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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2011年度・目次

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.41 2010年度の活動

年報 Vol.41

Ⅱ. 概要

5. サル類飼育頭数・動態

2010年度(平成22年度末)飼育頭数

 

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6. 資料

霊長類研究所が所蔵する資料は, 骨格標本, 液浸標本,化石模型, 遺伝子試料, CT画像などからなり, 外部の研究者にも基本的にすべて公開されている. 資試料の多くはデータベース化されており, 資料委員会の許可にもとづいて利用希望者に提供され, 研究遂行上の必要に応じて貸し出しもおこなっている.

(1) 骨格標本(表1, 2)

資料委員会のデータベース(PRISK)に登録された霊長類骨格標本は8,200点を超える(表1). 大部分はマカク類を中心とした旧世界ザルの標本である. 特にニホンザルの標本は所内飼育・野生由来個体を合わせて3,000点以上を数え, 世界的に見ても稀なコレクションである. その他に, 新世界ザル標本は約1,450点, 類人猿および原猿類 (+ツパイ)はそれぞれ数十点ずつを所蔵する.

霊長類以外にも, データベース (PRISK-Z)には約1,700点近い獣骨標本が登録されている (表2). 日本産哺乳類が多く, 日本産野生哺乳類が減っている現在, これらは貴重な資料である. 日本産タヌキやテン, ツキノワグマの標本数は世界有数である. また, コレクションには海外調査地からの収集物や動物園からの寄贈標本など, 国内では入手・観察の難しいものも含まれる.

骨格標本は, 現在は研究所新棟4階と本棟地下の骨格資料室において移動式標本架などにならべて保管されている. 標本は種ごとに分類され, 種内では標本番号にしたがって配列されている. 利用希望者は, 資料室のコンピューター上に置かれた標本データベースから標本番号, 属名, 種名, 登録日, 性別, 体重, 座高, 前胴長などの情報を検索することができる.

(2) 液浸標本(表1, 3)

本棟地下及び栗栖地区の液浸資料室に各種霊長類のフォルマリンもしくはアルコールで固定された液浸標本が約1,000点保管されている (表2). 霊長類以外の液浸標本も200点ほどある (表3). 筋骨格系の割合が高いが, 脳や臓器の標本も含む. 平成21年度から液浸標本のデータベース化を行い, PRISKおよびPRISK-Zでの検索が可能になった. このように大規模な液浸標本資料は稀有であり, 世界的に見てもなかなか利用機会が得られない貴重なコレクションである.

(3) 化石模型

人類および中新世ホミノイドを中心に495点の化石模型がデータベース(PRICAST)に登録されている.

(4) 霊長類分子生物学用試料(表4)

平成21年度より大型類人猿ネットワーク(GAIN)の情報を通じて譲渡を受けた類人猿臓器試料や, 研究所内で多重利用の対象となった試料の一部(旧世界ザル,新世界ザル等)を資料委員会が保管管理している. これらはRNAlater処理試料や凍結試料が主である. 譲渡契約等の関係から, 原則として利用は所員と共同利用研究員に限定しているので, 利用希望者は関係所員に問い合わせていただきたい. 現在データベース化を進めている.

(5) CT画像

所蔵標本のCT画像データのデータベース化を進め, Web上のDigital Morphology Museum (http://www.pri. kyoto-u.ac.jp/dmm/WebGallery/Index.html)を介して, 画像データを国内外の多くの研究者に提供した.

(6) その他

他に, 被毛標本数十点や透明標本数点, 冷凍筋骨格試料数点を保有する.

霊長類研究所資料委員会は国内外の多くの研究者がこれらの資試料を利用して研究を進めることを希望しており, 利用希望者の要請にできるだけ応えたいと考えている. そのため, 毎年継続して, 新しい標本資料の作製, 資試料の受け入れを積極的に行い, 資試料の充実に努めている. また, 上記のように研究所所蔵資試料のデータベース化など利用環境の整備をおこなっている.

骨格・液浸標本の利用許可については, 非破壊的な使用目的の場合は簡便な手続きで利用できる. 標本の破壊が必要だったり破損の恐れのある研究利用もできるが, その際は資料委員会への充分な説明とそれに基づく審査が必要である. また, 貴重な試料を動物園等の学外飼育施設から譲渡していただいているので, 利用規約や契約等を遵守して協力していただきたい.

備考:資料委員会では, 資試料を一層充実させたいと考えています. 野外調査などの際に標本資料の採集にご協力いただけるとありがたいです. 標本管理者の移籍・退職などによって管理困難となった標本の取り扱いについても相談を受けます. 他機関所蔵の資料との交換も受け入れています. 上記のような場合は資料委員会までご連絡ください.(平成23年度連絡先:平﨑鋭矢 siryou [at] pri.kyoto-u.ac.jp).

(文責:江木直子)

 

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