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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2008年度 > NBRの活動

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.39 2008年度の活動

ナショナルバイオリソースプロジェクト(ニホンザル)の活動

平成19年度より,5年間の計画で第2期ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)が開始された.NBRPは実験動植物(マウス,シロイヌナズナ等)や,ES細胞などの幹細胞,各種生物の遺伝子材料等のバイオリソースのうち,国が戦略的に整備をすすめるもので,現在23プロジェクトが中核的拠点整備プログラムとして採択されている.このなかの一つに「ニホンザル」プロジェクトがあり,自然科学研究機構生理学研究所が中核機関,霊長類研究所が分担機関となって推進している.本プロジェクトは,人類の福祉の向上に貢献する医学・生命科学研究に必要なニホンザルの繁殖・供給体制の整備を目指し,全国研究者への本格的な供給体制を確立することを目標としている.

霊長類研究所では善師野地区の第2キャンパスで展開している大型プロジェクト「リサーチリソースステーション(RRS)」で環境共存型大型放飼場の設置や管理棟,排水浄化設備などのキャンパスとしての基盤整備がほぼ終了した.第2キャンパスでは環境との共存を重視し,放飼場も含めて敷地内の植生の保全と,排水の処理に万全を期している.とくに汚水処理はBODで 5 ppmとしたあと放飼場への還元散布としてキャンパス外にはださないようなシステムでおこなっている.大型放飼場はサルの野生での生息状態を再現するものであり,今後の多様な霊長類研究の推進の核となるものである.第2キャンパスの整備によりNBRPでの全国へのニホンザル供給を実現するための繁殖・育成を進めることが可能となった.さらに年次計画で大型グループケージを1棟づつ増設しており,21年度内には3棟の大型グループケージが揃う予定である.放飼場3式,育成舍1棟がすでに建設されていることから,グループケージのすべてが完成した段階で,第2キャンパスでは総数で350頭のニホンザルの飼育が可能となる.

NBRPとして飼育されるニホンザル毋群の導入と繁殖は順調に経緯し,20年度末で毋群総数169頭で繁殖数は44頭である.平成20年度は,NBRP全体で約50頭のニホンザルの供給がおこなわれた.霊長類研究所は初めて供給をおこなうこととなり,16頭を担当した.NBRP「ニホンザル」では最終的に毎年全国の研究機関に200頭の供給をおこなっていくことを目標としており,第2期終了時の平成23年度には達成されることを目ざしている.このときには霊長類研究所は100頭の供給を担当することになっている.このため毋群の整備と繁殖をさらに進めていくとともに,21年度より供給数を順次増やしていく予定である.

(文責:景山節)

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