弔意:西田利貞先生のご逝去に対して心から哀悼の意を表します
西田利貞先生のご逝去に際し、京都大学霊長類研究所を代表して、心から哀悼の意を表します。
先生は、本研究所の第8期から20期まで、20有余年にわたって運営委員として、
研究所のあり方について、ご指導を賜りました。一研究所のみならず、日本霊長類学会長、国際霊長類学会長として、わが国の霊長類学の興隆に尽力されました。
マハレの野生チンパンジーの研究者として野生チンパンジー研究の第一人者として学界に貢献されたことは万人の認めるところですが、つねにフィールドに赴き、つねにその成果を論文や著作にまとめ、その後ろ姿によって、学者の本分を後進に示されたと思います。
たまたま先々週、英国出張のおり、ケンブリッジ大学のウィリマム・マグルー教授に会いました。西田先生のもっとも親しい外国人研究者のおひとりです。西田先生との共著の本を出版すべく大急ぎでゲラの段階まで来ているとおっしゃってました。すでに先生の闘病生活も長きにわたり、
近しい方々には、ある種の覚悟をもっていたと思います。
しかし、訃報に接し、マグルーさんいわく、それはそれ、いかにきょうという日を覚悟していたとはいえ、悲しみにたえません。短いお返事でした。わたくしもたった一行の知らせしか書けませんでしたが、一行のご返事に、かえって悲しみの深さを感じました。次ぐべきことばがみあたりません。
昨日からきょうにかけて、たくさんの外国の友人たちから、西田先生のご逝去に際して、弔意のメイルを受けています。先生の遺徳にあらためて思いを深くしています。
西田先生のご逝去に際し、衷心より哀悼の意を表します。京都大学霊長類研究所の教職員ならびに学生等の皆様を代表して心からお悔やみ申し上げます。
安らかにお眠りください。
京都大学霊長類研究所長
松沢哲郎
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