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野生下におけるボノボの新たな非侵襲的DNA採取方法の確立
石塚真太郎, 川本芳, 戸田和弥, 古市剛史
概要
絶滅危惧種の保全は、今世紀の我々の大きな命題の一つです。絶滅危惧種の保全のためには、野生個体群の遺伝的多様性を評価することが欠かせません。遺伝的多様性の評価のためには、動物からDNAを得ることが必要ですが、絶滅危惧種に対して捕獲等の侵襲的行為を行うことは、通常禁止されています。そのため、絶滅危惧種のDNAの採取は非侵襲的に行う必要があります。しかし、これまでにそれぞれの種で開発されている非侵襲的DNA採取方法の種類は多くありませんでした。 我々は絶滅危惧種であるボノボを対象に、新たな非侵襲的DNA採取方法の確立を試みました。我々はボノボが野生下で採食する3種類の地上性草本(Haumania liebrechtsiana, Megaphrynium macrostachyum, Aframomum laulentii)に残った唾液に着目し、試料採取機会の頻度、そこから得られるDNAの濃度と質を評価しました。唾液試料の採取機会は、代表的な非侵襲的試料である糞と比べて多くなっていました。また、唾液試料からは高濃度(> 200pg/μl)のDNAが得られる場合が多く、それらはマイクロサテライトの分析にも使用可能でした。これらの結果から、草本に残る唾液を用いたボノボのDNA採取方法は、特に多くの採取機会があるという点で、有効な方法であることが示されました。本研究結果は、ボノボの保全の上で有効活用されることが期待されます。 書誌情報
Primates, pp 1-7 https://doi.org/10.1007/s10329-018-00704-x https://link.springer.com/article/10.1007/s10329-018-00704-x
2018/12/11 Primate Research Institute
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