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Nasal anatomy of Paradolichopithecus gansuensis (Early Pleistocene, Longdan, China) with comments on phyletic relationships among the species of this genus

西村剛、張穎奇、高井正成

パラドリコピテクスParadolichopithecusは、鮮新世後半にユーラシア大陸に生息していた大型で地上性のオナガザル亜科です。その系統的位置に関しては、マカク系統とヒヒ系統のどちらに近いか論争が続いています。私たちの研究クループは、以前、後期鮮新世・フランス産のパラドリコピテクス・アルベルネンシス(P. arvernensis)や後期鮮新世・タジキスタン南部産のパラドリコピテクス・サスキーニ(P. sushkini)の頭蓋骨化石をCT撮像し、それらの鼻腔の形態学的特徴を明らかにしてきました。特に注目しているのは上顎洞という頬のあたりにある頭蓋骨内の空洞で、現生旧世界ザルではマカク系統のみでみられる特徴です。アルベルネンシス種にはなかったのですが、サスキーニ種ではありました。本研究は、中国の甘粛省龍担から見つかった前期更新世のパラドリコピテクス・ガンスエンシス(P. gansuensis)のタイプ標本をCT撮像し、その鼻腔構造を分析しました。その結果、この種には上顎洞がないことがわかりました。地理的には近いサスキーニ種ではなく、ヨーロッパのアルベルネンシス種と同様です。現生霊長類では、同じ属内であれば種間で上顎洞の有無が異なることは知られていません。ガンスエンシス種とアルベルネンシス種がパラドリコピテクス属で、サスキーニ種は別属なのでしょうか?ところが、話はそう簡単ではありません。そもそも、この中国のガンスエンシス種をパラドリコピテクス属に含めるか否かについては議論があります。中国やインドからは、似たような大型オナガザル類であるプロサイノセファルスProcynocephalus が産出するからです。すっきりするどころか、混沌としてきました。今後、それらの鼻腔構造の研究もすすめて、ユーラシア産の大型オナガザル類全体の分類の枠組みを再検討する必要があるでしょう。

Folia Primatologica 81: 53-62 (2010)

Paradolichopithecus was a large cercopithecine primate that existed in Eurasia from the middle Pliocene to the early Pleistocene. Para. arvernensis from the late Pliocene of Senèze, France, shows no maxillary sinus, whereas Para.sushkini from the late Pliocene of Kuruksay, Tajikistan, has this feature. In this study, we examined a new maxillary specimen of Para. gansuensis from the early Pleistocene of Longdan, China. The Longdan maxilla had lost its facial part, which exposed the internal floor of the nasal region. The nasal floor expands laterally, making the maxillary body thin at the P3–M2 level and thick at the M3 level and extending to the maxillary tubercle. Such a topography is seen in the Senèze and Kuruksay crania. The Longdan maxilla shows no evidence of the formation of a maxillary sinus within the inferior portion of the thick maxillary body, as is seen in the Senèze cranium. Such a configuration could reflect the absence of a maxillary sinus in the Longdan specimen. Eastern Para. gansuensis might have dispersed eastward retaining a primitive condition, while central Para. sushkini would have acquired this feature independently in central Eurasia.

JUN/07/2010

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