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2011/12/28

遺伝子情報分野大学院生の早川卓志らの研究が
読売新聞朝刊で紹介されました

 

遺伝子情報分野大学院生の早川卓志らの研究が読売新聞朝刊で紹介されました

「チンパンジー、生息地で味覚異なる」(読売新聞中部版2011年12月28日朝刊)

http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/111228_1.htm

 

研究内容「チンパンジーの味覚受容体遺伝子の地域差」

 遺伝子情報分野では、野生霊長類の味覚受容体遺伝子と、実際の食環境との関係について調査している。ヒトに最も近縁な霊長類であるチンパンジーは、西アフリカから東アフリカにわたって多様な環境に暮らしており、異なる食環境に身を置かれた亜種や地域個体群が存在する。実際に採食レパートリーの亜種差や地域差が存在することが報告されている。その中には甘いもの、酸っぱいもの、苦いものなど、多様な味を呈する食べ物が含まれている。

 味覚は、主に舌の上に存在する味覚受容体タンパク質が、食物中の味分子と結合することでもたらされる。本研究では、今年前半に報告した西チンパンジーの苦味受容体[Sugawara et al., Mol. Biol. Evol. 28, 921 (2011)]に加えて、京都大学や国内の動物園で飼育されている4亜種のチンパンジーにおいて、28個ある苦味受容体タンパク質のアミノ酸配列を比較解析した。その結果、西アフリカと東アフリカのチンパンジーの間でアミノ酸配列に明確に区別できる違いがあることがわかった。また機能消失型の遺伝子(偽遺伝子)にも地域差が存在することがわかった。こうした違いは、野生チンパンジーの味覚の個体差や地域差を生み出し、異なる採食レパートリーを東西アフリカのチンパンジーにもたらすことに、貢献している可能性がある。

 * 本研究の遂行にあたっては、本学熊本サンクチュアリ、伊豆シャボテン公園、高知県立のいち動物公園、多摩動物公園、東山動植物園、福岡市動物園、宮崎市フェニックス自然動物園の協力をいただきました。