラッキングの困難は、マカクやヒトの研究のように、眼球を安定して撮影するために頭部を固定することができない点にある。そのために、比較的画角の大きいアイトラッカーを使用し、そのうえで、類人猿に直接触れることなく、撮影位置(アイトラッカーと被写体の距離など)を調整する必要がある。今回2つの工夫をした。一つは、先行研究で行った工夫と同様に、すべての装置に滑車を取り付け、類人猿がどのような姿勢をとっても適切な撮影位置に装置を素早く装置を移動できるようにしたことである。もう一つは、実験者と類人猿を隔てるアクリルパネルにチューブとノズルを取り付け、そこから果物ジュースを少しずつ出し、類人猿がテスト中に常にそのノズルをくわえている状態(頭部が固定される)にしたことである。これらの工夫によって、すべての類人猿種において、アイトラッキングが可能となった。


recording eye movements of the orangutan


recording eye movements of the gorilla

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