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松沢哲郎教授が文化功労者に顕彰されました

 

平成25年10月25日 松沢哲郎教授が文化功労者に顕彰されました

京都大学教授 松沢哲郎

昭和 25年10月15日生
昭和 49年 3月 京都大学文学部哲学科卒業
昭和 51年 3月 京都大学大学院文学研究科修士課程修了
昭和 51年12月 京都大学大学院文学研究科博士課程中途退学
昭和 51年12月 京都大学霊長類研究所助手
昭和 62年 9月 京都大学霊長類研究所助教授
平成 元年 1月 理学博士(京都大学)
平成 5年 9月 京都大学霊長類研究所教授(現在まで)
平成 18年 4月 京都大学霊長類研究所長(平成24年3月まで)

(賞)
平成 16年 5月 中日文化賞(「チンパンジーの認識の研究」に対して)
平成 16年11月 紫綬褒章
平成 23年11月 毎日出版文化賞(『想像するちから』に対して)

顕彰理由:

比較認知科学の分野において、ヒトと最も近縁なチンパンジーを対象に、アフリカの生息域での研究と日本の実験室での研究を癒合させた独自の手法で「進化の隣人」と呼べるチンパンジーの暮らしと心の世界を明らかにし、人間の認識と行動の進化的起源について数多くの知見を生み出すことにより、「比較認知科学」と呼ばれる研究領域を開拓しその発展に多大な貢献をした。氏の研究は、「チンパンジーの心の研究」を基盤に、人間の認識と行動の進化的基盤を明らかにしたものといえ、氏が開拓した「比較認知科学」は、いわば心理学と霊長類学から生まれた、認識の進化を扱う独創的な研究領域である。氏はチンパンジーの認識と行動を、アフリカの自然場面での観察研究と、「アイ・プロジェクト」と呼ばれる日本の実験室場面での実験研究を融合させた新しい視点から総合的に研究し、日本の実験室での研究では、チンパンジーの視知覚・認知・記憶などの機能がヒトと比肩しうるものであることを実証した。その一方で、いくつかの情報処理過程において、ヒトとチンパンジーの相違も見出し、それがそれぞれの種の生態学的環境と深く関わっていることを指摘した。アフリカの自然の生息地での研究では、野生のチンパンジーの生態、特に道具使用とその習得過程に焦点を当てて、チンパンジーにも教育や文化と呼べるものがあることを明らかにした。氏はさらに、こうした観察と実験の手法を融合させて、特に親子を含めたチンパンジーのコミュニティー全体をシミュレーションする飼育下の研究を行い、世代間で知識や技術が文化的に伝播する様相を克明に描き出し、親子の絆や社会的な場面での学習の重要性を明確に示した。以上のように、氏はチンパンジーというユニークな素材を対象とすることにより、人間の認識や行動の進化的な起源を解明、人間の本性について新たな理解をもたらし、その功績は誠に顕著である。