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ハンドウイルカにおける第三者がはじめる闘争個体への闘争後親和行動の機能
山本知里、石橋敏章、柏木伸幸、天野雅男
概要
Functions of post-conflict bystander affiliations toward aggressors and victims in bottlenose dolphins. ハンドウイルカにおける第三者がはじめる闘争個体への闘争後親和行動の機能 山本知里 霊長類研究所 日本学術振興会特別研究員・長崎大学、天野雅男 長崎大学教授、しものせき水族館、かごしま水族館の研究グループは、飼育されているハンドウイルカを対象に、個体間で闘争が起こったときに、それに関わらなかった第三者が闘争に関わった自分と仲のよいイルカへ友好的な行動(並んで一緒に泳ぐ行動や胸びれで相手を触ったり擦ったりする行動)をすることで、闘争をした個体同士の緊張をおさえていることを明らかにしました。 社会的な群れで起こる闘争は、個体同士の関係の悪化などいろいろなコストをうみます。一般的に第三者が闘争をした個体に行う友好的行動には、このようなコストを減らす役割があるとされていますが、その役割が調べられた種は限られていました。ハンドウイルカの第三者は、闘争が起こるとそれに関わったイルカへ、友好的な行動を行いました。そして第三者による友好的な行動が起こると、イルカたちがその後再び闘争をする回数が減りました。さらに第三者は自分と仲のよい闘争個体へ友好的な行動をすることがわかりました。ハンドウイルカは、第三者が自分と仲のよい個体が闘争に関わったとき、そのイルカへ友好的な行動をすることで、闘争による社会的な緊張を緩和していると考えられます。また、第三者は勝敗ではなく自分との関係に基づき闘争後に友好的行動をする相手を選んでおり、これは寛容な社会を持つ本種の特徴であると考えられます。 本研究の成果は、2020年3月2日にScientific Reportsに掲載されました。
書誌情報
Yamamoto, C., Ishibashi, T., Kashiwagi, N., Amano, M. (2020). Functions of post-conflict bystander affiliations toward aggressors and victims in bottlenose dolphins. Scientific Reports, 10, 3776. https://doi.org/10.1038/s41598-020-60423-6
2020/03/03 Primate Research Institute
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