霊長類研究所卒業生伊藤毅氏(現琉球大)が
2015年度日本霊長類学会高島賞(学術奨励賞)を受賞しました。
霊長類研究所卒業生伊藤毅氏(現琉球大)が2015年度日本霊長類学会高島賞(学術奨励賞)を受賞しました。
伊藤毅氏は7/18-7/20に開かれた第31回日本霊長類学会大会(京都市)において、研究所の大学院時代から実施した研究内容によって、日本霊長類学会より高島賞を授与され、「化石から探るマカク属霊長類の歴史生物地理」という演題で受賞記念講演をおこないました。
選考対象となった論文は以下の3編です。
今回の選考対象となった業績はマカク属の現生・化石種を対象とした一連の論文からなるものです。
化石研究は、過去に生息していた生物の姿を伝えるという点で系統学や生物地理学における重要な基礎の一つですが、化石として残る形態の類似や相違が必ずしも系統関係を反映するとは限らないという問題があります。
そのため、選考対象となった研究では現生種において形態から系統関係を示す情報をよりよく提供する方法を検討し、その結果を化石種に適用して、中国河南省の前期更新世から知られていた化石マカクMacaca
anderssoniの系統推定をおこなっています。
選考対象となった3本の論文では、三次元計測やCT撮像、幾何学的形態測定など、近年、形態学分野で使われるようになった新しい手法を取り入れています。データの収集や分析、結果の解釈や議論も堅実なもので、高島賞授賞にふさわしいと判断されました。