ENGLISH 京都大学
125周年
所長挨拶 概要 教員一覧 研究分野・施設 共同利用・共同研究 大型プロジェクト 教育,入試 広報,公開行事,年報 新着論文,出版 霊長類研究基金 リンク アクセス HANDBOOK FOR INTERNATIONAL RESEARCHERS Map of Inuyama
トピックス
お薦めの図書 質疑応答コーナー ボノボ チンパンジー「アイ」 行動解析用データセット 頭蓋骨画像データベース 霊長類学文献データベース サル類の飼育管理及び使用に関する指針 Study material catalogue/database 野生霊長類研究ガイドライン 霊長類ゲノムデータベース 写真アーカイヴ ビデオアーカイヴ

京都大学霊長類研究所
郵便番号484-8506
愛知県犬山市官林
TEL. 0568-63-0567(大代表)
FAX. 0568-63-0085

本ホーム・ページの内容の
無断転写を禁止します。
Copyright (c)
Primate Research Institute,
Kyoto University All rights reserved.


お問い合わせ

京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > Vol.46  > Ⅲ. 研究教育活動


Ⅲ. 研究教育活動

1. 研究部門及び附属施設

ゲノム細胞研究部門

ゲノム進化分野

<研究概要>

A) アジア霊長類と病原体の宿主寄生体関係史の探索
スダラス・バイチャロエン(タイ動物園協会)、平井啓久
ベンガル・スローロリスの核小体形成部位(NORs)を解析したとろ極めて高い変異性が観察された。これはスローロリスの他種とはまったく異なる特性であった。

B) ヨザルの種間雑種の解析
平井啓久、古賀章彦(細胞生理分野)、森本真弓(人類センター)、兼子明久(人類センター)、釜中嘉朗(人類センター)
ヨザルの種間雑種の染色体を染色体顕微切断法とアルファーサテライトのFISH解析によって解析し、雑種個体においてde novoに染色体変異(X染色体のトリソミー、常染色体のトリソミー、常染色体間相互転座)が存在あることを明らかにした。

C) ニホンザル苦味受容体の多型解析
鈴木南美,早川卓志(ワイルドライフサイエンス研究部門)、伯川美穂,松井淳(東京大学),郷康広(自然科学研究機構),平井啓久,颯田葉子(総研大),今井啓雄
各地のニホンザルについて苦味受容体TAS2Rの遺伝子多型解析を行った。特に、紀伊半島の群についてはTAS2R38の開始コドンの変異に注目し、この変異が生じた年代推定と進化生物学的シミュレーションを行った。結果を論文としてまとめ、発表した結果、国内外の新聞・雑誌・web site等に取り上げられた。

D) 甘味受容の行動と受容体の関連
西栄美子、筒井圭、今井啓雄
行動実験によりニホンザルとヒトの甘味感受性を比較した。種間で差があることが示唆されたため、受容体の配列解析と機能解析を実施した。

E) コロブス類の味覚受容体と採食の関係
今井啓雄,鈴木南美,早川卓志,伯川美穂,辻大和(社会進化分野),Laurentia Henrieta,Sarah Nira, Kanthi Arum Widayati , Bambang Suryobroto(以上ボゴール農科大学)
インドネシアパンガンダラン地区のJava Lutungとラグナン動物園のコロブス類について苦味受容体TAS2R38の配列と機能解析を行った。また、ラグナン動物園の個体については行動実験も実施した。さらに、いくつかの個体についてはエクソーム解析を実施した。

F) 成長・加齢に伴う味覚受容体の発現解析
西山瑠衣、西栄美子、伯川美穂、今井啓雄
味覚受容体やGタンパク質について、様々な年齢のマカク類の舌味乳頭における遺伝子発現をRT-PCR法により解析した。

G) キツネザルの嗅覚行動に関わる分子の探索
糸井川壮大、伊藤聡美、白須美香(東京大学)、宗近功(進化生物学研究所)、東原和成(東京大学)、今井啓雄
ワオキツネザルの前腕臭腺の分泌物を採取し、化学分析と行動実験を行った結果、繁殖期特異的な化合物が同定された。これらの化合物や分泌物そのものに対する個体の応答を観察した。

H) グエノン類の苦味受容体解析
河本悠吾、赤尾大樹、松村秀一(以上岐阜大学)、西栄美子、鈴木-橋戸南美、早川卓志(ワイルドライフサイエンス研究部門)、田代靖子、橋本千絵(生態保全分野)、五百部裕(椙山女学園大学)、今井啓雄
グエノン類三種のTAS2R16の機能解析を行った。アカオザルとブルーモンキー、ロエストモンキーで種間に機能の差が観察された。

I) 霊長類におけるグリア機能の解析
伯川美穂、北島龍之介、今村公紀、平井啓久、今井啓雄 
霊長類におけるグリア機能について、ゲノム解析や細胞分離、培養実験によりモデル霊長類の同定を進めている。

J) 霊長類iPS細胞の樹立と分化誘導
北島龍之介、今村公紀、今井啓雄、平井啓久
チンパンジーiPS細胞をフィーダー細胞非存在下で安定的に樹立・培養する条件を確立し、神経幹細胞への分化誘導を行った。

K) マーモセット生殖細胞の発生生物学
今村公紀
マーモセットの精原細胞を培養する手法を考案し、論文として報告した。

<研究業績>

原著論文

1) Bunlungsup S, Imai H, Hamada Y, Gumert MD, San AM, Malaivijitnond S (2016) Morphological characteristics and genetic diversity of Burmese long-tailed Macaques (Macaca fascicularis aurea). American journal of primatology,78,441-455.

2) Carelli FN, Hayakawa T, Go Y, Imai H, Warnefors M, Kaessmann H (2016) The life history of retrocopies illuminates the evolution of new mammalian genes. Genome research,26,3,301-314.

3) Katayama K, Okitsu T, Imai H, Wada A, Kandori H (2015) Identical Hydrogen-Bonding Strength of the Retinal Schiff Base between Primate Green- and Red-Sensitive Pigments: New Insight into Color Tuning Mechanism. The journal of physical chemistry letters,6,7,1130-1133.

4) Kishida T, Thewissen J, Hayakawa T, Imai H, Agata K (2015) Aquatic adaptation and the evolution of smell and taste in whales. Zoological letters,1,9.

5) Okamoto M, Miyazawa T, Morikawa S, Ono F, Nakamura S, Sato E, Yoshida T, Yoshikawa R, Sakai K, Mizutani T, Nagata N, Takano J, Okabayashi S, Hamano M, Fujimoto K, Nakaya T, Iida T, Horri T, Miyabe-Nishiwaki T, Watanabe A, Kaneko A, Saito A, Matsui A, Hayakawa T, Suzuki J, Akari H, Matsuzawa T, Hirai H. (2015) Emergence of infectious malignant thrombocytopenia in Japanese macaques (Macaca fuscata) by SRV-4 after transmission to a novel host.. Scientific Reports,5,8850-8850.

6) Penporn Sujiwattanarat, Watcharaporn Thapana, Kornsorn Srikulnath, Yuriko Hirai, Hirohisa Hirai & Akihiko Koga. (2015) Higher-order repeat structure in alpha satellite DNA occurs in New World monkeys and is not confined to hominoids. Scientific Reports,5,10315.

7) Rokusuke Yoishikawa, Munehiro Okamoto, Shoichi Sakaguchi, So Nakagawa, Tomoyuki Miura, Hirohisa Hirai, Takayuki Miyazawa (2015) Simian retrovirous 4 induces lethal acute thrombocytopenia in Japanese macaques. Journal of Virology,89,89,3965-3975.

8) Suzuki-Hashido N, Hayakawa T, Matsui A, Go Y, Ishimaru Y, Misaka T, Abe K, Hirai H, Satta Y, Imai H (2015) Rapid expansion of phenylthiocarbamide non-tasters among Japanese macaques. PLOS ONE,10,7,e0132016.

9) Zachary Yu-Ching Lin, Takamasa Hirano, Shinsuke Shibata, Naomi M. Seki, Ryunosuke Kitajima, Ayako Sedohara, Mikiko C. Siomi, Erika Sasaki, Haruhiko Siomi, Masanori Imamura, Hideyuki Okano (2015) Gene expression ontogeny of spermatogenesis in the marmoset uncovers primate characteristics during testicular development. Developmental Biology,400,1,43-58.

10) 今井啓雄 (2016) サルの味覚を追ってフィールドに. フィールドプラス,15,22-23.

11) 今井啓雄、西栄美子 (2016) 味覚受容体タンパク質の進化と多様性. 生物科学,67,2,75-84.

12) 筒井圭、今井啓雄 (2015) 霊長類苦味受容体の機能的多様性. 比較生理生化学,32,24-29.

学会発表

1) Imai H (2015) Functional analysis of bitter and sweet receptors of primates by cellular and behavioral Experiments. 2015/8/21.

2) Laurentia Henrieta PERMITA (Bogor Agricultural University), Kanthi Arum WIDAYATI (Bogor Agricultural University), Sarah NILA (Bogor Agricultural University), Kei TSUTSUI (Kyoto University), Nami SUZUKI-HASHIDO (Kyoto University), Takashi HAYAKAWA (Kyoto University), Bambang SURYOBROTO (Bogor Agricultural University), Hiroo IMAI (Kyoto University) (2015) Functional identification of gene encoding receptor of PTC bitter taste compound in leaf-eating monkeys. 2015/7/18.

3) Srichan BUNLUNGSUP(Chulalongkorn University), Yuzuru HAMADA (Kyoto University), Hiroo IMAI (Kyoto University), Suchinda MALAIVIJITNOND (Chulalongkorn University) (2015) Subspecific hybridization between Macaca fascicularis fascicularis and Macaca fascicularis aurea. 2015/7/18.

4) 古賀章彦、平井啓久 (2015) 夜行性への移行に関与してと考えられるヨザルの大規模反復配列. 霊長類研究,31,Supplement,57-57.

5) 今井啓雄 (2015) ヒトとニホンザルにおける甘味感受性と甘味受容体機能の比較. 第49回日本味と匂学会大会.2015/9/24.

6) 糸井川壮大、早川卓志、今井啓雄 (2016) 繁殖期のワオキツネザルのオスは臭腺分泌物質をどのような目的で利用しているのか. 第60回プリマーテス研究会. 2016/1/30.

7) 西栄美子, 筒井圭, 今井啓雄 (2015) 行動実験と分子実験によるヒトとニホンザルの甘味感受性比較. 第 31 回日本霊長類学会大会,31,Supplement,55-56. 2015/7/18.

8) 平井啓久、平井百合子 (2015) 新世界ザルの染色体分化:クモザルの彩色プローブを用いたオマキザル科5属の解析. 霊長類研究,31,Supplement,59-60.

9) 北島龍之介, LIN Zachary Yu‐Ching, 馬場庸平, 西原浩司, 今井啓雄, 平井啓久, 岡野栄之, 今村公紀 (2015) 霊長類Evo‐Devo研究ツールとしてのチンパンジーiPS細胞の利用. 第 31 回日本霊長類学会大会,31,Supplement,99-100. 2015/7/20.

10) 鈴木ー橋戸南美、早川卓志、松井淳、郷康広、颯田葉子、今井啓雄、平井啓久 (2015) ニホンザルにおけるPTC味盲多型の急速な拡がり. 第31回日本霊長類学会大会,31,Supplement,55-55.

講演

1) 平井啓久 (2015) Evolutionary change of entromere in primates. Summer School in Sun Yat-sen University, Guangzhou, China. 2015/7/16.

2) 今井啓雄 (2016) 霊長類味覚受容体の遺伝子・タンパク質・個体レベルの解析. 東京農業大学 先端研究プロジェクト「消化管幹細胞を用いた新規培養系の確立と消化管機能解析」中間報告会. 2016/1/20.

3) 今井啓雄 (2015) 霊長類における苦味感覚の多様性. 生理学研究所 研究会 生物学的階層構造をまたぐセルセンサー情報伝達に関する戦略的研究開発. 2015/9/14.

4) 今井啓雄 (2015) Genetic and functional variation of bitter taste receptor TAS2R38 in primates. The 13th International Symposium on Molecular and Neural Mechanisms of Taste and Olfactory Perception. 2015/11/3.

5) 今井啓雄 (2015) 霊長類の生殖細胞エピゲノムの進化とゲノム進化の相互作用. 日本遺伝学会大会プログラム・予稿集. 2015/9/10.

6) 今村公紀 (2016) 霊長類のDevelopmental Biology ~発生生物学から発育生物学へ~. 第5回超異分野学会. 2016/3/12.

7) 今村公紀 (2016) Generation of neural cells from chimpanzee iPS cells for evolutional study. The 1st Young Glia. 2016/1/10.

8) 今村公紀 (2015) Feeder free条件におけるチンパンジーiPS細胞の樹立とその利用. Cryopreservation Conference 2015. 2015/10/28.

9) 今村公紀 (2015) 霊長類生殖細胞の発育生物学. 第2回 霊長類への展開に向けた幹細胞・発生・エピゲノム研究. 2015/9/2.

10) 今村公紀 (2015) 霊長類 Evo-Devo 研究ツールとしてのチンパンジーiPS 細胞の利用. 第31回日本霊長類学会大会. 2015/7/18.

11) 今村公紀 (2015) マーモセット精子形成の遺伝子発現動態. 第31回日本霊長類学会大会. 2015/7/18.

12) 今村公紀 (2015) 霊長類生殖細胞の発育生物学とiPS細胞を用いたヒトの進化生物学/進化医学. 伊香保BSの会 第4回他分野交流会. 2015/7/14.

13) 今村公紀 (2015) 霊長類発生進化研究ツールとしてのiPS細胞の作成. 第9回日本エピジェネティクス研究会年会. 2015/5/25.

著書

今井啓雄 (2016) 光と生命の事典. 朝倉書店.