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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > Vol.45 > Ⅰ. 巻頭言 Ⅰ. 巻頭言 平成26年度に実施した教育研究に関わる事業等の報告書をお届けします。昨年度は京都大学の総長選挙があり山極壽一総長が誕生しました。山極先生はわれわれと同じく霊長類学を研鑽され広い包容力のある視点を持った方です。就任の挨拶で披露された所信表明では、京都大学WINDOW構想を示されました。W (Wild and Wise)、I (International and Innovative)、N (Natural and Noble)、D (Diverse and Dynamic)、O (Original and Optimistic)、そしてW (Women and Wish)の6項目からなるもので、人として、大学としての進むべき道を示されました(大学ホームページに掲載されていますので是非ご覧ください)。これは大学の機能強化を見据えた総長としての方針です。 国からは大学改革・機能強化の推進の指示が強く示されています。その内の一つの改革として全国86国立大学を3つの区分に分けて重点支援をおこなうというものです。端的に言えば、第1は「地域に貢献する教育研究の推進」、第2は「世界ないし全国レベルの教育研究の推進」、第3は「海外の卓越大学と伍した教育研究の推進」です。京都大学は第3の重点支援を選択します。それにともなった大学の機能強化の方針が示され、それにしたがった各部局の概算要求の内容等を確定していきます。その一環として昨年度の後半から京都大学の22の研究所・センターを一括りにした「京都大学研究連携基盤」組織の実施が概算要求で認められました。その基盤の中に、未踏科学研究ユニットを構成し、基盤を推進することになりました。霊長類研究所も他の7部局と連携して、「ヒトと自然の連鎖生命科学研究ユニット」を組織し、新たな教育研究の窓を開けようとしています。 これらの改革に対応する形で、昨年度研究所の部門改編をおこないました。4部門を5部門とし、各部門に2分野を配置しました。すなわち5部門10分野2附属施設の体制としました。これは部門内の分野構成を所外から見易くするための措置です。組織を見やすくした上で学際的・国際的・人際的教育研究を積極的に推進していきます。全学レベルでも教育組織の改革が進められ、学問体系の括りを明確にし教育の推進や人事をガラス張りにするという組織(学域・学系)を設置しました。これらの改革は第3期中期目標・中期計画に合わせて平成28年度から本格的に実施させるものです。 大学の組織が大きく見直されようとしていますが、研究所の研究体制はかなり良い方向に進展していると自負しています。例えば、国際化の推進の指標に使われる国際共著論文の比率は47%を超えています。これは、先達たちが推進してきた海外フィールドならびに研究拠点の開発に加えて、共同研究・共同利用拠点の国際化や大学院生の国際競争力増強の賜物と思われます。さらに、論文数が年平均160編前後に落ち着いています。これは教員1人当たり4編に相当します。ジャーナルの評価のひとつの指数であるインパクトファクターの3ポイントを超える論文が2割7分になっています。さらに科研費やその他補助金の獲得率は教員数(特定教員を含む)39の平均1.7件の採択数(採択率59.5%)で、獲得金額は1人平均8.4百万円(合計326,781千円)となっています。これらは比較的高い獲得率・額と言っても良いでしょう。しかし、運営費交付金の毎年削減が継続されることを鑑みれば、このことに満足することなく、各教員や研究者はさらに外部資金等の研究費の獲得に邁進することが必要です。 大学のシステムが大きく見直されることを考えれば、研究所も将来を見据えた将来構想が必要です。それを進展させ支えるには皆様からのお力添えが必要です。本年報を研究所の自己点検資料として評価していただき、さらなるご指導ならびにご鞭撻を頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。 所長 平井啓久 |