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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > Vol.46  > Ⅲ. 研究教育活動


Ⅲ. 研究教育活動

1. 研究部門及び附属施設

社会生態研究部門

生態保全分野

<研究概要>

A) ニホンザルの生態学・行動学
半谷吾郎,澤田晶子, John Sha Chih Mun,栗原洋介,本田剛章
人為的影響の少ない環境にすむ野生のニホンザルが自然環境から受ける影響に着目しながら、個体群生態学、採食生態学、行動生態学などの観点から研究を進めている。
屋久島の瀬切川上流域では、森林伐採と果実の豊凶の年変動がニホンザル個体群に与える影響を明らかにする目的で、「ヤクザル調査隊」という学生などのボランティアからなる調査グループを組織し、1998年以来調査を継続している。今年も夏季に一斉調査を行って、人口学的資料を集めた。屋久島海岸部では、サイズの異なる群れの採食行動の比較について研究した。屋久島の山頂部で、分布限界に住むニホンザルとニホンジカについての分布と植生に関する調査を行った。
霊長類研究所の個別飼育および放飼場のニホンザルを対象に、活動レベルとエネルギー消費量の関連を、アクティビティセンサと二重標識水を用いて調べている。

B) 霊長類とほかの生物との関係
湯本貴和,半谷吾郎,澤田晶子
屋久島でニホンザルと同所的に生息する生物との関係について研究を行った。とくに糞から得られるDNAの解析を加えて、これまで観察が困難だったニホンザルのキノコ食や昆虫食についてデータを蓄積中である。またニホンザルによる菌類の胞子散布について研究を行った。
屋久島のニホンザルなどの複数の霊長類を対象に、食性の季節変化と腸内細菌層の関連についての分子生態学的研究を行った。

C) 野生チンパンジーとボノボの研究
橋本千絵,岡野鈴子(長期野外研究プロジェクト)、松尾ほだか、有賀菜津美、岡野鈴子
ウガンダ共和国カリンズ森林保護区、コンゴ民主共和国ルオー学術保護区でそれぞれチンパンジー、ボノボの社会学的・生態学的研究を行った。遊動や行動と果実量との関係や、非侵襲的試料による生殖ホルモン動態の研究、非侵襲的試料による病歴や遺伝的間研究の研究、隣接する2集団の関係に関する研究などを行った。

D) アフリカ熱帯林の霊長類の生態学的研究
湯本貴和,橋本千絵,松田一希(長期野外研究プロジェクト)、徳重江美
野生霊長類が同所的に棲息するウガンダ共和国カリンズ森林保護区で、ブルーモンキー、レッドテイルモンキー、ロエストモンキーの混群形成、シロクロコロブスの採食生態などに関する生態学的研究を行っている。
コンゴ民主共和国ルオー学術保護区では、植生のモザイクと果実生産性がいかにボノボの遊動に影響を与えるかについて、植生調査と果実センサスを組み合わせた方法で研究を行なっている。また、ガボン共和国ムカラバ・ドゥドゥ国立公園では、広域のゴリラやチンパンジーの密度と地形・植生のモザイクとの関係を研究している。

E) 東南アジア熱帯林の霊長類の社会生態学的研究
半谷吾郎,松田一希(長期野外研究プロジェクト)
マレーシア領ボルネオ島・サバ州の複数の調査地で、カメラトラップによる地上性動物の密度調査を行い、一斉結実が大型動物に与える影響を調査している。マレーシアサバ州のスカウでは、行動観察とセンサスをもとに、テングザルとブタオザルの生態や群れ間関係などの社会構造についての研究を行った。

F) 東南アジア熱帯林の変化と社会的要因の研究
今井伸夫,湯本貴和
東南アジア各国の過去50年の森林面積の増減と社会的要因の関連を研究している。おもに過去の統計情報と土地利用図から変遷を読み取り、国際情勢やそれぞれの国での政策との関連を調べている。

G) キツネザル類の採食生態に関する研究
佐藤宏樹,澤田晶子
東部マダガスカルの熱帯雨林で、チャイロキツネザルをはじめとする霊長類の種子散布者としての機能に関する研究を行っている。
猛毒のシアン化物を含むタケを主要食物とするキツネザルを対象に、腸内細菌についての研究を進めている。

H) 新世界ザルの採食生態に関する研究
湯本貴和,武真祈子
ブラジル、マナウスの熱帯雨林で、サキ、リスザル、タマリンについて、植物との関係を中心にした採食生態に関する研究を進めている。

I) 石灰岩地生息する霊長類に関する研究
Zhou Qihai
中国、広西壮族自治区の石灰岩地帯に生息する4種の霊長類について、採食生態と遊動に関する研究を行った。

<研究業績>

原著論文

1) Aruga N, Matsuo H, Furuichi T, Hashimoto C (2015) Root Eating by Wild Chimpanzees (Pan troglodytes) in the Kalinzu Forest, Uganda: Possible Medicinal Plant Use. Pan Africa News,22,7-10.

2) Hanya G & Bernard H (2015) Different roles of seeds and young leaves in the diet of red leaf monkeys (Presbytis rubicunda): Comparisons of availability, nutritional properties and associated feeding behavior. International Journal of Primatology,36,177-193.

3) Hashimoto C, Furuichi T (2015) Sex Differences in Ranging and Association Patterns in Chimpanzees in Comparison with Bonobos. Dispersing Primate Females,105-126.

4) Hashimoto C, Isaji M, Koops K, Furuichi T (2015) First records of tool-set use for ant-dipping by Eastern chimpanzees (Pan troglodytes schweinfurthii) in the Kalinzu Forest Reserve, Uganda. Primates,56,4,301-305.

5) Kagoro-Rugunda G, Hashimoto C (2015) Fruit Phenology of Tree Species and Chimpanzees' Choice of Consumption in Kalinzu Forest Reserve, Uganda. Open Journal of Ecology,5,477-490.

6) Koops K, Furuichi T, Hashimoto C (2015) Chimpanzees and bonobos differ in intrinsic motivation for tool use. Scientific Reports,5,11356.

7) Koops K, Furuichi T, Hashimoto C (2015) Sex Differences in Object Manipulation in Wild Immature Chimpanzees (Pan troglodytes schweinfurthii) and Bonobos (Pan paniscus): Preparation for Tool Use?. Plos One.

8) Koops K, Schoning C, Isaji M, Hashimoto C (2015) Cultural differences in ant-dipping tool length between neighbouring chimpanzee communities at Kalinzu, Uganda.. Scientific Reports,5,12456,1-8.

9) Kurihara Y, Hanya G (2015) Comparison of feeding behavior between two different-sized groups of Japanese macaques (Macaca fuscata yakui). American Journal of Primatology,77,986-1000.

10) Sato H, Santini L, Patel ER, Campera M, Yamashita N, Colquhoun IC, Donati G (2016) Dietary flexibility and feeding strategy of Eulemur: a comparison with Propithecus. International Journal of Primatology 37: 109-129.

11) Slik et al. (2015) An estimate of the number of tropical tree species. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 112:7472-7477

12) Tang CB, Huang LB, Huang ZH, Krzton A, Lu CH, Zhou QH (2016) Forest seasonality shapes diet of limestone-living rhesus macaques at Nonggang, China. Primates 57: 83-92.

13) Terada S., Nackoney J., Sakamaki T., Mulavwa, M.N., Yumoto T., Furuichi, T (2015) Habitat use of bonobo (Pan paniscus) at Wamba: Selection of vegetation types for ranging, feeding, and night-sleeping. American Journal of Primatology,77,6,701-713.

著書

1) Chie Hashimoto and Takeshi Furuichi (2015) Sex Differences in Ranging and Association Patterns in Chimpanzees in Comparisonwith Bonobos.Springer IN:Furuichi T, Yamagiwa J, Aureli F (eds.) Dispersing Primate Females: Life History and Social Strategies in Male-Philopatric Species.

2) 鎌田東二 (2015) スピリチュアリティと環境.ビイング・ネット・プレス. 2015/09.

学会発表

1) Hashimoto C (2015) Mixed species associations of Guenons in the Kalinzu Forest and the Report of the AA Seminar held in Kalinzu in August 2015. African Primatologcial Consortium第一回大会,ウガンダ国カンパラ市,12月15日.

2) Kurihara Y, Hanya G (2015) Japanese Macaques Change Food Patch Use on the Periphery of the Home Range. Vth International Wildlife Management Congress. 2015/07.

3) 今井伸夫、北山兼弘(2016) ボルネオ熱帯低地の自然林・二次林生態系における地上部純一次生産の窒素・リン施肥への応答. 第63回日本生態学会、2016年3月、仙台市

4) 栗原洋介・半谷吾郎 (2015) ニホンザルは行動圏の周縁で食物パッチ利用を変化させる. 第 31 回日本霊長類学会大会.2015/07.

5) 栗原洋介・半谷吾郎 (2016) 屋久島に生息するニホンザルにおけるエネルギーバランスの季節変化. 第 63 回日本生態学会大会.2016/03.

6) 半谷吾郎 (2016) 低密度下でのシカと植生の関係: 屋久島のヤクスギ林の場合. 第 63 回日本生態学会大会.2016/03.

7) 橋本千絵、伊左治美奈、K Koops、古市剛史 (2015) ウガンダ共和国カリンズ森林で観察されたチンパンジーのTool Set使用について. 日本アフリカ学会第52回学術大会.

8) 肥後悠馬,本田剛章,半谷吾郎,梶村恒 (2016) 屋久島における植生の垂直分布に着目した森林性野ネズミの種構成と生態特性の比較. 第 63 回日本生態学会大会.2016/03.

9) 肥後悠馬・本田剛章・半谷吾郎・梶村恒(2015). 屋久島の3地域(西部林道・大川林道・永田岳)における森林性野ネズミの生息状況 ―2015年度夏季捕獲調査―. 屋久島学ソサエティ第3回大会、鹿児島県屋久島町、2015 年 11 月

10) 本田剛章・肥後悠馬・半谷吾郎(2015). 屋久島山頂部におけるヤクシマザルの夏季分布. 屋久島学ソサエティ第3回大会、鹿児島県屋久島町、2015 年 11 月

講演

1) 湯本貴和 (2015) 九州・沖縄の生物と文化の多様性から学ぶこと. 国際生物多様性の日・記念シンポジウム.2015/6/14.

2) 湯本貴和 (2015) アフリカの森と人々:非木材資源の可能性をさぐる. 日本アフリカ学会第52回学術大会・公開講演会.2015/5/24.