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内在化または細胞内転移が最近起こった内在性レトロウイルスを哺乳類で同定
林咲良、清水小波、本田祐介、桂有加子、古賀章彦

内在性レトロウイルス 内在性レトロウイルスは、ウイルスの一種であるレトロウイルスが染色体に取り込まれて、そのまま残ったものです。内在化した後、転移して数がふえることもあります。ヒトの場合は約8万個。ただし、内在化が起こったのは遠い過去であるため、ほぼすべてが、既に崩壊しています。他の哺乳類も同様です。新規の内在化や転移の報告は、例外的な状況を除き、ありません。

問題設定 つぎの2つを設定しました。
1.現在の哺乳類でも内在化や転移は起こるか?
2.起こるとすれば過去に内在化したものとは異なるか?

研究成果 研究を実施して、問題への答えを得ました。
1.起こる(最近生じた現象がみつかった)
2.異なる(既知のウイルスとは違うものであった)

詳しい内容 論文として公表しました。
Hayashi S, Shimizu K, Honda Y, Katsura Y, *Koga A (2022)
An endogenous retrovirus presumed to have been endogenized or relocated recently in a marsupial, the red-necked wallaby (有袋類のアカクビワラビーで最近内在化または移動したと推測される内在性レトロウイルス)
Genome (online publication) DOI:10.1139/gen-2021-0047

もう1つの意義 世界各地の動物園で近年、白いワラビーが相次いで生まれています。共通の原因があるものと推察されますが、原因の究明はこれまでなされていません。その原因を初めて解明しました。
詳細は、京都大学の最新研究成果
2022/01/19 Primate Research Institute