2010年9月21日
郷もえがInternational Primatological Society
XXIII
(第23回国際霊長類学会)で最優秀ポスター賞を受賞しました。
郷もえ(生態保全分野)がInternational Primatological
SocietyXXIII(2010.9.12-18、京都)において、最優秀ポスター賞を受賞しました。
発表題目
Ranging Behaviors in Mixed-species Associations of Blue Monkeys and
Red-tailed Monkeys in the Kalinzu Forest, Uganda
発表者
Moe GO & Chie HASHIMOTO
(京都大学霊長類研究所)
受賞内容の解説
同所的に複数の霊長類種が生息している地域では、異なる種の群れどうしがひとつの群れのように集まって共に行動する“混群”という現象が報告されている。同じ森に生息する複数種の群れを複数の観察者が同時に観察することにより、異なる種の群れがどのように集まり混群を形成するのかを明らかにした。
ウガンダ共和国カリンズ森林に生息するブルーモンキー(
Cercopithecus mitis )とレッドテイルモンキー(C.ascanius)は、その行動域が大きく重複しており、常に決まった2種の群れどうしで混群をつくっていた。2種の群れは、1日を通してよく似たルートを移動し、2種の行動域の境界付近では、より2種間の距離が近くなっていた。また、混群が隣接する群れに対して敵対的な行動を取ることが観察されたことから、常に決まった相手と作る混群には、隣接する混群に対する資源防衛の機能があると考えられた。
レッドテイルモンキーはブルーモンキーとの距離を近づけるときに移動速度を速めており、レッドテイルモンキーがより積極的に混群を形成していると考えられた。2種が共にお互いのアラームコールに反応していたことから、混群形成には捕食者回避の機能もあると考えられたが、他の霊長類種と比較して捕食圧が高いといわれているレッドテイルモンキーは、より捕食者回避に努める必要があるために積極的に混群状態を維持していると考えられた。
今回の研究から、混群の進行方向に対してブルーモンキーが前方、レッドテイルモンキーが後方を移動していることを示すことができたが、レッドテイルモンキーはブルーモンキーとの近接状態を保とうと近づくために、結果的に進行方向に対して後方になってしまうと考えられた。
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