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野生ボノボにおける、死児を対象としたカニバリズム事例の報告

Cases of maternal cannibalism in wild bonobos (Pan paniscus) from two different field sites, Wamba and Kokolopori, Democratic Republic of the Congo
Nahoko Tokuyama, Deborah Lynn Moore, Kirsty Emma Graham, Albert Lokasola, Takeshi Furuichi
概要

カニバリズムとは同種を対象とした肉食行動のことで、無脊椎動物から哺乳類まで様々な動物種で観察されます。母親が自らの子を食べる行動(Maternal cannibalism)は霊長類では珍しく、飼育下の非常にストレスがかかった状態でみられる異常行動だと考えられてきました。しかし2008年にルイコタルの野生ボノボにおいて、母親を含む数個体による、死んでから一日経った赤ん坊を対象としたカニバリズムが観察されました(Fowler & Hohmann 2010)。今回私たちは、ワンバとココロポリにおいて、野生ボノボの死児を対象としたカニバリズムを新たに2例観察しました。どちらの事例においても、母親の参加と、個体間での肉の配分が見られました。このような死児を対象としたカニバリズムは、生起頻度は低いものの異常行動ではなく、ボノボの自然な行動レパートリーの一部であると考えられます。
書誌情報

Primates (2016)
doi:10.1007/s10329-016-0582-7
http://link.springer.com/article/10.1007/s10329-016-0582-7


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2016/10/28 Primate Research Institute