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非ヒト霊長類腸管オルガノイドにおけるTuft細胞分化とアセチルコリン産生
Akihiko Inaba, Ayane Arinaga, Keisuke Tanaka, Takaho Endo, Norihito Hayatsu, Yasushi Okazaki, Takumi Yamane, Yuichi Oishi, Hiroo Imai*, Ken Iwatsuki*
概要

 Tuft細胞は、腸管上皮に存在する味細胞に類似した化学感覚受容細胞であり、腸内の自然免疫応答において重要な役割を担っている。Tuft細胞の活性化は自然免疫応答を促進し、Th2サイトカインであるインターロイキン-4(IL-4)やIL-13を誘導する。IL-4やIL-13はフィードバック的にTuft細胞に作用し、その増殖を促す。しかし、霊長類においてIL-4やIL-13が消化管上皮に作用した結果起こる生体防御機構についての詳細については分かっていない。

 本研究では、アカゲザルおよびニホンザル由来腸管オルガノイドを用いて、IL-4、IL-13で誘導した腸管上皮細胞の遺伝子発現と分化細胞の変化を調べた。トランスクリプトーム解析ならびに免疫染色の結果から、IL-4, IL-13添加群では、対照群に比べてTuft細胞関連遺伝子の発現が上昇し、Tuft細胞の数が有意に増加していることが明らかになった。また、IL-4, IL-13添加群ではアセチルコリン合成酵素(ChAT)の遺伝子発現が有意に増加していた。高速液体クロマトグラフィー質量分析法(HPLC/MS)を用いてオルガノイド中のACh量を測定した結果、IL-4添加群においてACh量の有意な増加を認めた。さらに、AChがPaneth細胞の顆粒分泌を誘導することを確認した。

 本研究は、IL-4刺激により腸管上皮におけるACh産生が増加することを示しており、AChがPaneth細胞の顆粒分泌にパラクライン様に作用する可能性を示唆している。また、本研究成果は、げっ歯類と比べて解析が進んでいない霊長類におけるTuft細胞機能の解明に貢献すると期待される。

Figure legends
(a) Role of tuft cells (TC) in Th2 cytokine feedback system.
(b) Representative images of whole-mount immunohistochemistry of organoids cultured in three different media for 72 h. Organoids were stained with antibodies against DCLK1 (Tuft cell marker, green) and 5HT (Enterochromaffin cell marker, red). DAPI was used to stain nuclei (blue). Arrowheads indicate DCLK1, and arrows indicate 5HT immunoreactive cells. Scale bar, 100 μm.
(c) A heatmap of 67 DEGs for the tuft cell in the organoids cultured in IF, DI, or IL-4 medium. Colors indicate the relative expression levels based on row-wise z-score of transformed TPM values.
(d) Hypothetical model derived from this study. ACh is basolaterally secreted from tuft cells and acts as a paracrine stimulus on Paneth cells (PC) to secrete granules that contain antimicrobial peptides in the intestine. TC, PC, and AMPs represent tuft cells, Paneth cells, and antimicrobial peptides, respectively.

書誌情報

Interleukin-4 Promotes Tuft Cell Differentiation and Acetylcholine Production in Intestinal Organoids of Non-Human Primate.
Int. J. Mol. Sci. 2021, 22(15), 7921; https://doi.org/10.3390/ijms22157921

 

2021/07/30 Primate Research Institute