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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > Vol.47 目次
Ⅵ. ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)
1. ナショナルバイオリソースプロジェクト(ニホンザル)の活動 平成14年度から文部科学省により開始されたナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)の一環である。自然科学研究機構生理学研究所を中核機関、京都大学霊長類研究所を分担機関として、安全で健康なニホンザルを日本のさまざまな研究機関に供給することを目的として実施している。平成24年度より第3期(5年計画)に入った。現在、約400頭のニホンザルの3分の2を小野洞キャンパス(第2キャンパス)内で、3分の1を官林キャンパス(第1キャンパス)内で飼育している。 平成24年度より中村克樹を管理責任者として実施している。平成27年度より日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトとなった。平成28年度の実績は以下の通りである。1)今年度は霊長類研究所から25頭、生理学研究所から51頭の提供を実施した。また、ユーザーの希望を満たすため年3回の提供を行った。2)運営委員会・供給検討委員会等に委員として参加し、プロジェクトの円滑な運営に貢献した。3)事前講習会や実習を通じて、ニホンザルを用いた研究者の教育や指導を行った。4)サルの疾病対策等に関しては、生理学研究所の個体で発症したサルレトロウィルス(SRV5)感染症に対し、DNA・RNA・抗体検査を全頭で実施した。生存している全個体で陽性反応のないことを確認し、生理研からの提供再開に貢献した。4)広報活動および新たなユーザー開拓を目的として、関連学会等でポスター展示を行った。また、公開シンポジウムを開催し、ニホンザルを用いたHPを用いた情報発信などに努めた。 (文責:中村克樹)
2. ナショナルバイオリソースプロジェクト(GAIN)の活動 GAIN:大型類人猿情報ネットワークの展開 事業名称「情報発信体制の整備とプロジェクトの総合的推進」(大型類人猿情報ネットワークの展開)。英文名称Great Ape Information Network、英文略称はGAINである。GAIN事業は、平成14年度に文部科学省の主導で発足したナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)の一環である。第1期(平成14-18年度)と第2期(平成19-23年度)の成果を引き継ぎ、第3期(平成24-28年度)についても、飼育施設と研究者を結ぶネットワークや個体情報データベースのさらなる充実をめざしている。平成28年度も、霊長類研究所と野生動物研究センターの両部局の共同運営事業と位置づけた。綿貫宏史朗(霊長類研究所・日本モンキーセンター赴任)と岩原真利(野生動物研究センター熊本サンクチュアリ赴任)の2名の研究員が実務にあたった。また親事業である「情報」を統括する国立遺伝学研究所(情報事業代表:山崎由紀子)から厚いご支援をいただいた。平成28年度事業としては、従来と同様に、死亡や出生に応じて迅速にデータベースを更新することができた。平成29年7月19日現在で、チンパンジー313個体(49施設)、ボノボ6個体(1施設)、ゴリラ20個体(7施設)、オランウータン46個体(19施設)、テナガザル類178個体(43施設)が国内で飼育されている。個体ごとの生年月日や家系情報に加えて、DNA情報・行動情報についても整備をすすめた。平成28年度も継続して、すでに死亡した「過去の飼育個体も含めた全データベース」のバージョンアップに取り組んだ。平成29年7月19日現在で、チンパンジー1008個体、ボノボ9個体、ゴリラ120個体、オランウータン251個体、テナガザル591個体の情報である。また、死亡個体由来の試料について、京大霊長類研究所の共同利用・共同研究拠点制度にのっとった配布を進めた。平成28年度中に死亡した類人猿16個体中4個体分および過年度の死亡個体1個体(冷凍保存されていたもの)の遺体由来資料について、GAINを通じ霊長類研究所で譲受した。なおGAIN事業は、NBRP第4期(平成29-33年度)も継続して採択された。データベースについては、以下の和英のWEBサイトを参照されたい。http://www.shigen.nig.ac.jp/gain/ (文責:友永雅己・平田聡・松沢哲郎・綿貫宏史朗・岩原真利)
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