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ボノボとチンパンジーの間における異なる集団のオス間の血縁の分化の比較
石塚真太郎, 竹元博幸, 坂巻哲也, 徳山奈帆子, 戸田和弥, 橋本千絵, 古市剛史
概要

 血縁は動物個体間の親和/敵対性に影響を及ぼします。これまで多くの種で個体間の血縁が協力の要因となっていることが実証されてきましたが、それらの研究のほとんどは同一集団内の個体を対象にしてきました。一方で、異なる集団の個体間の血縁が集団間の親和/敵対性にどのように影響を及ぼすかについては、あまり調べられてきませんでした。そこで本研究では、進化的に互いに最も近縁であり、社会システムに多くの特徴を共有しながら、集団間の親和/敵対性が大きく異なるボノボとチンパンジーで、隣接集団のオス間の血縁の分化を比較しました。
 ボノボとチンパンジーでは、異なる集団のオスへの攻撃性が大きく異なります。チンパンジーのオスは他集団のオスを連合攻撃して殺戮する等、激しい攻撃を行うのに対し、ボノボのオスではそのような激しい攻撃が見られません。父系社会を形成する両種では、基本的に異なる集団のオス同士の血縁は分化しています。一方で、他集団のオスへの攻撃性がボノボよりもチンパンジーで熾烈であることからは、異なる集団のオス間の血縁の分化がボノボよりもチンパンジーで大きくなっていることが示唆されます。ところが私たちが分析を行ったところ、ボノボの隣接集団のオス間の血縁の分化はチンパンジーと同等以上であることが分かりました。この結果の背景には、ボノボのオス間の繁殖成功の偏りがチンパンジーよりも大きいこと等が関係していると考えられます。両種の他集団のオスに対する攻撃性の違いは、異なる集団のオス間の血縁の分化とは別の要因によって生じていると考えられます。
2020/01/15 Primate Research Institute