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機能する CENP-B box が新世界ザルではセントロメア反復配列の
異なる多くの場所に生じている
Formation of functional CENP-B boxes at diverse locations in repeat units of centromeric DNA in New World monkeys
久郷和人・平井啓久・舛本寛・古賀章彦
概要

背景 セントロメア反復配列に CENP-B box とよばれるモチーフがある。セントロメア形成に関与するタンパクである CENP-B が、DNA に結合する際に、このモチーフを認識する。ヒト科(ヒト・ゴリラ等)ではどの種も、CENP-B box は反復単位上の特定の1か所にある。

結果 新世界ザルのマーモセットで、セントロメア反復配列に CENP-B box があることを、最近我々は報告した。これに加えて今回、リスザルとタマリンで CENP-B box を同定した。機能することも証明した。この3種の間で CENP-B box の位置をくらべて、互いに異なることを見出した。

意義 ヒト科では、反復単位1つおきに CENP-B box が存在することが多い。CENP-B box が機能するためにはこの1つおきという間隔が必要なのであろうと考えられる。セントロメア反復配列の反復単位の長さは、ヒト科は 171 塩基対であるのに対して、新世界ザルでは約2倍の 340-350 塩基対である。反復単位の上に新しい CENP-B box が生じた場合、その反復単位を単純に連ねるだけで、ヒト科での1つおきに相当する間隔になる。すなわち、反復単位の配置に関してヒト科より制約が小さい。このために新しく生じた CENP-B box が生き残る可能性は、ヒト科の場合より大きいであろうと考えられる。新世界ザルで多様な位置にみられる理由をこのように推測した。

書誌情報

Scientific Reports Vol. 6
http://www.nature.com/articles/srep27833
2016/06/17 Primate Research Institute