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ニホンザルの表情を客観的に測定するためのMaqFACS拡張ツールの開発
Catia Correia-Caeiro, Kathryn Holmes, Takako Miyabe-Nishiwaki
概要
表情は、動物がコミュニケーションや感情表現に使う、微細ですが複雑な動きです。しかし、様々な要因により、動物の表情を科学的に研究するのは難しい仕事です。例えば、人間は顔をひとまとまりとしてとらえ、微細な顔の部分の動きを検知しません。さらに、異なる種では同じような表情でも反対の意味を持つことがあります(たとえば歯を見せることは人ではポジティブな状況に結びつけられますが、チンパンジーではネガティブな状況であることがあります)。ヒトでは有名なFACS (Facial Action Coding System)という、表情を客観的に測定するゴールドスタンダードな方法があります。これは、筋肉の解剖を基礎としているため、種間の体系的な比較に適用することができます。これまでの先行研究として、チンパンジー (ChimpFACS)やアカゲザル(MaqFACS)など、いくつかの種のFACSが作られています。このため、我々はFACSの方法にしたがってニホンザル用のFACS拡張ツールを開発しました。まず、ニホンザルの表情筋について検討し、次にそれぞれの筋肉の機能をみるため他の種と表情筋およびその動きを比較しました。そして最後にそれぞれの独立した表情筋の動きをアクション・ユニット(AUs)として分類しました。我々はニホンザルについて、19個のAUsと、15個のアクション・ディスクリプタ―(ADs,より広範な動き)と3つの耳のAU(EAUs)を記載しました。アカゲザルとニホンザルの筋肉は非常に良く似ているため、ニホンザルのためのMaqFACS拡張ツールとして作成しました。これをMaqFACSと一緒に用いることで、ニホンザルの表情を体系的・標準的・客観的に解析することができます。ニホンザルのためのMacFACS拡張ツールは感情やコミュニケーションの進化についての研究や、飼育下および研究用の個体の福祉向上に貢献できると考えられます。 2021/01/22 Primate Research Institute
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