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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > Vol.45 > Ⅲ. 研究教育活動 Ⅲ. 研究教育活動 1. 研究部門及び附属施設 行動神経研究部門 高次脳機能分野 <研究概要> A) 情動情報処理における前部帯状回の役割の解明 鴻池菜保, 中村克樹 情動情報の処理におけるサル前部帯状回の役割を明らかにするため,アカゲザルの前部帯状回から単一ニューロン活動を記録し,他個体の表情などの刺激に対する応答性を解析した。その結果、3割の前部帯状回ニューロンが呈示刺激に対して応答することや、応答するニューロンは脳梁直上部に限局することが明らかになった。 B) 情動情報処理における前部帯状回と扁桃核の機能的結合の解明 禰占雅史, 鴻池菜保, 中村克樹 情動情報の処理におけるサル前部帯状回と扁桃核の機能的結合を明らかにするために,前部帯状回の活動を操作したときの扁桃核ニューロン活動への影響を調べる研究を推進している。サルに課題を訓練し,扁桃核からニューロン活動を記録した。またニューロン活動を修飾する薬物を前部帯状回へ注入するための準備を行った。 C) 情動行動に関わる脳領域の神経結合様式の研究 中村克樹, 宮地重弘, 鴻池菜保, 金侑璃, 酒多穂波 情動行動に関わる神経回路を解明することを目的に、ニホンザルの脳の前帯状皮質に複数の神経トレーサーを注入し、扁桃核や視床、側頭葉皮質を中心とした各領域にける標識神経細胞の分布を解析した。 D) コモンマーモセットの認知機能計測 中村克樹, 竹本篤史, 三輪美樹, 堀田英莉 コモンマーモセットの認知機能(知覚・記憶等)を調べるために,遅延見本合せ課題を用いてマーモセットの視覚認知地図を調べた。図形弁別課題および逆転学習課題におけるマーモセットの学習の特徴を解析した。 E) 遺伝子改変マーモセットを用いた尾状核におけるドーパミンの役割の解明 中村克樹, 竹本篤史, 山森哲雄(基礎生物学研究所), 渡我部昭哉(基礎生物学研究所), 高司雅史(基礎生物学研究所), 尾上浩隆(理化学研究所), 横山ちひろ(理化学研究所) ウィルスベクターを用いマーモセットの尾状核のD1受容体とD2受容体を別々にノックダウンし、行動変化等を調べた。D2受容体をノックダウンした場合、顕著な行動変化が観察された。 F) 発達初期のサイトカイン暴露に誘導される行動異常の検討 中村克樹, 三輪美樹, 竹本篤史, 那波宏之(新潟大学) 発達初期のマーモセットをサイトカインに暴露し、発達とともにどのような行動異常が出現するかを検討している。活動量や認知機能に異常が見られることが分かってきた。 G) ヒトのリズム制御の神経メカニズム解明 鴻池菜保, 杉浦元亮(東北大学), 川島隆太(東北大学), 中村克樹 リズムの時系列パターンおよび運動パターンの脳内表象を明らかにするため,健常成人を対象としてリズム記憶・再生課題を異なる運動器を用いて実施する課題を用い、課題遂行中の被験者の脳活動を機能的MRIを用いて計測した。その結果、右前頭ー頭頂葉がリズムの時系列パターンを、補足運動野ー頭頂葉ネットワークがリズムの運動パターンを表象していることが明らかになった。 H)自由判断の神経機序の研究 酒多穂波, 竹本篤史, 中村克樹 自由判断に関わる神経メカニズムを解明することを目指して、自由選択課題を開発し実施した。課題遂行中の被験者の脳波を計測し、分析を行った。 I) 睡眠と情動に関する研究 金侑璃, 鴻池菜保, 中村克樹 健常成人を対象に、一日夜間眠らせない断眠負荷をかけたときの脳内血流量への影響を調べるため、断眠負荷をかけたときの気分の変化を調べた。 J)長期記憶および短期記憶に基づく行動決定の神経機構の研究 禰占雅史, 宮地重弘,中村克樹 短期記憶に基づく遅延見本合わせ課題および長期記憶に基づくTransverse patterning 課題をサルに行なわせ、内側前頭前野、背外側前頭前野、および主溝周辺領域の機能を、ニューロン活動を記録・解析することにより検討した。内側前頭前野がTransverse patterninig課題遂行に重要な領域であることが示唆された。 K) 高次脳機能研究のための可逆的神経活動ブロック法の開発 宮地重弘, 泉明宏, 大石高生(統合脳システム分野), 高田昌彦(統合脳システム分野), 井上謙一(統合脳システム分野) 霊長類の大脳新皮質外側前頭前野の認知機能における役割を明らかにするため, ウイルスベクターを用いた新たな可逆的神経活動制御法を開発、検証した。 L) 自動的および随意的運動リズム制御の神経メカニズムの解明 宮地重弘 随意的および不随意的(自動的)な運動リズム制御の神経メカニズムを明らかにする目的で、健常成人を対象に行動実験を行なった。また、運動リズム制御の神経基盤を明らかにする目的で、サルに行動課題を訓練した。 M) コモンマーモセットの聴覚系列の知覚様式の解明 脇田真清 コモンマーモセットを用いて聴覚弁別訓練を行った。要素は共通であるが配列の異なる二つの音系列を用いて, 相対弁別課題と絶対弁別課題を行った。結果, 相対弁別条件では弁別ができても絶対弁別条件では弁別ができなかった。この結果はコモンマーモセットが聴覚系列の規則性を抽出することはできても, それらを長期記憶に貯蔵できないことを示している。 N) チンパンジー乳児の音列知覚機構からみたヒトらしさの解明 脇田真清 ヒト新生児と同等の弓状束を持つチンパンジー乳児から,規則的に配列された音列に対する脳波計測ができるよう実験装置のセットアップをおこなった。 O) 新型SSVEP-BCI開発のための基礎研究 竹本篤史 普及している脳-コンピューター間インターフェース(BCI)に、フリッカー光に対する定常的視覚誘発電位を利用したSSVEP-BCIがある。このBCIの欠点は、フリッカー光のちらつきが不快な点である。最近の脳研究によると、ちらつきが感じられないほど高い明滅頻度のフリッカー光に対しても、視覚応答するニューロンの一部が明滅変化に対応した活動を行っている。本研究では、さまざまな条件化のもとで、この意識に上らない神経活動を脳波で測定し、新型BCI開発の可能性を探っている。 P) 幼児虐待の連鎖-サルを対象とした不適切養育行動の世代伝達の研究 三輪美樹,中村克樹 幼児虐待の世代間伝達を解明することを目的に、家族単位で生活しているコモンマーモセットを対象として、幼児期に受けた不適切養育行動の次世代への伝達状況について検討した。また、被害個体の発育についても検討した。 <研究業績> 原著論文 1) Nejime M, Inoue M, Saruwatari M, Mikami A, Nakamura K, Miyachi S, (2014) Responses of monkey prefrontal neurons during the execution of transverse patterning. Behav Brain Res., 278C:293-302. doi: 10.1016/j.bbr.2014.10.015. 2) Nakako T, Murai T, Ikejiri M, Hashimoto T, Kotani M, Matsumoto K, Manabe S, Ogi Y, Konoike N, Nakamura K, Ikeda K,(2014) Effects of lurasidone on ketamine-induced joint visual attention dysfunction as a possible disease model of autism spectrum disorders in common marmosets. Behavioural Brain Research, 274C:349-354. その他執筆 1) 中村克樹「脳を鍛えたい 皆伝!新あたま道場」問題作成.毎日新聞, 2014-2015 2) 中村克樹「中村克樹のDo you 脳?」.(隔週連載).毎日新聞, 2014 学会発表 1) Sheryl L. Sereda, Deborah Hiller, Denise Gannon, Michelle Antonczak, Shinji Ito, Hiroshi Otake, Katsuki Nakamura, Masato Taira, Ryuta Kawashima, Stephanie Fallcreek, COGNITIVE INTERVENTION THROUGH SAIDO LEARNING: A TREATMENT FOR DEMENTIA. 29th International Conference of Alzheimer’s Disease International (1 - 4 May, 2014, Puerto Rico, USA) 2) Konoike Naho, Nakamura Katsuki, Neurons responsive to faces in the perigenual portion of the anterior cingulate cortex of monkeys. The 37th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society, (Sept. 11-13, 2014, Yokohama) 3) Takemoto Atsushi, Miwa Miki, Koba Reiko, Yamaguchi Chieko, Suzuki Hiromi, Nakamura Katsuki, Individual difference in performance of pattern discrimination and its reversal learning in common marmosets. The 37th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society, (Sept. 11-13, 2014, Yokohama) 4) Nejime Masafumi, Inoue Masato, Saruwatari Masanori, Mikami Akichika, Nakamura Katsuki, Miyachi Shigehiro Responses of monkey prefrontal neurons during a tansverse patterning task. The 37th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society, (Sept. 11-13, 2014, Yokohama) 5) Sakata Honami, Kim Yuri, Konoike Naho, Miyachi Shigehiro, Nakamura Katsuki, Projections from the temporal cortical areas to the subgenual portion of the anterior cingulate cortex in macaque monkeys. 44th Annual meeting, Society for Neuroscience, (Nov 15-19, 2014, Washington, D.C., USA). 6) Kim Yuri, Sakata Honami, Konoike Naho, Miyachi Shigehiro, Nakamura Katsuki, Projections from the amygdala to subregions of the anterior cingulate cortex in macaque monkeys. 44th Annual meeting, Society for Neuroscience, (Nov 15-19, 2014, Washington, D.C., USA). 7) Naho Konoike, Yuka Kotozaki, Jeong Hyeonjeong, Atsuko Miyazaki, Kohei Sakaki, Takamitsu Shinada, Motoaki Sugiura, Ryuta Kawashima, Katsuki Nakamura Neural substrates representing temporal and motor sequences of rhythm. 44th Annual meeting, Society for Neuroscience, (Nov 15-19, 2014, Washington, D.C., USA). 8) Nakamura K, Taira M, Kawashima R., Measurement of foreleg muscle power in common marmosets (Callithrix jacchus). The 25th Congress of the International Primatological Society, (Aug. 11-16, 2014, Hanoi, Vietnam). 9) Wakita M, Auditory sequence perception in common marmosets (Callithrix jacchus). 第74回大会動物心理学会(犬山)2014年7月20日 10) Wakita M, Auditory sequence perception in common marmosets (Callithrix jacchus). The 25th Congress of the International Primatological Society, (Aug. 11-16, 2014, Hanoi, Vietnam). 11) Wakita M, Involvement of Broca’s area in temporal control of action. 9th Federation of European Neuroscience Societies Forum 2014, (July 5-9, 2014, Milan, Italy). 12) Shigehiro Miyachi, Automatic synchronization of movements with the rhythm in a repetitive button press task. The 37th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society, (Sept. 11-13, 2014, Yokohama) 13) 脇田真清, 色覚の多様性と学会発表における色の使用, 日本心理学会第78回大会 (2014年9月10-12日, 京都市) 発表要旨集p107. 14) 中村克樹, 井上貴史「基盤技術チュートリアル~マーモセットの健康管理」第4回日本マーモセット研究会大会(2014年1月22-23日, 犬山市)講演要旨集p14. 15) 中村克樹, 三輪美樹, 竹本篤史, 鈴木比呂美, 堀田英莉「京都大学霊長類研究所のコロニーにおけるコモンマーモセットの体重曲線」第4回日本マーモセット研究会大会(2014年1月22-23日, 犬山市)講演要旨集p59. 16) 竹本篤史, 中村克樹「コモンマーモセットにおける場所記憶課題の学習」第4回日本マーモセット研究会大会(2014年1月22-23日, 犬山市)講演要旨集p56. 17) 三輪美樹, 鈴木比呂美, 中村克樹「コモンマーモセットにおける天然水溶性ガムの嗜好性検討」第4回日本マーモセット研究会大会(2014年1月22-23日, 犬山市)講演要旨集p57. 18) 宮部貴子, 三輪美樹, 鴻池菜保, 兼子明久, 石上暁代, 夏目尊好, 中村克樹「マーモセットにおけるアルファキサロンの麻酔効果」第4回日本マーモセット研究会大会(2014年1月22-23日, 犬山市)講演要旨集p52. 講演 1) 中村克樹:「賢い脳を育てるために」 「新しい東北」先導モデル事業 講演会「女川発~早寝 早起き 朝ごはん~」(宮城教育大学、女川の教育を考える会、女川町教育委員会主催)(2015年1月31日、宮城県牡鹿市女川町) 2) 中村克樹:「コミュニケーションと子育て」 日本公文教育研究会新春講座, (2015年1月21日,高松市) 3) 中村克樹:「繰り返し学習により賢い脳をつくる」 日本公文教育研究会進度上位者のつどい(2014年8月23日、青森市) 4) 中村克樹「サル類の集団行動」平成26年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会(2014年9月8-9日, 名古屋市) |