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霊長類の腸管における苦味受容体の発現解析
今井啓雄, 伯川美穂, 林 美紗(ゲノム進化分野), 岩槻 健(東京農大), 益田勝吉(医学研究科味覚分子構造科学講座)
概要

 近年、舌以外における味覚受容体の発現解析が盛んに行われている。腸管においてはマウス等で苦味受容体等の発現が報告されているが、霊長類における報告は数少ない。我々はRNAseqによりアカゲザルの体内における苦味受容体の発現パターンを網羅的に解析した。その結果、TAS2R14,38, 46等のいくつかの苦味受容体が腸管で発現していることを見いだした。また、RNAscopeや免疫組織化学的解析により、PTCに反応するTAS2R38等の発現が、免疫系に関与するタフト細胞やホルモン分泌に関わる内分泌細胞で観察された。受容体の機能は種ごとに異なり、T2R38の反応性はヒトとアカゲザルではPTCに反応するがマウスでは反応しないため、アカゲザルがヒトの腸管における苦味受容体機能のモデルとして適していることが示唆された。
書誌情報

Int. J. Mol. Sci. 2020, 21(3), 902;
https://doi.org/10.3390/ijms21030902 
https://www.mdpi.com/1422-0067/21/3/902

 

2020/02/04 Primate Research Institute