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チンパンジーはおとなと乳児の顔の弁別に形態特徴よりも色特徴を利用する
川口ゆり,中村航洋,友永雅己
概要
霊長類の乳児には様々な外見の特徴があります。形態的な特徴としては、額や目の大きさが相対的に大きく、鼻や口は小さいことなどがあげられます。これらの特徴は種によらず、ある程度、普遍的に存在すると考えられています。また、多くの霊長類は乳児期だけおとなと異なる特有の肌や体毛の色をしており、例えばチンパンジーの乳児はおとなに比べて明るい肌の色をしています。しかし、こういった特徴がおとなと乳児を弁別する手掛かりとなっているのかはわかっていませんでした。そこで、本研究ではチンパンジーがおとなと乳児の顔を弁別するのに顔の形態と色のどちらを用いるのかを調べました。チンパンジーにタッチパネル課題を用いて、おとなと乳児の顔を弁別することを訓練したのち、顔の形態と色を独立に操作したモーフィング写真にどのように反応するかを調べました。結果、チンパンジーは顔の形態以上に色を手がかりにおとなと乳児を弁別することが分かりました。一方、画像解析からは、顔の形態と色ともに発達によって変化することが確認されました。本研究はチンパンジーは進化において独自に獲得した乳児の特徴である顔の色に対して注目しやすいことを示しています。他個体の顔の色から年齢に関する情報を読み取ることで発達段階に応じた行動をとることができるのかもしれません。 研究の概要
書誌情報
Kawaguchi, Y., Nakamura, K. & Tomonaga, M.(2020). Colour matters more than shape for chimpanzees’ recognition of developmental face changes. Scientific Reports, 10. https://doi.org/10.1038/s41598-020-75284-2
2020/10/26 Primate Research Institute
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