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機械学習技術を用いた形態学的解析の基盤技術の開発に成功しました
森田尭、西村剛、伊藤毅、香田啓貴、若森参
概要
森田尭 霊長類研究所研究員(現、大阪大学産業科学研究所助教)、西村剛 同准教授、伊藤毅 同助教、香田啓貴 同特定准教授、若森参 同大学院生(現、多摩動物公園)の研究グループは、三次元形態データを用いることで、現実的なサンプルサイズで機械学習技術を用いた形態学的解析を成功させました。 機械学習技術は、生物学的研究での利用が期待されていますが、広く普及している状況にはありません。その最大の障壁は、いわゆるビックデータ問題と呼ばれるものです。機械学習で研究データを処理させるには、その前に、種や性別といった性質を紐付けした教材となるデータを万から十万単位で用意して、機械に評価指標を自ら見出して学習してもらう必要があります。私たちが日常的に収集する程度のサンプル数では、個々の教材データについての性質を丸覚えしてしまい、他のデータでも利用可能な評価指標を学習しません。また、ブラックボックス問題もあります。機械学習では、通常は、そうして学習した評価指標を人に解釈可能な形で見せてくれません。 本研究では、マカクザルの下顎骨の連続CT画像から作成した三次元デジタル形状データを用いて、様々な角度からの二次元投影画像を大量に作成することで、現実的なサンプル数(n=139)で、その形状をもとに雌雄を判別させる学習を実現しました。さらに、機械が下顎骨のどこを見て判別したのかを可視化することにも成功しました。この手法では、教材データの位置合わせや解像度等に厳密さが求められないので、様々なデータを再利用してサンプル数を確保することも可能です。 今回の研究成果は、雌雄判別というひじょうに初歩的な解析ですが、機械学習技術を形態学的解析に現実的に利用する道を拓きました。昨今、形態学的解析はますます高度化しています。それらへの応用に向けて、さらなる研究が必要です。 Morita, T.*, Ito, T., Koda, H., Wakamori, H., & Nishimura, T.* (2022). Analyzing and visualizing morphological features using machine learning techniques and non‐big data: A case study of macaque mandibles. American Journal of Biological Anthropology. doi:10.1002/ajpa.24469
2022/01/14 Primate Research Institute
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